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【2】日本企業被害の64% 中国の模倣品・海賊版

「ニセモノの大半はアジアから!?~税関における差し止めの現状~」

日本弁理士会 貿易円滑化委員会
弁理士 高部 育子

ディズニーのキャラクターによく似た着ぐるみが登場する遊園地、偽ブランド品の摘発風景等、中国の模倣品・海賊版のニュースに触れる機会は多いが実際にどのような被害があるのだろうか。日本特許庁の調査(二〇一二年度 模倣品被害調査報告書)では二〇一一年度に日本企業が模倣被害を受けた国(製造・販売・経由が行われた国)別の被害社率は、中国が約六四%と他国に比べ突出している。さらに中国で生産された日本企業の模倣品は二八%超が中国国内で販売され、一五%が日本、約七%が台湾、約六%が韓国、次いで欧州、北米へと海外に流出している。
模倣品が流通すると企業は市場を模倣品に浸食され真正品の売り上げが低下し、製品の開発に投下した費用が回収できない。また、品質の低い模倣品が氾濫することでブランドイメージが損なわれることは売上の低下以上に大きな損害を企業にもたらすことになる。特にブランドイメージが売上に大きな影響を与えるアパレル産業においても看過できない問題である。さらにブランドを偽装しようとする者が海外ブランドをその会社より先に出願し商標権を取得してしまう「冒認出願」も大きな問題となっている。(「今治タオル」のニュースは記憶に新しい。)冒認出願が登録されると海外のブランドは中国国内で自分の商標を使用出来ず中国進出が著しく阻害されるばかりか、先に権利を取得してしまった者がその商標を付した製品を製造・販売しても中国国内で商標権侵害で訴えることができない。
このような状況下、中国政府も行政摘発、刑事摘発、税関における模倣品の差止等、様々な模倣品対応策を提供している。冒認出願についても、本来権利者たるべき企業は異議申立、無効審判を中国の商標局に行うことが可能である。日本企業はこれらの制度を利用する他、なるべく早く中国への商標出願を行うよう努める等、模倣品対策を多面的かつ継続的に行っていく必要があるだろう。

特許庁2012年度模倣品被害調査報告書から

特許庁2012年度模倣品被害調査報告書から

(平成25年6月4日付繊研新聞15面掲載)