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【8】知的財産権のライセンス利用

「知的財産権のライセンス利用」

日本弁理士会 知的財産価値評価推進センター
弁理士 伊藤 夏香

人気アニメ「ワンピース」のキャラクターやロゴを印刷した布バッグを製造販売しようとする場合、権利者から許諾(ライセンス)を得なければならない。
その布バッグが、他社の特許技術で香りを付加したもので、さらに他社の登録意匠のデザインと同じである場合、著作権や商標権だけでなく、特許権や意匠権についてもそれぞれ許諾を得る必要がある。さらに、製造時のノウハウについても合わせて許諾を受けた方がよい場合がある。許諾対象となる権利には、法律で定められた権利だけではなく、商品化権等のビジネス慣習上の権利も含まれる。
ライセンサー(許諾者)が正当な権利者であることは、ライセンシー(受諾者)が確認をすべき事項の一つである。例えば、複数国を対象とする場合は全ての国の権利者と契約する必要があり、共有の知的財産権が許諾対象の場合は共有者の同意も必要である。
設定範囲内では独占排他的に実施できる専用実施(使用)権の設定には、特許庁への登録が必須である点に留意する。
契約時にはロイヤリティ(使用料)を互いの合意で決定することになる。その際、知財価値評価(知的財産権の定性的・定量的評価)の利用も有効な手段である。
特許庁の調査によれば、特許権の利用率は、約54%にとどまる。しかし、使用料所得に対する課税の軽減(パテントボックス税制)が検討され始め、クールジャパン戦略推進事業でアパレル分野のプロジェクトも採択されており、ライセンスビジネスは発展が期待される。例えば、ライセンス事業が好調なサンリオの13年3月期の使用料売上高は全体売上高の42%で300億円を超えた。
ライセンシーは、キャラクターやロゴの顧客吸引力による売上増加や研究開発費の節約や紛争の予防や解決等を図れる。ライセンサーは、自らの製造販売を要せずにロイヤリティ収入が得られる。十分な内容の契約を結ぶことで、双方に利益をもたらし後日のトラブルを防止したい。

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(平成25年7月16日付繊研新聞20面掲載)