平成30年度パテントコンテスト 日本弁理士会会長賞の受賞者インタビュー


東京工業大学附属科学技術高等学校

東京工業大学附属科学技術高校は、今回初めてパテントコンテスト(以下、パテコン)に応募した。きっかけは同校に届いたパテコンのポスターだったと、同校システムデザイン・ロボット分野を指導する辰巳育男先生は言う。

「伸縮式カヤック」で弁理士会会長賞を受賞した同校システムデザイン・ロボット分野の早川宙良さん(応募時、2年生)は、小さい頃からものづくりが好きで、ものをつくることができる学校として同校に進学したと明かす。

辰巳先生は、早川さんのものづくりの才能を見込んで、パテコンに応募してみないかと声をかけたそうだ。それに対して早川さんは、技能を評価するのではなく、アイデアが評価されるという点に興味を持ったという。進級したばかりの春頃のことで、夏までに何かアイデアを思いついたら応募してみようと思っていた。

カヤックをテーマに決めたのは、夏になる少し前だった。自宅が海に近いこともあり、さまざまなマリンスポーツや釣りを楽しんできた早川さんは、自分のカヤックを持ちたいと思っていた。しかし短めのシーカヤックでも全長が3mほどある。保管場所の確保も、運ぶのも大変だ。自転車か徒歩でも運べるカヤックをつくろうと考えたのは、自分で使いたかったからだそうだ。

既存品には組み立て式、あるいは空気で膨らますタイプのカヤックはあるが、伸縮式のものは先行特許の検索でも出てこなかった。「運びやすさだけでなく、組み立てにかかる時間も短くしたかった」と伸縮式を選んだ理由を早川さんは語る。

そこで思いついたのが、振り出し式の釣り竿の利用である。中空の筒に入れ子になった伸縮式の竿は、しなやかさと強度を兼ね備え、80Kgの魚も釣り上げられるという。1,5mの釣り竿を2本つなげれば3mになるが、縮めた状態ならば30cmほどになるものもある。釣り竿5ないし6本で船の構造をつくり、船体布で覆ってカヤックの出来上がりだ。

難しかったのは、船体の両端になる部分で、複数の釣り竿を固定する方法だった。がっちり止めると、釣り竿を一定間隔で広げて船体の形をつくる際に先端が折れてしまう。角度が出せるような固定方法を考えなければならなかった。

そうした試行錯誤を繰り返しているうちに、応募の締め切りが迫っていた。「実は締め切りの3日前から書類を書き始めて、先生に見てもらう時間もありませんでした」と早川さんは苦笑する。だから弁理士会会長賞の受賞はとても驚きだったとか。そんな早川さんにパテコンに挑戦した感想を聞いてみた。

「自分のアイデアを言葉で表現する勉強になりましたし、そのアイデアが評価されたのはうれしかったです。特許出願はこれからも役に立つ経験だと感じています。出願支援が得られなければ、自分でつくって、使って終わりだったでしょう。実際のカヤックの制作は中断していたのですが、材料も用意したのでちゃんと形にしたいです」

パテコンについて辰巳先生は「頭の中にあるアイデアをアウトプットして、それが評価され、さらに特許出願ができることは、自信になります。出願書類を作成するために弁理士さんと話ができるだけでも、さまざまな面でプラスだと思います」と評価する。

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