令和3年度デザインパテントコンテスト 選考委員長特別賞 受賞者インタビュー


大同大学

令和3年度のデザインパテントコンテスト(以下、デザインパテコン)で選考委員長特別賞に輝いたのは、「ティースプーン」で応募した大同大学情報学部3年(応募時)の川田脩斗さんだ。

川田さんのティースプーンは、紅茶などのティーバッグの水分を絞る機能を持ち、ゆるやかにカーブを描くデザインが特徴となっている。プロダクトデザイン専攻の川田さんは、CADの授業の課題だった木製スプーンでこの作品を考案した。アイデアの発端は、家族がティーバッグを使うのを見て、使用後に水分を含んだティーバッグを簡単に片付けられないかと思ったことだった。「スプーンでこれを解決できないか」と取り組んだのが、ティーバッグの水分を絞れる機能を持つデザインだ。いつも入浴時にタオルを端から絞っていく習慣があるそうで、同じようにティーバッグを握るようにして絞れる構造を考えた。そこで一般的なスプーンの柄に当たる部分の両側を山形に高くして、その中央に溝をつけてティーバッグの紐を通し、両側の山の間を引っ張り上げて水分を絞る構造になった。

ネットでさまざまな木製スプーンを調べてみると、金属製のスプーンより柔らかい感じのものが目についたことから、カーブの多いデザインを意識した。また、木材の特性を活かしたいと考えて、金属よりかなり軽いことに着目し、厚みのあるデザインにしようという着想も生まれた。デザインに取り掛かってから最終案になるまでに、20種類ほどの案があったという。中央の溝も最初は真っ直ぐだったが、柔らかい印象にするためにカーブをつけようと思い、角度なども変えて数パターンを考えたそうだ。

製作段階では3DCADの設計図で苦労した。形が複雑なので、底面と側面を分けないとうまくできなくて、何度かやり直しもした。最終的に底面と側面を一体化した設計図にして、切削機で作品を作った。製作に手間取り、できあがったのは提出期限ギリギリだったそうだ。形状は思っていた通りになったが、厚みのある分、実際のサイズより大きく感じられることは想定していなかった。全長は一般的なティースプーンと同じ15cmだが、ティーカップの横に置くと大きく感じるので「もう少し小さくてもよかったかな」という。実際の作品ができるまで、ティーバッグの水分がちゃんと絞れるかどうか不安だったが、できたスプーンで試してうまく絞れたので、ほっとしたそうだ。

デザインパテコンの応募は担当教授に勧められて、「まったく自信はなかった」が、教授に後押しされて決めた。やはり応募するという友人たちの作品を垣間見て、「デザインもしっかりしているし、みんなすごいなと思って、自分のはダメだと感じた」というくらいで、川田さんは自身の作品が事前選考に通ったことに「本当にびっくり」したと振り返る。「できれば優秀賞に残れたらいいな」とは思ったが、選考委員長特別賞の受賞はとにかく「驚きだった」と語る。実感がわいて、喜びとなったのは、しばらく経ってからのようだ。


受賞を経て意匠の出願も経験した。デザインを勉強する中で意匠についても学んでいたが「自分には遠い存在だと思っていました。意匠を出願できたことで、デザインの世界に一歩踏み出せたという感じがします」。コンテストに応募したのは初めてだったが、書類の提出に始まり、大学の外の人に自分のデザインを評価してもらったことは「いい経験」だったという。また受賞は就活でアピールできるポイントになることは、応募時には思ってもいなかったメリットだった。

将来は家具や物流資材など、機能を重視したデザインを手掛けたいという川田さん。社会に出てこの経験を活かしていきたいと、意気込んでいる。

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