日本弁理士会の活動

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令和7年度デザインパテントコンテスト

選考委員長特別賞、特許庁長官賞、受賞者インタビュー

名古屋造形大学

令和7年度のデザインパテントコンテストは、全国の高校、高等専門学校及び大学から711件の応募があり、そのうち30件が優秀賞(意匠出願支援対象)に選ばれました。

その中から6件が特別賞に選ばれ、「プルペタ」は選考委員長特別賞・特許庁長官賞のダブル受賞となりました。

創作者の名古屋造形大学・石田千織さん、鈴木歩美さんと、平野真美特任講師にお話を伺いました。

 


 

ー2人は現在名古屋造形大学に通う大学2年生。ともに空間作法領域で学ばれているのですね。

鈴木:はい。空間作法領域は、主にプロダクトまたはインテリアのデザインについて学ぶ科です。私達はどちらもプロダクトデザインを専攻しています。私は高校を決めるときに、プロダクトデザインがやってみたくて、(プロダクトデザインの科がある)名古屋造形大学の系列の高校を選びました。

石田:そんなに早かったんだ、知らなかった。私は色々なプロダクトを集めるのが好きな家族のもとで育ったのですが、高校時代に名古屋造形大学のプロダクトデザインの先生が高校に授業をしに来てくださったことからプロダクトデザインを知り、面白い、やってみたいなと思って入学しました。

 

 

ー2人が創作した「プルペタ」はどんなものですか?

石田:「プルペタ」は、剥離紙を引っ張ることで簡単に貼ることができる絆創膏です。絆創膏を貼る位置を決め、①の印部分を持って輪の部分を引っ張り、続いて②の部分を押さえて引っ張ることで、粘着面に触れずに絆創膏を貼ることができます。小さな子供や高齢者の方、手先が器用でない方にも使いやすいように設計しました。

「プルペタ」という名前は「pull(プル)してペタっと貼れる」ことから付けました。

 

 

ー「プルペタ」はどのように生まれたのでしょうか。

石田:平野先生の授業で、「スペキュラティブデザイン」というものがありました。例えば、「人口の9割が視覚障害者の世界だったときに、手に持つコップはその形でいいのか」など、架空の世界観を設定し、その世界で通用するようなプロダクトは何かを考えるという授業です。

その中で、2人で考えたのが「プルペタ」です。「指紋がない世界」を設定して考えていたのですが、指紋がなければ指先は器用に使えず、従来の絆創膏のように剥離紙をめくる動作は難しいと思いました。めくる動作が難しいなら、単純に引っ張る動作であればいいのではないかと思いつきました。

 

ー「プルペタ」の創作はどのように進みましたか。

平野:2人はとにかく創作が早かった。毎回の授業のたびに、何かしらの成果物がしっかりとしたボリュームで出てきていました。

石田:普段のプロダクトデザインは、スケッチして平面図から考えることもあるのですが、今回ブルペタは構造から考えました。紙を切って、引っ張って貼るという仕組みを考えてから、実際のデザインや素材の選定に進んでいきました。

 

ー石田さんと鈴木さん、どのような役割分担で「プルペタ」は出来上がっていったのでしょうか。

石田:ブルペタのアイディアは私が考案しました。箱のデザインも私の担当です。

鈴木:私は、大まかな構造が決まってから、番号のデザインやサイズ調整などを担当しました。

石田:使う素材の選定などは2人で進めていきました。

 

 

ーデザインパテントコンテストへの応募のきっかけは?

石田:デザインパテントコンテストのことは、全然知りませんでした。

鈴木:そういうコンテストがあるということも知らなかったです。

平野:15回の授業を経て出来上がった「プルペタ」を見て、これは完成度も高く、何より実用性に足るものだと考えました。他の教授にも見てもらったところ高評価で、過去に大学として応募実績のあったデザインパテントコンテストへの応募を勧めました。

 

 

ー「ここは絶対譲れなかった」というポイントがあれば教えてください。

石田:一般的な絆創膏は使うと剥離紙が2-3つ出てしまって、ゴミが多いのも気になっていました。プルペタはゴミが1つしか出ないような作りにしました。

鈴木:絆創膏を貼るときに、傷口に直接当たるパッドの部分を触ってしまうことがあります。これは衛生的でないなと思って、パッドに触れることのない作りにしたいなと思っていました。

 

 

ー受賞の知らせを聞いたときはいかがでしたか。

石田:「やば」って感じ…だったよね(笑)まさか受賞するとは思っていませんでした。

平野:優秀賞の30件が発表になり、ここには当然入るだろうなと私は思っていましたし、特別賞も可能性があるのではないかと思っていたところでした。でもダブル受賞は想定していなかったので、とても嬉しかったです。受賞することを目的とせず、ただこの「プルペタ」を多くの人に使ってほしいという2人の思いが、この結果につながったのではないかと考えています。

 

ー「プルペタ」を、どんな方に使っていただきたいと思いますか。

石田:アイディアの当初からあった、年を重ねて指紋が薄くなってしまった高齢者の方や、めくる動作が難しい小さなお子さんです。それから、水仕事で手が荒れてしまった方にも使っていただきたいです。創作の過程で実際に使ってみていただいて、評判もよかったので。

 

ー今後の目標や、やってみたいことがあれば教えてください。

鈴木:世の中の人にちゃんと使ってもらえるようなものをデザインしたいです。文房具が好きなので、文房具のデザインもやってみたいな。

石田:いろいろなプロダクトのデザインをやってみて、この道に進みたいというものを見つけられたらと思っています。

 

ー今日は貴重なお話をありがとうございました。ご受賞おめでとうございます!