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よくあるご質問

Q. 8-2 出願書類(特許)の書き方について(その2)
-明細書の書き方についてもう少し詳しく説明してください。

Answer

明細書には、「発明の名称」、「技術分野」、「背景技術」、「先行技術文献」、「発明の概要」(「発明が解決しようとする課題」、「課題を解決するための手段」、「発明の効果」)、「図面の簡単な説明」、「発明を実施するための形態」等を記載します。

すでに、簡単に説明しましたように、発明を秘密にしておくのではなくて、世の中に公開するとともにその代償として特許権という独占権を得ようとするのが、特許制度の趣旨及び目的になります。つまり、私はこのような発明をしましたので世の中にその技術内容を公開しますという役目を負っているのがこの明細書です。ですから、この目的なり趣旨なりを十分に理解して書くことが必要になります。
一般的には、この明細書に記載する内容のうち、主となる発明の詳細な説明として、
〔技術分野〕
〔背景技術〕
〔発明の開示〕
という3つの大枠を記載する必要があります。

 

そして、この中でも、特に、〔発明の開示〕の中で、更に少なくとも
<発明が解決しようとする課題>
<課題を解決するための手段>
<発明の効果>
を記載します。

 

どうしてこのような大枠がでてくるかということの背景をご説明いたします。
私達は日常生活しておりますし、また会社などで生産活動に従事しています。そうすると、日常生活をしていても、毎日使っている電子レンジとか電気洗たく機などで不便を感じることがあります。この点が使い勝手が悪いとか、どうもガタツイて困るとか、いろいろあると思います。

 

このようなことが発明のきっかけとなるわけです。つまり、従来はこういう問題があって不便であったとか、これこれの点の改善が望まれていてもなかなかいい改善案が見つからなかったなどいろいろと、発明をするキッカケというのはほとんど従来技術の上にたってそれの改善とか改良をしているものだからです。

 

ですから、この発明した技術がどんな技術分野についてのものであるのか、という点をまず明確にするために、〔技術分野〕という大枠が出てきます。そして、その技術分野において、今までにあった技術より優れているからこそ、有用であるとして特許を受けるわけですから、次に、開発の前提となった今までの技術を明確にするために〔背景技術〕という大枠がでてきます。

 

そして、これらの前提を踏まえて、いよいよ、自分は一体どんな発明をしたのかを、〔発明の開示〕の中で説明していきます。
どうしてこのように大きくわけるかといいますと、普通、発明は、従来の技術とか製品とか製造方法などがあって、そこでの不便さ、問題などがあって、それを解決したり、改善したりすることによって行われるということから、このようにわけて頭の中を整理したほうが、発明者にとってもわかりやすいし、世の中の人にとってもなるほどそういうことかと納得しやすいからです。

 

とくに、〔発明の開示〕の記載が一番大事なところになりますから、もう少し詳しく説明します。
この場合、自分が発明した技術がどのように役立つのかを人にわかりやすく説明するためには、まず従来どのような不便さがあったのか、改善すべき点があった のかを書く必要があるわけです。これらの問題点が直接出願する発明をする動機、あるいはキッカケとなっているからです。しかし、全部の問題をすべて解決するというわけにはいきませんから、そのうちとくに早期に解決が望まれていた点だけを取り上げて解決するなどということもありますから、このような解決しようとする課題が何であるのかを書くことになります。このようなところが、<発明が解決しようとする課題>ということになります。

 

つぎに、出願の技術内容の本論です。従来このような問題があって困っていたが、私はこのようにしてその問題を克服しましたとか、解決しましたとかいう発明の内容になるわけです。そして、これを<課題を解決するための手段>として記載します。私は従来の欠点や問題をこのようにして解決しましたとか改善しましたという内容を記載する必要があり、実際にどのように解決したのかを具体的に書くことになります。たとえば、どんな材料を使用して解決したのかとか、どんな部品を使用して改善したのかとか、あるいはどのような機械構造にすることによって欠点を克服できたのかを具体的に書くことになります。

 

それに、そのような解決手段、あるいは改善策を採用することによって達成される効果にはどんなものがあるかを、実際に基づいて記載します。このような内容は通常<発明の効果>という見出しをつけて記載します。

 

つまり、そのような解決策や手段を採用することによって得られる効果というのは従来の問題点の裏返しということもありますが、そればかりではなく、副次的な効果もあります。たとえば従来ある問題点があってそれを解決したばかりではなく、製造するのが簡単となったとか、装置が小型化できたとか、省エネも同時に達成できたなどのこともあるかと思います。

 

このような、発明によって得られるメリット、あるいは効果を書くことが必要となります。その発明の内容によって、どんな便利さがあるのかを、特に今までの技術では得られなかったどんな利益があるのかを、記載することによって、特徴点が明確となるからです。

 

更に、解決手段としての発明の内容について、実際にその発明を実現化するときには、より具体的には、どんな材料や部品を用いることができるか、ということが問題となるので、<発明を実施するための最良の形態>の見出しをつけて書くことも推奨されています。

 

加えて、自らが実際に発明を実現化した例として、どのような材料とか構造としたのかを示す<実施例>の見出しをつけて書くことも必要となります。つまり、解決する手段として、A1という構造を採用したとしても、A2という変形もありえますし、A3という別の変形もありうるからです。このような場合にはA1という構造が実施例1、A2という構造が実施例2、A3という構造が実施例3ということにして記載すればいいわけです。

 

以上に説明した明細書の記載については、技術分野によって特徴があり内容も相当異なります。
技術分野によっては具体的なデータ、たとえば実験データを示して、あるいはデータに基づいて詳しく書かなければならない場合もありますし、機械や装置などの分野では、必要な説明図面、たとえば正面図、上面図、背面図、側面図などを用いて説明しなければなりません。さらに、電気などの分野では装置の図面ばかりではなく配線図とかブロック図、フローチャートなどを用いて説明をしなければならない場合もあります。

 

明細書の書き方はその分野ごとに違いますから、従来の公報の明細書をみてまねするばかりではなく、その分野の専門家の弁理士によく相談してください。