会長あいさつ・意見・声明

OPINION

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令和4年度 会長就任2年目のご挨拶

就任2年目のご挨拶

知的財産が支える社会をデザインする!

会長 杉村 純子 日本弁理士会会長 杉村純子

 

 

本年4 月1 日より,日本弁理士会会長に就任して2 年目に入りました。日頃より,日本弁理士会の会務に深いご理解とご協力をいただき,心から感謝申し上げます。

令和3 年度は,新型コロナウイルス感染症の蔓延が続く1 年でした。このような未曽有のパンデミックにおいて亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに,社会のため人命のためにコロナ禍においても日々奮闘くださっている方々に深く敬意と感謝を表します。

 就任1 年目の令和3 年度は,コロナ渦での会務運営となりましたが,執行部が一丸となり,「時代の変化をチャンスに!」をスローガンに,工夫をしながら活動を積極的に進めてまいりました。

 2 年目は,前年度の経験を踏まえ,「知的財産が支える社会をデザインする!」を目標に,リモートワークやDX 化の更なる促進,ニューノーマル時代に向けた取り組みが進む環境の中で,時代の流れに即した観点に立脚した戦略の見直し,日本弁理士会の活動の中に社会的課題であるSDGs を位置付け,各事業を推進し,会員への十全なサポートを提供してまいりたいと考えております。

また,本年度は中華商標協会と日本弁理士会との協定締結20 周年の年であり,また韓国弁理士会と日本弁理士会との交流40 周年の年でもあります。この機会に,本年度は,あらためてアジア・欧州等の諸外国の弁理士会等との連携を深めていく所存です。

 

1.はじめに

本年度も続くと考えられる新型コロナウイルス感染症の蔓延は,我が国をはじめ世界全体の経済に多大な影響を与えており,2 年以上に亘り,感染拡大の抑制と経済の維持・回復という微妙なバランスの中で各種政策・事業が展開されてきております。

その中でこのコロナ時代を生き抜く方策として「新生活様式(ニューノーマル)」が提唱され,リモートワーク,DX 化の促進等が実施され,人類の知恵により新しい分野が発展してまいりました。

 DX,AI やIoT などの新たな技術分野の進展,サプライチェーンの変革,グローバル競争の激化など,知的財産を利用する経済産業の環境は大きく変化している転換期を迎えています。

 そのような中で,知的財産の活用度の指標となる特許,実用新案の出願件数は,中国や米国など他の先進諸国において増加傾向にある一方,我が国においては大きく落ち込む結果となっておりますが,環境技術については,世界トップの出願件数を有しております。

また,本年1 月には,内閣府より「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン」が発表され,弁理士に対しても,知財を経営に活かすコンサル業務への関与の期待が高まっております。

 

 国内外において厳しい環境下であるが故に,熱い気持ち,弁理士が活躍する未来社会の実現に向けて,本年度も各事業を積極的に展開していきます。いくつかの事業について以下に記載いたします。

 

2.事業

(1)ユーザーにとって魅力ある知財制度の提言

新型コロナウイルスのような新たな感染症に対応できる強靭な社会形成など,社会構造が急速に変化する中で,知財制度の利活用形態も変化しています。

昨年度は,内閣府,経済産業省,特許庁,文化庁,農林水産省等に対して,35 件のパブリックコメントを提出し,積極的に政策提言をいたしました。

本年度も,関係各所と意見交換を積極的に行い,今後の社会ニーズにマッチしたユーザーにとって魅力ある知財制度を実現し,弁理士が活躍できる土壌を構築するため,日本弁理士会が積極的にリーダシップを発揮し,政策提言をします。

(2)スタートアップ知財支援元年を宣言

昨年春に「JPAA 知財サポートデスク」を設置して,中小企業やスタートアップの支援窓口の明確化を図るとともに,本年1 月に日本弁理士会は「スタートアップ知財支援元年」を改めて宣言いたしました。これまでもスタートアップや中小企業を支援してまいりましたが,本年度は特にスタートアップ支援に力を入れてきます。特に地域経済の活性化を図るためには,各地域におけるスタートアップが知財を経営に取り込んで発展いただくことが重要です。大学発のスタートアップを含め,各地域のスタートアップの発展は,地域経済の活性化につながります。

日本弁理士会は9 つの地域会があり,各地域会の事業は,日本弁理士会が行う活動の中でも,国民や一般事業者等に最も近い活動です。スタートアップ支援に関しても,昨年度創設した「中小企業知財経営推進本部」を本年度も継続し,スタートアップも対象とすることとして,各地域間の意見交換を密にして支援の連携を図るとともに,ベンチャーキャピタル(VC)との連携も図り,各地域会の活動が活発化できるように,本会と各地域会が一体となって,地域に根ざした地域知財の活性化による地域支援を強化・実施していきます。

 特に,日本弁理士会は,2025 年に大阪で開催される大阪・関西万博の共創パートナーに昨年登録されました。知的財産で社会課題を解決して,優れた技術等を社会実装するために,関連省庁とも連携しながら中小企業やスタートアップの知財面での支援を強化していきます。

(3)知財制度・弁理士制度を支える日本弁理士会の組織・機能強化及び会員の利便性向上

昨年度は,継続研修をライブ配信で提供し,また各地域会により開催される地域会研修についてもe ラーニング化を図り,多様な形態の研修を提供することで,会員の皆様の研修機会の拡充を図りました。本年度は,更にハイブリッド研修が継続研修も適用できるように,会員の皆様の利便性向上を推進してまいります。

また,新型コロナウイルスに対応する新生活様式へ積極的に適合させるべく,既存の事業・予算や,日本弁理士会の地域会と本会との役割分担などを見直し,時代や環境の変化に対応させるとともに,地域に根ざした地域知財を活性化すべく会全体としての組織的・機能的強化を図ります。

 更に,本年度5 月より,希望に応じて日本弁理士会本会からの郵便物の送付先を,従来の主事務所から弁理士会に登録されている従たる事務所や自宅に配送することを可能とし,コロナ禍に適した送付物の配信を行います。また弁理士ナビに掲載される主たる事務所の住所についても,希望する場合には,一定の条件のもとで町名と番地は公表しないようして,会員のプライバシー保護にも配慮してまいります。

 また,ウェブを活用して,海外が主催となる会合や,他国の関連団体・関連機関との意見交換会を活発化して会員の皆様に情報をタイムリーに提供するとともに,日本の知財プレゼンスの向上に貢献していきます。

 社会的課題であるSDGs を実現するため,弁理士が果たすべき役割について検討を開始します。会員の皆様にもご意見を頂戴することになるかもしれませんがその際にはご協力をお願いします。

 全ての事業が,会員からの会費収入を主たる財源として活動している以上,その事業の必要性や経費については,全会員に対して説明する責任があります。貴重な財源を無駄にせず,事業の費用対効果を最大限にするためにも,本会や地域会の事業だけでなく,固定費についても見直し,より低コストで効果的な事業への転換や創出(事業のスリム化)を図ってまいります。

(4)若手人材の積極的育成・ダイバーシティ推進

知財制度を支える弁理士制度が,今後も永続的に発展・継続していくためには,弁理士制度を担う人材,特に若手人材の育成が重要です。

 昨年度は,若手人材と会長が自由闊達に意見交換を行う会を複数回開催し,得られた貴重な情報を参考に,会務運営にも活かしてまいりました。本年度も次世代を担う若手弁理士と意見交換の場をできるだけ多く設け,より良い会務運営に反映させていきます。

 また多様な経験の機会を提供すべく,本年度もWIPO 職員募集等の情報を提供いたしますので,ぜひチャレンジしてください。昨年は,弁理士がWIPO 職員に登用されております。

 更に他機関や他国のダイバーシティ関係部署と意見交換を実施し,知財業界,弁理士業界のダイバーシティを推進していきます。昨年度は女性会員で構成されていたダイバーシティ委員会ですが,男性会員もぜひご参加いただきたいと思います。

 

3.まとめ

事業の見直しや事業の再構築を進めて行く上で不可欠なのは,会員の皆様のご理解でございます。そのためには,広く情報を共有しながら,会員の皆様と一緒に知恵を絞り,答えを出すプロセスを重視したいと考えています。夢ある未来社会の実現に向け,弁理士が得意な知的財産を通じて,一歩ずつ歩みを確実に進めていきたいと思います。皆様のご支援,ご協力をお願いいたします。