日本弁理士会の活動

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先生のための(知財の)ひきだし!公民編

大人でも思わず引き込まれるおもしろ知財エピソード集です。 小学生から高校生までを対象に幅広くご利用ください。

テーマ:あの大統領も発明家

Keywords リンカーン、浅瀬でも運航できる船、浮力、空気室、アメリカ、憲法、天才の炎に、利益という油
法域 特許法
教科 公民

米国の第16代大統領のリンカーンは、「浅瀬を航行する船」の特許権(米国特許番号6469号、1849年)を得ています。 リンカーン大統領は、若いときにミシシッピ川を下ってニューオーリンズまで船荷を運んだ際に、浅瀬に乗り上げた船を、苦労して抜け出させたそうです。その後、五大湖を旅している途中でも、船が座礁したこともあったそうです。こうしたことをなくすために、船の水面下の船腹に、空気で膨らませ浮力を調整できる空気室を設けた船を発明したそうです。スミソニアン博物館にはその模型が展示されています。

リンカーン大統領は自身の1859年の演説の中で、「特許制度は、発明者がした発明を一定期間、独占的に使用する権利を保障することによって、新しい役に立つものごとの発見や生産における天才の炎に、利益という油を注いだ。」と紹介しています。

特許の図面

左の図面は、特許の図面です。
(履歴情報) 2015/03/24 掲載

テーマ:9番目の高等裁判所

Keywords 司法、裁判所、高等裁判所、特別裁判所、憲法、憲法76条
法域 特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法
教科 公民(政治・経済)

 裁判所には、最高裁判所の他に、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所がありますが、高等裁判所という名前がついた裁判所はいくつあるか知っていますか?

 東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松の8つだけだと思っている人はいないでしょうか。

 2005年4月からは高等裁判所という名前がついた裁判所は9つに増えました。9番目の高等裁判所は、知的財産高等裁判所です。この知的財産高等裁判所は、知的財産に関する争いを専門的に扱う高等裁判所です。

 あれ? 特別の事件を裁く裁判所は、特別裁判所だから憲法76条2項で設置が禁じられていなかったっけ?

 いいえ、知的財産高等裁判所は、東京高等裁判所の特別の支部として設置されていますので、憲法が禁じる特別裁判所には該当しないのです。

履歴情報)2015/03/24 掲載

テーマ:エジソンと議会

Keywords エジソン
法域 特許
教科 公民

 公民の授業では、多くの議員で構成された「議会」について学ぶ時間があるはずです。「議会」が重要なことを決めるのに役立つことは知られていますが、色々な発明をしたことで有名なエジソンにとっても、「議会」は興味深いものであったようです。
というのも、エジソンが初めて特許を取得した発明は、「議会」における賛成票と反対票を素早く集計できる機械についてのものだったからです。エジソンの興味は科学技術に留まるだけではなかったのでしょうね。
残念ながら、この発明が当時の議会で採用されることはなかったようですが、その後も、色々な特許を取得していきました。エジソンも最初から順風満帆というわけにはいかなかったようですが、へこたれずに進むことで、次々と新しい道を切り拓いていったのです。

履歴情報)2021/02/19 掲載

テーマ:制度をつくり、制度を支える ~高橋是清と特許庁~

Keywords 公民、歴史、特許庁
法域 特許、商標
教科 公民

 みなさん、歴史上の財政家として有名な人物である高橋是清を知っていますか?是清は1854年に江戸で生まれ、若い頃にアメリカへ渡るなど国際経験を積みました。帰国後は文部省や農商務省で働き、1887年、明治時代に初代特許局長(現在の特許庁長官)となり、日本の特許制度の基礎を築きました。その後、日本銀行総裁や内閣総理大臣を務め、昭和に入ってからは大蔵大臣(現在の財務大臣)として昭和恐慌の中で日本経済の立て直しに取り組みました。
 特許庁のホームページによると、是清は、商標制度や特許制度がまだ十分に理解されていなかった時代に、欧米の制度を調査しながら日本の工業所有権制度の基礎を築いた人物として紹介されています。当時は、それまで信用・評判を守ってきた「暖簾(のれん)」と、登録により排他的権利が生じる「商標」との違いは、十分に理解されていませんでした。こうした状況の中で、明治という新しい時代に「知的財産を守る仕組み」が日本にも必要だと考え、制度づくりに尽力したのですね。
 ところで、特許庁長官は何をする人なのでしょうか。「東京特許許可局」という早口言葉がありますが、実在した役所ではありません。ただ、「許可局」という言葉を聞くと、特許庁長官が特許を許可しているような印象を受けます。では、特許庁長官は本当に特許を“許可”する立場なのでしょうか。実は、法律上、特許庁長官は特許を許可する、つまり特許査定をする立場にはありません。特許査定を行うのは審査官です(特許法第51条)。特許庁長官は、査定があったときにその謄本を特許出願人に送達する役目を担っています(特許法第52条第2項)。制度を運営するトップではありますが、個々の特許の可否を判断するのは審査官なのですね。
 歴史上の大政治家である高橋是清と、現在の特許制度の仕組みを重ねてみると、「制度を築くこと」と「制度を運営すること」という、それぞれ異なる役割の大切さが見えてきます。また、制度の運営においても、「特許庁長官」と「審査官」との間で明確な役割分担がなされています。
 明治に特許制度の基礎を築いた高橋是清。そして現在、その制度を法律に基づいて運営し、全体を統括しているのが特許庁長官であり、特許を認めるかどうかを判断するのは審査官です。こうした役割分担の上に、今日の知的財産制度は成り立っているのですね。


<参考文献>
特許庁HP「初代特許庁長官 高橋是清について」
https://www.jpo.go.jp/introduction/rekishi/shodai-choukan.html

履歴情報)2026/03/24 掲載