日本弁理士会の活動

ACTIVITY

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特許出願等援助制度

特許出願等援助制度とは、優れた発明、考案又は意匠の創作(以下「発明等」という。)及び事業活動の擁護に資することを目的として、特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願又は当該事業活動に使用する商標の商標登録出願及びこれらに関連する手続(以下「特許出願等の手続」という。)を行おうとする者に対して、日本弁理士会が援助する制度です(会令第23号第1条)。なお、外国出願は、援助対象となりません。
本制度は、公的な援助制度ではなく、日本弁理士会会員である弁理士が拠出する会費による予算の範囲内で実行される援助制度です。援助をすべきか否かの審査は日本弁理士会がします。当該審査の結果に対する不服申立はできませんので、ご留意願います。
なお、本制度及び具体的な運用等は、日本弁理士会の都合により予告なしに改訂される場合があります。

〈会員の皆様へ〉
特許出願等援助制度は、日本弁理士会による社会貢献活動の一つです。
このため、当該活動が特定の会員に集中し、当該会員の負担が過度に増大することが無いように、可能な限り、多くの会員で当該活動を分担できるようご配慮願います。

特許出願等援助制度の内容

援助の対象

下記の要件を満たす発明、考案若しくは意匠(以下、「発明等」という。)、及び商標を使用する事業活動が援助対象となります。

<発明等について>

 
申請書に記載された援助を求める発明等が少なくとも審査時において「有用性のある発明等であって、新規事業の創出等、何らかの形で社会に貢献する可能性が高く、かつ特許等になる蓋然性がある」こと。

このため、発明等については、少なくとも審査時において新規なものである必要があります。なお、新規性喪失の例外の利用をした出願は援助の対象となりません。

 

<事業活動について>

 
「有用性のある事業活動であって、当該事業活動を既に実施している又は当該事業活動についての実施計画が既に具体的に定まっている事業であり、かつ、何らかの形で社会に貢献する可能性が高い」こと。

なお、出願済みのものは、援助申請の対象となりません。
※援助申請後、援助決定前に出願することは可能です。ただし、援助が認められない場合、費用は全額自己負担となりますのでご了承ください。


援助の対象となる者(申請者)

(1)個人:本人及びその配偶者の援助申請時の年収額(賞与を含む)の合計額が特許出願等援助規則施行細則(内規第57号)の別表1に定める基準以下の場合。

 

(2)中小企業:設立から7年以内であって、直近の年間純利益が500万円を超えない、又は設立から7年を超え、かつ直近の年間純利益がゼロ円以下であり、特許出願等の手続費用を支払うと会社の経営が困難になる場合。

 

(3)大学、TLO:特許出願等の手続費用を支払うことが困難な場合。


申請、援助回数の制限

・同一の申請者又は同一人とみなせる申請者による申請は、当会の同一会計年度内で2件までとします。

・同一の申請者又は同一人とみなせる申請者に対する援助は、当会の同一会計年度内で1件までとします。

 

援助の内容等

(1)援助の内容

特許出願等の手続に要する費用(弁理士報酬及び特許印紙などの諸経費を含む。以下「手続費用」という。)の一部を日本弁理士会(以下、「当会」という。)が負担します。なお、具体的な負担額(以下、「援助金」という。)は、当会の執行役員会にて決定されます。


<援助金の上限額>
・特許出願…最大15万円
・実用新案登録出願…最大10万円
・意匠登録出願…最大7万円
・商標登録出願…最大5万円

※手続費用が援助額を下回る場合は、手続費用分までを援助いたします。

 

(2)手続費用には、以下の費用は含まれません。

①拒絶理由通知に対応する応答手続き費用

②審判手続費用

③特許料及び登録料

 

(3)援助金の支払い

援助金は、援助の対象となる出願が完了したことを当会が確認した後、申請者に支払います。

上記の出願完了確認のため、出願書類の電子データ及び出願の受領書を当会に送付してください。

・特許出願又は実用新案登録出願の場合の出願書類とは、少なくとも願書、明細書及び特許請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲です。

・意匠登録出願の出願書類とは、少なくとも願書及び図面です。

・商標登録出願の出願書類とは、少なくとも願書です。


なお、援助対象となる出願の手続は、弁理士が代理した出願に限ります。代理人弁理士が規則に定める特別な事由(内規第57号第12条の2)に該当する場合、代理人弁理士の変更を求める可能性があります。

 

援助の可否

申請書に基づいて、当会の知的財産支援センターにて審査をし、援助の可否を決定します。審査にあたっては、必要に応じて面接を行う場合があります。

特許出願等援助制度の手続等

審査

申請は随時受け付け、当会の知的財産支援センターにて、原則として毎月 1 回 、援助の可否の審査を行います。
審査は速やかに行いますが、翌月以降の審査となる場合もありますので、ご了承ください。

なお、審査の結果、不採用となった場合の理由等に関しては、一切お答えできません。
また、当該審査は、特許庁での登録の可否を審査するものではありません。

援助の実施

援助金は、援助の対象となる出願が完了し、手続に要する費用を代理人弁理士に支払ったことを当会が確認した後、申請者(以下、「被援助者」ともいう。)に支払います。上記の出願完了確認のため、出願書類の電子データ及び出願の受領書を当会に送付してください。

なお、以下の場合は、援助を停止する場合があります。

(1)願書に記載された出願人と申請者とが完全一致していない場合

   ※申請者とは、当会にて援助の可否を審査する際に「申請書に記載された申請者」です。

(2) 「出願内容が特許法第36条第4項及び同条第6項各号の要件を満たさない蓋然性が高い」と当会が判断した場合

秘密保持

審査等の手続きは、申請内容(申請者の経済的事情等も含む。)が洩れることがないよう厳重な管理のもとに進められます。
ただし、援助金が支払われた申請については、以下の項目を当会のホームページ上で公開致します。
①発明等の名称、②援助金額、③受任弁理士名、④権利化の可否、⑤被援助者の性別、年齢層、職業、法人の場合の業種、規模(資本金、従業者概数)
なお、被援助者の氏名又は団体名、発明等の詳細などその他の事項については、当該被援助者の了解を得た場合に限り、公開致します。


※注意事項
(1)この特許出願等援助制度の適用を受けたことは特許庁の審査に何ら影響を与えるものではありません。
(2)本制度は日本弁理士会が運用するものであり、他の同様な制度とは何ら関係するものではありません。
(3)他の助成制度により特許出願等についての援助を受けている場合は、本制度の対象とはなりません。

申請方法

申請書(Word形式)及び添付書類を、下記の送付先までメールでお送りください。なお、紙媒体による申請書の受領はできませんので、ご留意願います。

【申請書類の送付先】

日本弁理士会 知的財産支援センター事務局
Mail:enjoseido@jpaa.or.jp

(1)申請書

特許出願等援助申請書 様式
(Word形式)

(2)添付書類

【共通】
○資力を証明する書面
○登記事項証明書又は登記簿謄本(個人の場合は世帯全部の住民票)※発行から3ヶ月以内のもの
○「発明」、「考案」、「意匠」又は「商標登録出願の援助を受けて実施する事業活動(以下、「商標援助対象事業」という。)」の実施計画書(様式自由) ※記載内容は申請書の備考欄6、7をご参照ください。

援助希望の出願が「特許」「実用新案」の場合
○「発明」の詳細な説明書及び「発明」の簡単な説明書の様式【記載例1】

「発明」に関する様式(記載例1)
(Word形式)

○「考案」の詳細な説明書及び「考案」の簡単な説明書の様式【記載例2】

 

「考案」に関する様式(記載例2)
(Word形式)

 

援助希望の出願が「意匠」の場合
○援助を希望する「意匠」が記載された書面の様式【記載例3】

「意匠」に関する様式(記載例3)
(Word形式)

 

援助希望の出願が「商標」の場合
○商標援助対象事業の説明、並びに商標登録を受けようとする商標、及び当該商標を使用する商品又は役務等が記載された書面の様式【記載例4】

「商標」に関する様式(記載例4)
(Word形式)

(3)参考(日本弁理士会規則)


特許出願等援助規則(会令第23号) (PDF形式)
特許出願等援助規則施行細則(内規第57号) (PDF形式)
特許出願等援助規則施行細則 別表1 (PDF形式)

問い合わせ先:日本弁理士会知的財産支援センター事務局

電話:03-3519-2709(平日9:00~17:00)
Mail: enjoseido@jpaa.or.jp

特許出願等援助制度 Q&A

Ⅰ.申請者について

外国人の申請は認められますか?
外国人も条件によっては、本制度の対象者となります。
(説明)
審査及び援助実行の都合から、申請者自身と国内で日本語により連絡が取れることが条件となりますが、国籍に制限はありません。但し、企業の駐在員など一時的滞在者と認められる者は対象となりません。
なお、申請者とは、申請書に記載された申請者です。申請書とは、内規第57号の様式1により作成した特許出願等援助申請書です。
定まった連絡先や連絡手段を持たないのですが、構いませんか?
郵便物の届く住所が国内にあり、かつ、電話(携帯電話も可)をお持ちでないと手続を円滑に進めることができませんので、対象者となりません。
会社経営者は本制度を利用することができますか?
発明者等であれば本制度を利用することができます。
個人として申請したときに出願人を会社とすることができますか?

できません。

申請者と願書に記載された出願人とは完全同一である必要があります。

例えば、「申請者が夫、出願人がその妻」、「申請者がA及びB、出願人がA」や「申請者がA、出願人がA及びB」という形態も認められません。

専業主婦も援助対象となりますか?
配偶者との合計収入が所定条件を満たせば援助対象となります。
(説明)
申請者が自然人である場合は、配偶者との合計収入を勘案して生活の困窮度を推定します。なお、所定条件は、特許出願等援助規則施行細則(内規第57号)の別表1に規定されています。詳しくは当会にお問い合わせください。
ベンチャー企業、中小企業は援助対象となりますか?
援助対象となります。
TLOは援助対象となりますか?
援助対象となります。
(説明)
TLO及び大学の発明も援助対象です。
弁理士が申請者として、本制度を利用できますか?
できません。
なお、「申請者である法人の代表者が弁理士である」場合も本制度を利用できません。


Ⅱ.援助対象となる発明等及び事業活動について

援助を受けようとする発明等の販売を既に始めています。援助(特許出願・実用新案登録出願・意匠登録出願)を受けることができますか?

できません。

援助を受けようととする発明等が、少なくとも審査時において新規なものである必要があります。このため、新規性喪失の例外の利用をした出願は援助の対象となりません。

援助を受けようとする事業活動を既に始めています。援助(商標登録出願)を受けることができますか?

できます。

援助を受けようとする事業が、有用性のある事業活動であって、かつ、何らかの形で社会に貢献する可能性が高いことが必要となります。

発明等及び事業活動実施の具体的なスケジュールはありませんが、援助を受けることができますか?

「実施」は、実施の内容に具体性が必要です。

このため、実施の具体的な計画及びその計画の裏付けが無い場合には、援助を受けることができません。

計画の裏付けが無い場合とは、例えば、「当該計画が、申請者の希望又は願望の域を出ない」と当会が判断した場合等です。

実用新案や意匠、商標なども援助の対象となりますか?
援助対象となります。
関連意匠や部分意匠も援助の対象となりますか?
援助対象となります。
外国への出願は援助の対象となりますか?
日本国内特許のみが対象となり、外国出願は援助対象となりません。
PCT出願は援助の対象となりますか?
PCT出願は対象となりません。
出願後に援助申請してもよいですか?

出願済みのものは、申請できません。
ただし、申請後、援助決定前に出願することは可能です。なお、援助が認められない場合、費用は全額自己負担となりますのでご了承ください。

分割出願は援助の対象となりますか?

分割出願は援助の対象となりません。

審査で採用されなかった内容を再度申請しても良いですか?
前回から改善された内容であれば再度申請していただいても結構です。
国内優先権を主張する特許出願は、援助の対象となりますか?
所定条件を満たせば、援助対象となります。

(説明)国内優先権出願も我が国への特許出願の一種であるため、援助対象となります。但し、審査の対象となる発明等、つまり申請発明等は、優先権の基礎となる出願の明細書及び図面等に記載されていない発明等です。したがって、申請発明等が優先権の基礎となる出願の明細書及び図面等に記載された発明等と同一又は実質的に同一の場合には、援助を受けることができません。
実施例の数はいくつまで認められますか?
実施例の数に制限はありませんが、膨大な記載や多数の図面が必要な場合、当会からの援助金額だけでは受任弁理士の費用が足りない可能性もあります。
きわめて特殊な分野の高度な発明でも審査できますか?
特殊な技術分野の場合は、審査に長時間要する可能性があります。


Ⅲ.申請手続について

申請書等の記載方法及び送付等に関して教えてください。
申請書等は「特許出願等援助申請書 様式(Word形式)」からダウンロードし、各記載例に準じて、作成してください。申請書は、必ず、電子データ(Word形式)で下記の事務局まで送付してください。

【申請書類の送付先】

日本弁理士会 知的財産支援センター事務局
Mail:enjoseido@jpaa.or.jp
個人が資力を証明するにはどんな方法を用いたらよいですか?
例えば、給与証明書や源泉徴収票などで証明してください。なお、個人の場合は世帯収入にて審査を行いますので、申請者のほか、配偶者及び同居家族の資力を証明する書面も合わせて提出してください。
特許又は実用新案に関する申請の場合、申請書に添付する「説明書」の「従来技術を示す先行技術文献」について、先行技術文献はどのように調べればよいですか?
先行技術文献は、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供する「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」やインターネット等を利用して検索することができます。

■「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

ご自身で調査することが難しい場合は、以下の窓口でも無料で相談することが可能です。

■INPIT「知財総合支援窓口」 https://chizai-portal.inpit.go.jp/
TLOや大学が資力を証明するにはどうすればよいですか?
特許出願に関連する部分の予算書と共に、その予算内で特許出願が困難であるということを説明文として添えてください。
中小企業者が申請する場合にはどのような証明書が必要ですか?
登記簿謄本と決算報告書等を提出していただきます。
上記の証明書等は、どのように送付すればよいでしょうか?
上記の証明書等を電子データ化して、申請書と共に送付してください。 証明書等の電子データ化は、例えば、スキャナによるPDF変換やデジタルカメラによる撮影等の方法があります。
発明等の新規性の有無及びその根拠を記載することになっていますが、新規性などは日本弁理士会の方で判定するのではありませんか?
申請者が分かる範囲で記載してください。
代理人弁理士は指定するべきでしょうか?
希望する弁理士がいない場合には申請時に指定する必要はありません。
(説明)
心当たりの弁理士がいない場合は、当会ホームページで提供している弁理士ナビをお使いください。また、当会の知的財産に関する無料相談等を利用して弁理士を探すことも可能です。

・弁理士ナビ https://www.benrishi-navi.com/
・知的財産に関する無料相談 https://www.jpaa.or.jp/free_consultation/
申請書にどの程度の内容を記載すべきかが分かる具体的な雛形はありませんか?
雛形を用意していますのでご利用ください。
申請件数に上限はありますか?
同一会計年度内に特許、実用新案、意匠及び商標を合わせて2件まで申請を受け付けます。援助の可否を問わず、同一会計年度内に2件を超える申請は受け付けられません。また、援助は同一会計年度内で1件までです。

Ⅳ.審査手続について

審査基準は公表されていますか?
援助の可否を決定する基準は非公開になっています。
申請した内容について、特許性や登録性の判断をしてもらえますか?
当会が援助する対象として適格かを判定するだけです。また、結論に達した理由についてはお知らせできません。

Ⅴ.援助決定後の事項について

採用になった場合、氏名は公表されますか?
申請者の承諾を得ないかぎり、氏名の公表はありません。
出願完了確認のために送付する出願書類及び受領書は、どのように送付すればよいでしょうか?
特許庁に出願した出願書類の電子データを下記の事務局まで送付してください。
・特許出願又は実用新案登録出願の場合の出願書類とは、少なくとも願書、明細書及び特許請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲です。
・意匠登録出願の出願書類とは、少なくとも願書及び図面です。
・商標登録出願の出願書類とは、少なくとも願書です。
なお、出願書類の電子データの変換は、出願を代理した弁理士に依頼して下さい。

【送付先】

日本弁理士会 知的財産支援センター事務局
Mail:enjoseido@jpaa.or.jp
不採用になった内容を特許庁に出願してもよいですか?
もちろん結構です。
(説明)
当会は、本制度の援助対象であるかの審査を行っただけであるため、特許庁の審査とは全く無関係です。
援助対象となって選定した弁理士に、出願以降の手続を依頼するときには別途契約が必要ですか?
通常は、改めて契約を結ぶ必要はありません。
(説明)
委任を受けた弁理士は解任あるいは辞任しないかぎりその後の手続も行うのが普通ですので、別途契約する必要はありません。ご心配なら念のため口頭または書面で「今後も頼みます」と伝えておかれてはいかがでしょう。もちろん、出願後に弁理士に不都合がある場合は解任することもできます。なお、出願以降に発生する料金については、被援助者の負担となります。
出願後、侵害等で警告を受けた場合にどうすればよいのですか?
出願後の事件は全て申請者の責任で対処してください。
(説明)
侵害等の警告を受けた場合は、本人の責任において対処してください。