日本弁理士会の活動

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先生のための(知財の)ひきだし!工業編

大人でも思わず引き込まれるおもしろ知財エピソード集です。 小学生から高校生までを対象に幅広くご利用ください。

テーマ:はんだ付け

Keywords はんだ、合金、フラックス
法域 特許法
教科 工業

 テレビ、パソコン、スマートフォンなどの電子機器の内部には、プリント回路板が入っています。このプリント回路板を作製するとき、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの電子部品を、プリント配線板に載せるためにはんだ付けを行います。

 はんだ付けの歴史は古く、紀元前3,000年頃には、はんだ付けが存在したと考えられています。例えば、ツタンカーメン王の墓からもはんだ付けを使った装飾品が出土しています。さらに、ギリシャーローマ時代になると、水道配管をスズ-鉛はんだで、はんだ付けした記録が残されています。

 はんだは、主成分のスズと他の金属の合金で、このように合金とすることで、融点をスズの融点よりを低くできるという自然法則を利用しているので、スズ-鉛はんだは発明です。つまり、スズ-鉛はんだという発明は、ギリシャーローマ時代にされ、それが現代まで使われています。

 一方で、現在でも、はんだ付けに関する発明が、年間で百件程度は特許出願されています。特許出願の内容を見てみますと、自然環境などに配慮した鉛を含まない無鉛はんだ(例えば、スズ、銀、銅の合金)に関するものが多いです。この無鉛はんだは、従来のスズ-鉛はんだよりも融点が高くなることから、はんだ付けに用いられるフラックス(松脂など)なども改良が必要になりました。このように、はんだ付けは、古くから利用されてきた技術なのですが、現在でも「鉛を含まない」といった新たな課題を見つけ、その改良をすることで、はんだ付けに関する新たな発明が生まれています。

(履歴情報)2025/03/12 掲載

テーマ:知的財産とアイデアの発想~産業の発達と知的財産法の関係~

Keywords 最初の特許法
法域 特許法
教科 工業

 

 世界最古の特許法は、ルネサンス期のイタリアで誕生したといわれています。ルネサンス期は、芸術や科学技術が発展した時代でした。このルネサンス期において、火薬(火砲)、活版印刷、羅針盤の三大発明が考え出されています。

 当時、イタリア半島には、ナポリ王国、ミラノ公国、フィレンツェ共和国、ヴェネツィア共和国などの複数の都市国家が存在しており、互いに激しいライバル関係にあり、科学技術の分野でも競い合っていました。

 ヴェネツィア共和国では、ガラス、銀、革などの加工技術が優れており、重要な収入源となっていました。これらの技術や職人を他の都市国家から守るため、1474年に、「発明者条例」を制定して、特許権を与え、発明を保護するようになりました。

 ちなみに、ルネサンス期には、「地動説」で有名なガリレオ・ガリレイがヴェネツィア共和国の大学教授をしており、この発明者条例を利用して、1594年9月15日に灌漑用の揚水機の特許を取得しています。

 ヴェネツィア共和国では、「発明者条例」の制定により技術者の利益が守られることとなりました。その結果、技術者の発明創作の意欲が刺激され、これにより新たな技術が生まれ、産業や工業が次第に発達していきました。

 この結果を受けて、イギリスやフランスなどの欧州各国に特許法が広まり、その後、イギリスにおける産業革命に繋がっていきます。

 このように、昔から特許法と工業には密接なつながりがあります。

 

<参考文献>

(1)独立行政法人 工業所有権情報・研修館.『アイデア活かそう未来へ 知的創造時代に向けて』、2012.

https://www.inpit.go.jp/jinzai/educate/kyouzai/H24aideaikasoumiraie.pdf,(参照2024-11-7

(履歴情報)2025/03/12 掲載