知的財産権とは

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知的財産関連の
悪質商法にご注意!

   知的財産の関心が高まる中、企業経営者、市民発明家、資格取得を目指す方を狙った悪質商法が蔓延しています。
知的財産には、経済発展の切り札としての期待が高いばかりか、「発明が当れば一攫千金」といった夢があるため多くの企業経営者や発明家が、知的財産制度を利用します。
 しかしながら、知的財産に関する法律や手続は複雑で情報も少ないことなどから、悪徳業者の格好の隠れ蓑となっているのも事実です。悪徳業者の言葉巧みな勧誘にのせられて、知らない間に被害にあってしまうケースが多発しています。また、知的財産制度に関連した資格商法も増えています。

 残念ながらこのような悪質商法は、必ずしも法律違反として取り締まれるものばかりではありません。そこで、知的財産制度をご利用いただく方々が、被害に遭わないようにするため予備知識として、知的財産関連の悪質商法を以下にご紹介します。企業経営者、市民発明家並びに資格取得を目指す方は、くれぐれもご注意ください。

 

資格商法

 特許○○士、知的所有権○○士、著作権○○○などと称する民間資格の取得を勧誘する民間業者があります。勧誘の方法は電話やDMなど様々です。
 これらの民間資格を取得するためには、授業料や教材費、受験料、合格後の登録費、入会費などの費用を民間業者に支払うことになります。せっかく民間資格 を取得してもこれらの資格では他人のために業として知的財産に関する書類の作成をすることはできません。業として書類作成をした者は法律違反となり処罰されることになります。
 貴重な時間と費用が無駄になるばかりか、自分自身のためにも良からぬ結果を招くことになりかねません。
 また、個人の出願人を狙った博士号や爵位の勧誘もあります。これは、発明内容を論文として評価し、高額な費用で博士号を売りつけるものです。この博士号は文部科学省で認定する博士号とは全く関係のない私的称号ですから、使用の方法如何では経歴詐称となります。

ニセ弁理士

 特許○○士等の民間資格者または民間業者などから産業財産権や著作権の申請に関する書類作成を業として請け負う旨の勧誘がありますが、このような行為は弁理士法やその他の資格者法に定められた違法行為の可能性が極めて高いものです。
 民間資格者、民間業者には、国家資格者のような守秘義務がなく、手続を行うための高度な知見、権利の運用に関する管理能力がありません。安心して委任することができないばかりか無駄な費用を支払うことになります。
 このような勧誘を受けたり、費用を支払ってしまったという方は日本弁理士会までご一報ください。

非弁理士に注意

売り込み・紹介代行・推薦状

 企業に売り込む方法を持たない市民発明家を対象として、主にDMによって勧誘がなされます。多くの場合、出願公開公報が発行されると同時にDMが市民発明家のもとに届けられます。
 「売り込みの代行」とは、市民発明家の出願内容を企業に直接紹介したり、業者が発行する書籍、電子媒体に出願内容を掲載して広告するものです。
 全ての業者が悪質とは言い切れませんが、中にはサービスの提供に見合わない高額な代行手数料を徴収する者も存在します。
 このような売り込みをしてもほとんどの場合成果は上がりません。売り込み業者に費用を払ったからといって成功する確率が高くなるものではありません。
 企業では、自社に有用な発明を絶えずサーチしていますので、本当に必要なものなら企業から発明者に直接連絡があります。また、企業に売り込み提案をするのであれば、ご自身で行うようにして下さい。
 最近では、発明者に企業を紹介し、発明アイデアの提供とともに企業に対して出資する名目で資金を提供させ仲介手数料をとるものが存在します。発明者に利益が還元されず問題となった事例があります。
 また、外国の企業からのDMで、外国で商標を紹介すれば、著名商標として保護されるなどの勧誘で書籍や電子媒体に掲載するだけのものも存在します。このような方法で商標が保護されることはありません。>
 個人が行う売り込み提案に際して「推薦状を付けると効果がある」として価値のない推薦状を販売する業者もいます。個人の売り込み提案は、なかなか成果が 上がらずすがる思いで推薦状を購入してしまうケースが多いようですが、このような推薦状を付けても効果の程は変わりません。

表彰・助成金推薦

 市民発明家を対象として、私的団体が行う表彰や公的団体が行う助成金制度への申請を代行するものです。主に出願公開公報の発行と同時期にDMによって勧誘が行われます。
 表彰は、全く権威のない私的団体が行うもので、表彰状やトロフィーなどを売りつけるだけのもので、全く意味がありません。
 公的団体への助成金申請は、発明者であれば誰でも申請できますし、業者に代行してもらったからといって必ず助成金が貰えるものでもありません。

日本弁理士会が実施している制度はこちら

試作品作成

 「企業への売込みには試作品が必要になる」などの勧誘文言で、市民発明家にDMを送り付けてくる業者がいます。
 試作品の作成は、既製品よりはるかに高い費用が必要です。数万円から数百万円もする場合がありますし、ある程度まとまった個数を発注することもありま す。また、業者の技術レベルによっては、発明内容を具現化するだけの技術がなく、発明の内容とは全く異なるものが作成されてしまうこともあります。
 企業に売り込みをするには、出願書類や図面があれば十分で試作品の必要はありません。安易に試作品を作ることは避けることが賢明です。

コピーサービス

 出願公開公報あるいは登録公報の発行と同時に「良い記念になる」、「売り込みには公報が必要になる」などの勧誘DMを送り付ける業者がいます。
 単なるコピーサービスであるにもかかわらず、コピー代金とは到底考えられないような高額な費用請求をしてきます。
 出願公開公報の写しが必要な場合は、インターネットを利用して特許庁の電子情報図書館にアクセスすれば、どなたでも簡単に入手することができます。また、工業所有権総合情報館が指定する全国の閲覧室あるいは知的財産センターでも公報の写しを入手することができます。

内職勧誘商法

 新聞や雑誌などの求人広告で、「在宅ワープロオペレーター募集」などと称して不特定多数の顧客を集め、商標出願の手続を記載した高額な書籍を販売し、その後の業務紹介などは一切行わない悪徳業者がいます。一見して在宅業務紹介のような広告ですが単なる書籍の販売です。
 この業者は全国で暗躍しており、問題が表面化する前に撤収してしまい、業者の実態は掴めていません。したがって、返品や賠償にも全く応じません。主に在宅主婦や学生、フリーターなどが被害にあっています。
 被害にあったと思ったら、すぐに警察や消費者センターにご相談ください。
 さらに販売された書籍をもとに業務を行えば、弁理士法違反にも問われることになります。ご注意ください。

商標・著作権ブローカー

 ある日突然、企業に対して「当方の権利を侵害しているので使用料を支払ってほしい」、「権利侵害につき当方が所有する権利を買ってほしい」などの内容証明が送りつけられて来ることがあります。
 これらの業者はブローカーと呼ばれ、自己使用しない商標権や著作権を獲得しておいて、類似の標章などを使用している企業を見つけては、権利侵害と脅かして使用料の支払いや権利の売買を強要するもので、高額な金銭要求も珍しくありません。
 企業側は、トラブルになることを懸念して業者に使用料などを支払ってしまうケースがありますが、安易な解決方法を取ることは悪徳業者を繁栄させるだけで問題解決にはなりません。弁理士に相談するなどして侵害の可否を見極め、冷静かつ毅然と対処することが肝要です。
 最近では、ドメインネームの分野でも同様のブローカーが暗躍しています。

知的所有権(著作権)登録

 発明や商品名など本来なら産業財産権で保護されるものを著作権で保護するとして比較的安価な料金で申請登録させたり、書籍に掲載して著作物の発行を証明する商法が蔓延しています。
 著作権では発明や商品名は保護されず、盗用される危険性もあります。当会では詐欺商法として警視庁に告発しています。詳しくは当会のホームページをご覧下さい。

無料発明相談・コンサルティング

 民間資格者や民間業者の中には、「無料発明相談」の広告で顧客を勧誘しているケースがあります。相談は無料ですが、 相談を受ける条件として入会金を支払った会員のみのサービスで入会金を強要されたり、コンサルタントとして顧問契約を強要されたりすることがあります。さ らには素晴らしい発明であることを強調して、言葉巧みに出願を促しニセ弁理士行為に及ぶこともあります。無料相談が転じて高い費用を支払うことになる場合 があります。
 このような相談を行っている者は、専門家ではありませんから法律にも申請手続にも詳しくなく、結果的に満足の行くサービスを受けることができません。

弁理士の行う無料相談を上手にご活用ください。

発明・商標仲介取引

  企業や市民発明家の権利を業者に信託して蓄積し、権利を必要とする企業を紹介して実施化契約を締結するというものです。権利者と実施者の仲立ちをすること自体何ら問題はありませんが、悪徳業者は、権利の信託時や契約締結時に法外な料金を請求してくることがあります。
 一つの業者だけの情報に捕われずにさまざまな業者の条件を確認した上で利用しましょう。