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第23回 外国で特許を取得するための「外国出願」について引き続き教えてください。

出演 弁理士:濱田百合子先生 進行:富山幸代

パリ条約の加盟国の国民であれば、特許を取得したい国の法律に従って出願等の手続きをすれば、その国の国民と同様に平等に保護されます。

ラジオトーク

富山 日本弁士会プレゼンツ「こちら知的財産相談室」の時間です。こんにちは、富山幸代です。この時間は日常生活での出来事や身の回りのものを通じて、知的財産の意味や大切さを学ぶ番組です。今週の番組の回答者は、日本弁理士会広報センターの濱田百合子さんです。濱田さんよろしくお願いします。

濱田 こんにちは。弁理士の濱田百合子です。

富山 よろしくお願いします。

濱田 よろしくお願いします。

富山 早速ですが濱田さん、前回世界中で特許権を獲得するための「外国出願」について教えていただきました。約170ヶ国以上で認められていて、初めて世界的規模の特許権になるとは、気の遠くなるような話ですね。

濱田 そうですね。

富山 グローバル化がますます加速する今の時代にあっては、様々な国に認められることがまず最低限の条件となるわけですね。

濱田 はい。実際には特許をほしい国だけを選んで出す、ということが多いんですけどもね。でも外国出願が重要だということには変わりありません。それは、諸外国においても同様です。前回も話しましたが、特許や商標についての世界的な取り決めとして「パリ条約」というのがありますが、その加盟国が現在170ヶ国だということです。

富山 「パリ条約」前回も出てきましたよね。

濱田 はい、パリ条約というのは1883年にパリにおいて特許権などの工業所有権の保護に関して作成された国際条約です。特許だけに限らず、実用新案、意匠、商標、サービスマークなども含まれています。もちろん、パリ条約には日本も加盟しています。パリ条約の概略を説明しますと、パリ条約は世界特許のような1つの手続きで、1つの特許を世界的にとるといったものではありません。それぞれ各国でパリ条約に加盟している他の国の国民に対して、自分の国の国民と同じ保護をしましょうという「内外人平等の原則」というのを柱にしています。パリ条約の加盟国の国民であれば、特許をとりたい国の法律に従って、出願等の手続きをすれば、その国の国民と同様に平等に保護されますということですけれども、そうはいってもその国ごとに出願の手続き様式も言語も異なるわけですから、多数の国に1度に出願することは事実上不可能なわけです。そこでパリ条約では「優先権制度」という特別なルールを定めています。1番最初に出願した国への出願の日から1年以内にほかの国に出願すれば、その最初の出願の日に出願したと同様の取り扱いをしましょうという取り決めです。

富山 ということは、この条約によって地理的、時間的デメリットも軽減するわけですね。

濱田 そうですね。ですから日本にまず出願し、それから外国について状況をみて決めるということはできますね。またこの他に「特許協力条約PCT(Patent Cooperation Treaty)」といわれる条約があって、その取り決めに従って出願する方法もあります。

富山 PCTですか?

濱田 はい、それは国際出願とも言います。世界各国の出願の受理官庁、そこにPCT出願という特別な書式の出願をすると、加盟国である全ての国に同時に出願したと同様の効果を与えるという特別な出願制度です。ただそれはあくまでも国際的な出願の手続きであって、実際に特許を付与するかどうかの判断はあくまで各国の審査にゆだねられています。現在PCTには151ヶ国が加盟しています。外国出願するにはパリの条約上の規定に従ったパリルートというルートと、PCT出願を行うPCTルートの2つの方法があります。

富山 この2つの手続きどちらも利点があってどのいう方法を使えば良いのか、私たち一般の人には判断がつかないというのが素直な感想です。そんな時こそ日本弁理士会に相談できますね。

濱田 はい、そんな時私共弁理士をぜひ活用してください。日本弁理士会には無料の相談室がありますのでまずはこちらを活用してください。詳しくは日本弁理士会ホームページをご覧ください。

富山 濱田さん、ありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。

濱田 ありがとうございました。

富山 こちら知的財産相談室、この番組は日本弁理士会の提供でお送りしました。また次回をお楽しみに。お相手は富山幸代でした。

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