知的財産権とは

INTELLECTUAL-PROPERTY

弁理士法違反者を逮捕
(2016/6/22)

平成28年6月22日、長野県警生活環境課と軽井沢警察署は、弁理士の資格がないにもかかわらず、特許出願手続等の代理を行っていた小林喜代文(66)を弁理士法違反容疑で逮捕した。

 この事件は、本年3月に当会からの情報提供を受けて長野県警が捜査をしていたものである。

 この事件の被疑者である小林は、公的機関の発明相談員を務めていた頃から退職後に至るまで、来訪した相談者に対して特許出願を推奨し、報酬を得て書類の作成や代理行為を行っていたものである。

 当会では、被害者からの情報提供により事案を認識し、かつ、被疑者が企業知財担当であると共に、企業退職後は公的機関の発明相談員を務めていたという事実により本件事案の悪質性を強く認識したため、長野県警に情報を提供するに至ったものである。情報提供を受けた長野県警生活環境課は、軽井沢警察署内に捜査本部を設置し、小林の捜査に当たることになったものである。

 今後は被疑者の罪状を確定することになるが、知的財産制度の重要性が認識される今日にあって、公的機関の発明相談員という地位を悪用しつつ利用者に不利益を与え、知的財産制度の信用を害する非弁理士活動を行ったことに対して厳しい処罰が下されることを期待する。

【伊丹会長のコメント】

 本年3月に日本弁理士会から長野県警生活環境課に情報提供して以来、同県警のご尽力により、速やかに非弁理士活動者を検挙頂いたことに大変感謝しております。これもひとえに捜査関係者の方々が、知的財産制度や弁理士制度の重要性を理解してくださった結果によるものと考えております。

 厳しい経済状況が続く中、知的財産制度や弁理士制度に不慣れな中小企業をターゲットとした非弁行為は、企業に対して大きな損害を与える可能性があります。中小企業支援は国家的な喫緊の課題であり、各種の政策の一環としての、知的財産権の活用による成長戦略が推進されている中、非弁行為は知的財産制度の信頼を著しく傷つける行為であって我が国の知財活用の推進を阻害するものであります。

 それにもかかわらず、非弁行為や知的財産制度を悪用した犯罪、悪質商法が後を絶ちません。日本弁理士会は、今回の摘発が非弁行為の撲滅や悪質商法の周知に繋がり、被害を未然に回避できることを期待しております。
日本弁理士会では、引き続き、利用者を含む一般の方々の利益擁護と知的財産制度の円滑な運用に尽力して参ります。

 最後に、日本弁理士会では、知的財産に関するご相談を広く受け付けております。

知的財産に関する専門家である弁理士にお気軽にご相談ください。

【本件に関するお問合せ先】

日本弁理士会 広報室 電話:03-3519-2361