成29年度パテントコンテスト 一関工業高等専門学校の受賞者へのインタビューについて




一関工業高等専門学校

 一関工業高等専門学校専攻科の千葉梨佳さんは、大根おろしなどをつくる「おろし器」の安全性を高めるアイデアが評価され、独立行政法人工業所有権情報・研修館理事長賞を受賞した。受賞について「応募も忘れていたくらいなので、とても意外でした。でも自分の作品が評価されたのはうれしかったです」と率直な気持ちを話してくれた。


 

 一関高専では5年次に知財に関する授業の一環として、同一学科内(機械科、電気科、制御科、化学科)でグループをつくり、各グループでパテコンに応募している。千葉さんも5年次に応募を経験したが、受賞には至らなかった。専攻科に進学してパテコンへの応募を組み込んだ少人数の授業を受講したが、パテコン応募を意識したわけではなかった。この専攻科1年次での応募は個人によるものだが、物質化学工学専攻の千葉さんは専攻分野での発明は考えなかったのか尋ねてみた。「化学分野の特許は実験の積み上げが必要で、難しいと考えていました。私は画期的な発明のできる人間じゃないので、ニッチ市場みたいな分野で挑戦するのがいいと思っていました」との答えが返ってきた。

 知財に関する授業で得た知識から、身の回りで欠点のあるものが発明のタネになると考えていたそうだ。自宅の台所で洗い物を手伝ったとき、「おろし器」が洗いにくく、危ないと感じたことが出発点だった。「おろし器」は表面に突起した刃で材料を粉砕する。

 千葉さんが発明した「おろし器」は、横一列に並ぶ大きめの刃が複数列ある「鬼おろし」の形状を参考にしている。小さな突起が多数ある一般的なおろし金ではなく、「鬼おろし」を知っていたことも、この発明につながっているのかもしれない。横一列の刃を倒して、本体と平面にできれば安全に洗うことができる。ポイントは、ワンアクションで刃を倒し、また起こせる仕組みと、起こした刃を固定することだ。このテーマにたどり着くまでは時間がかかったが、実現する仕組みはすぐに思いついたという。

 先行技術を検索してみると、おろし器の安全性に着目した製品はほとんどなかったことから、「すごい発明じゃなくても、提案できるかしれない」と思ったそうだ。授業では毎週、テーマを具体化していく進捗状況を報告する。それに対する同級生や先生からのアドバイスも得ながら、アイデアを形にしていった。また報告するために具体的な作品を言葉で表現する中で、自分が理解できていない点がわかり、アイデアを深めやすくなったという。応募に際しての発明提案書を作成する際も、発明内容を言葉にする難しさがあったと振り返る。

 特許出願支援を得た千葉さんは、弁理士による出願の仕組みや明細書の書き方などのレクチャーを受け、2月から出願書類を書き始めた。明細書で求められる特殊な文体については、特許関連の文献から学んだそうだ。学年末テストの期間と重なる時期の書類作成はなかなか大変だったようだが、「普通ではできない出願を経験する機会をいただいて、チャレンジできたことはよかったと思います。将来、この経験を役立てたいと思います」という。特許が取得できたら地元企業と協力して製品化することで地域貢献につなげたいと、千葉さんは抱負を語った。