農水知財の活用Q&A

ブランド

地域の農産品のブランド化に際し、商標制度とGI登録制度の違いを教えて下さい。

(1)登録を受ける主体について
商標制度は、地域の農産品のブランドについて独占使用する権利を与えることによりブランドを保護するため、商標登録出願を行うことができるのは個人又は法人に限られます。さらに、地域団体商標の場合は、出願を行うことができる者は、特定の組合、商工会、商工会議所、NPO法人等に限られます。したがって、法人格のない社団は、商標登録を受けることができません。一方、地理的表示(GI)登録保護制度(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(GI法))では、地域の共有財産として産品の名称を保護するため、GI登録の申請を行うことができる者は、生産・加工業者を構成員として含む団体に加え、法人格を有しないブランド協議会等も含まれます。

(2)登録の対象となる名称について
商標登録を受けようとする商標は、自身(生産者又は生産者グループ)の取り扱う商品(自身の生産する野菜等)について使用されるブランド名が、自身の商品、役務を他人の商品、役務と区別することができるものであること(自他商品等識別力:商標法3条1項各号)、公益に反する商標、他人の商標と紛らわしい商標等の不登録事由に該当しないものであること(商標法4条1項各号)等の登録要件を満たしている必要があります。
通常の商標の場合、文字以外に図形等も登録の対象となりますが、地域団体商標の場合、登録の対象となる名称は、「産地名称」+「産品の普通名称」等の特定の構成を有する文字からなるものである必要があります。ただし、このような構成は自他商品等識別力を欠くため、登録を受けるためには、使用の結果、一定の範囲で周知性を獲得している必要があります。
GIの場合、登録の対象となる名称は文字からなるものに限られますが、名称からその産品が特定できる必要があります(GI法2条3項)。地域団体商標と違い、周知性は必ずしも必要ありませんが、ある程度の使用実績が必要となります。また、地域団体商標のように名称から産品が特定できれば、名称に産地を含む必要はありません。
以上述べたように、これからブランド化を行うような使用実績のない名称についてブランド化を図る場合には、地域団体商標やGIではなく、通常の商標として登録を受けることになります。

(3)登録の対象となる産品について
商標登録の対象となるのは、全ての商品及びサービスで、品質等の基準は任意であり、自由に設定及び変更が可能です。GI登録の対象となるのは、農林水産物及び飲食料品等の特定の加工品であって、地域と結びついたその産品独自の多彩な特性(例えば、自然的・人文的・社会的な要因・環境の中で育まれてきた品質、製法、評判、ものがたり等)を持つものが対象になります。また、その特性を有した状態で概ね25年以上の生産実績があることが求められます(なお、生産実績については必ずしも25年以上である必要はなく、知名度などを考慮して弾力的に審査されます)。
したがって、産品についてこれからブランド化のために周知を図ろうとする場合には、地域団体商標やGIではなく、通常の商標として登録を図るのが得策だと思われます。

(4)手続について
商標登録出願では、登録を受けようとする商標、商標を使用する商品、役務等を記載した願書を特許庁長官に提出するのに対し、GI登録申請では、願書に加え、産品の生産地、特性、生産方法等(産品の品質の基準)を記載した明細書と、産品の品質管理業務を定めた生産行程管理業務規程を農林水産大臣に提出する必要があります。これらの書類の記載事項は、GI登録時に登録事項の一部として公示されるため、消費者に正確な情報を提供することで、商標よりも強い品質保証機能を発揮することとなりますが、申請書類の作成には、商標登録出願よりも多大な労力を必要とします。更に、産品の品質や品質管理業務について、団体の構成員である生産、加工業者間で事前に合意しておく必要があります。
登録後、商標権者は第三者による侵害行為の監視、存続期間の更新のための期間管理等を行う必要があるものの、登録を受けた産品の品質保証に関して法律上の義務を負わないのに対し、GI登録を受けた生産者団体は、登録を受けた産品が明細書の基準に適合していることを担保するための生産行程管理業務を適切に実施する必要があります。

(5)費用について
商標登録を受ける場合には、出願時、登録時、存続期間の更新登録時に手数料の納付が必要であるのに対し、GI登録を受ける場合に必要な費用は、登録時に納付する登録免許税のみです。

(6)不正使用の排除について
第三者による商標権の侵害行為に対しては、権利者自らが権利行使(差止請求、損害賠償請求等)を行う必要がありますが、GIの不正使用については、農林水産省が取り締まりを行います。

(7)海外での保護について
海外で商標登録を受けるためには、各国に個別に登録手続を行う必要があるのに対し、GIについては、商標の場合と同様、各国に個別に登録手続を行う方法に加え、保護制度を有する国との間で相互保護が実現した際には当該国においても保護を受けることができます。

生産者又は生産者グループが、自身の生産する野菜を独自のブランド名で販売することを計画しています。また、ブランド名については商標登録を考えています。この場合、どのような点について注意すればよいでしょうか。

商標登録を受けるためには、商標登録出願人、登録を受けようとする商標(この場合はブランド名)、その商標を使用する商品、役務を指定し、それらの事項を記載した書面(商標登録願)を特許庁長官に提出し(商標登録出願:商標法6条)、審査官による審査の結果として登録査定を受け、所定期間内に登録料を納付する必要があります。

ブランド名について商標登録を受けるための要件として、自身(生産者又は生産者グループ)の取り扱う商品(自身の生産する野菜)について使用されるブランド名が、自身の商品、役務を他人の商品、役務と区別することができるものであること(自他商品等識別力:商標法3条1項各号)、公益に反する商標、他人の商標と紛らわしい商標等の不登録事由に該当しないものであること(商標法4条1項各号)が挙げられます。原則として自他商品等識別力を有しないブランド名の例としては、(1)野菜の普通名称(「トマト」、「なす」等)、(2)「産地名+野菜の普通名称」を普通の書体の文字で表したもの(「東京トマト」等)等が挙げられます。なお、(1)の野菜の普通名称及び(2)の「産地名+野菜の普通名称」については、特殊な書体で表す、図形との組み合わせ等の自他識別力を有する構成の採用等により、自他商品等識別力を有する商標として登録を受けることができる場合があります。

また、(2)の「産地名+野菜の普通名称」からなる商標が使用された結果、生産者又は生産者グループの生産する野菜の表示として日本全国に広く知られるものとなった場合も、自他商品等識別力を有する商標として登録を受けることができます(商標法3条2項)。日本全国に広く知られるに至らない場合でも、隣接都道府県に及ぶ程度に知られている場合、地域団体商標として登録を受けることができる場合があります(商標法7条の2)。

生産者グループが商標登録を受けるためには、法人格を有する団体であることが必要です。生産者グループが、団体商標(専ら構成員である生産者に使用させるために生産者グループが所有する商標:商標法7条)又は地域団体商標(商標法7条の2)として商標登録を受けようとする場合には、生産者グループが、商標法7条又は7条の2に規定する要件を満たす法人又は組合等である必要があります。

ブランド名について商標登録を受けるためには、他人の商標と紛らわしい商標等の不登録事由に該当しないものであること(商標法4条1項各号)が必要なことは上に述べたとおりですが、不登録事由のうち、特に注意が必要なものとしては、(1)商標及び指定商品・役務が共に同一又は類似である他人の先登録商標(商標法4条1項11号)、(2)品種登録(種苗法18条1項)を受けた登録品種の名称と同一又は類似の商標で、指定商品・役務が登録品種の種苗と同一又は類似のもの(商標法4条1項14号、3条1項3号等)があります。したがって、既登録商標だけでなく、登録品種の名称についても調査を行い、商標登録を受けようとしているブランド名と同一又は類似の商標又は品種名称の登録例の有無について明らかにしておく必要があります。そのような登録例が見つかった場合、商標登録が受けられないだけでなく、ブランド名の使用が他人の商標権の侵害または登録名称の不正使用(種苗法22条2項違反)に該当するおそれがあるので、ブランド名の変更等の措置を検討する必要が生じます。

商標登録出願は、商標ごとに行う必要があります(1つの出願に複数の商標を含めることはできません)が(商標法6条1項)、指定商品・役務の数に特に制限はありません。ただし、指定商品・役務は区分毎に分けて記載する必要がありますが、手数料は指定商品・役務の区分数に応じて高くなるし、使用意思のない商品・役務については出願が拒絶されたり、事後的に商標登録が取り消されたりする場合もあるので(商標法50条)、必要以上に多数の商品・役務を指定しないよう注意が必要です。

未加工の野菜・果実の区分は第31類ですが、加工品(冷凍野菜、加工野菜、野菜ジュース等)についても同一のブランド名を使用しようとする場合には、それらの商品等も指定を検討する必要があります。なお、飲食物は、原料や性質によって様々な区分に分かれているので、その点について十分な注意が必要です。

地域団体商標登録を受けた生産者組合ですが、同一の産品、同一名称について地理的表示(GI)の登録を受け、等級に応じて、登録を受けたGIの品質基準を満たさない産品については、登録名称を登録商標として使用するという形で、登録商標と登録を受けたGIの「使い分け」をしたいと考えています。このような登録商標と登録を受けたGIの「使い分け」は可能でしょうか。

地域団体商標の商標権者である生産者組合が、登録商標と同一の名称について地理的表示(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(以下「GI法」)2条3項)の登録を受けることは可能です(GI法13条2項1号)。地域団体商標の登録とGI登録の両者を受けた生産者組合の構成員である生産者は、指定商品である産品について登録商標の使用ができると共に(商標法25条)、GI登録を受けた産品、すなわち、GI登録の申請時に願書に添付した明細書(GI法7条)に適合する産品(GI法2条2項に規定された特定農林水産物等)を譲渡等する場合には、登録GIの使用をすることができます(GI法3条2項)。地域団体商標についての商標権を有する組合等の構成員は、「当該組合等の定めるところにより」登録商標の使用をすることができるという規定は存在するものの(商標法31条の2第1項)、GI登録申請の明細書の記載事項に相当する事項を定めることまでは義務づけられていないため、問題文にあるような登録商標と登録を受けたGIの「使い分け」が可能であるという解釈も可能であり、それを禁止する明文の規定も存在しません。
しかし、産品に使用された名称が登録商標としての使用であるか、登録を受けたGIの使用であるかについて、需要者が区別をすることはできません。例えば、生産者団体が登録を受けたGIの使用である場合には必ず登録標章(いわゆる「GIマーク」。GI法4条)を付し、登録商標の場合には登録商標単独で使用するという使用基準を制定したとしても、平成31年のGI法改正により、GIマークの使用が任意となったため、GIマークを伴わない名称単独での使用について、それが登録商標の使用であるか、登録を受けたGIの使用であるかについて需要者が客観的に区別することはできません。

したがって、生産者組合の構成員である生産者が、明細書の基準に適合しない産品に、登録を受けたGIと同一の表示を使用した場合、生産者団体は、構成員である生産者に登録を受けたGIと同一の表示を適切に使用させるという生産行程管理業務(GI法2条6項)を適切に実施できない団体として、農林水産大臣による措置命令(GI法21条)の対象となり、それに違反した場合、登録の取消しの対象にもなります(GI法22条1項1号ハ)。

以上述べたような理由により、同一産品の同一名称について、地域団体商標とGIの両者の登録を受けようとする場合、当該名称の使用基準については一本化が必要となります。そもそも、法解釈以前に品質の異なる産品が同一名称で市場に出回るのはブランド戦略上好ましいとは言えないので、このような「使い分け」は避けることをお勧めします。

当組合は、地域団体商標と地理的表示(GI)の登録をしました。これにより、地域イメージ、商品の知名度、組合員のモチベーションは向上しましたが、その効果も一時的で、販売数量、単価の上昇といった経済的効果も目立った成果は感じられません。最近では、品質管理の負担が重いという声も組合内から聞こえてきます。
地域団体商標やGIを活用して経済的成果を実現できる体制を作るにはどのようにすべきでしょうか。成功している団体があれば、紹介してください。

地域ブランドの価値を維持・向上するためには、適切な品質管理を行い、ブランド価値の源泉である商品の価値を保っていくことが必須です。また、GI制度では、「生産行程管理業務規程」を作成して、それを遵守して品質管理を行うことが法的に義務付けられています。
しかし、高い品質を維持し続けることにはやはり手間がかかり、コストに見合う経済的効果が見えなければ負担に感じてしまうのも事実です。たとえば、「西尾の抹茶」は、このような理由からGI登録を自ら取り下げてしまいました。
一方で、「市田柿」(長野県、みなみ信州農業協同組合)は、地域団体商標、GIの登録を経て、一パック当たりの単価上昇という経済的成果も実現しています。その他にも「万願寺甘とう」、「三島馬鈴薯」、「飯沼栗」等、販売単価の向上、引き合いの増加、ふるさと納税の返礼品への採用等の実績を上げている例が見られます。これらの成功事例の大きな要因の一つとして、ブランドを推進する組織が有機的に機能していることが挙げられます。
地域ブランドは作り出すこと自体も難しいですが、そのブランドを維持しつつ育成し続けることには一層の困難を伴います。この継続的ブランティング活動を実施するためには、活動を担う中心となる組織が必要です。
地域ブランド構築過程の中短期の目標(重要成功要因/CSF)として地域団体商標やGIの登録を目指すことも組織化を図る上で有効ではありますが、登録自体を最終目的に設定してしまうと、その後の活動で息切れしてしまいます。短期・中期・長期の目的を組織内で設定し、知的財産権の保護をスタート地点として、その後の継続的PR活動等まで含めて持続的に活動できる「強い組織体制」を構築することが、最大の難関ではありますが、地域団体商標やGIを活用するための秘訣であると言えます。
強い組織であるためには、「共通目的」、「貢献意欲」、「コミュニケーション」が必要と言われますので、これらの観点に注意して組織を構築していくべきです。

≪強い組織の三要素≫

①共通目的
組織としての活動を継続的に行うためには、構成員が将来ありたい姿(どのような地域ブランドを作りたいか、地域ブランドを用いてどのような地域にしたいかというビジョン)を共有していることが必要です。組織が小規模である程ビジョンを共有しやすいため、ブランド化を図るためには、できるだけ早い段階から組織作りに取り組むと良いでしょう。
なお、「市田柿」は中国産の模倣品が出現したことを契機に、ブランドを維持・向上して模倣品の脅威へ対抗するという目的が関係者の間で共有されました。模倣品という外的要因が組織の一体感を強めることもあります。この点、農林水産省が設立した「農林水産知的財産保護コンソーシアム」では、海外での模倣品を調査する「商標監視サービス」を提供していますので、このサービスを利用してみるのも良いかもしれません。
②貢献意欲
共通目的達成のためには、組織の構成員が自発的に貢献する意欲を持つ必要があります。このためには、共通目的を達成することにより構成員が受けられるインセンティブを設計することが有効です。インセンティブは、何も経済的なもの限らず、例えば表彰等の非金銭的なものも含まれます。
③コミュニケーション
ビジョンを共有し、その達成のために構成員の行動を促すためには、構成員間でのコミュニケーションを密にする必要があります。連絡協議会や研修会等を定期的に実施すること等がその一つの方法となります。
ブランド化を強力に推進していくためには、行政も含めた多様な構成員を巻き込んでいくことが必要となりますが、一方で構成員が多様化すると、同じ組織の中でも構成員の間で利害が対立することが多々あります。例えば、使用する原材料を地元産のものに限定するとした場合、それを付加価値として高級品として販売できる業態の構成員と元々輸入品を用いて低価格で広い販路で販売していた業態の構成員との間で利害の対立が起こりますが、これを放置して品質管理基準を設定すると、地域ブランド化への取り組みのはずが却って地域内の対立を招き、地域の活力を削ぐ結果になってしまうこともあります。このような対立を解消するためにも構成員間でのコミュニケーションを地道に重ねていける体制を築くことが重要であると言えます。

サンドイッチの具材にぴったりの形が崩れにくいトマトの新品種ができたので、サンドイッチの友達との意味を込めて「サンドパル」という名称を考案しました。
農家からも「サンドパル」という名称は評判が良いので、第三者に真似されるかもしれません。同じ名称で第三者に商標登録をされると、登録品種の名称として使えなくなるから、品種出願と同時に商標出願をして、第三者による商標登録を防ぐとともに、品種登録がされる直前に商標権を放棄しようと思いますが、他の方法はありますか。

登録商標は、商標権者が独占的に使用することができる権利で、他人の登録商標と同一又は類似の名称を使用すると、商標権侵害になります(商標法25条)。一方、登録品種の名称は、育成権者であっても登録品種の名称を独占的に使用できるものではありません(種苗法22条1項)。
このため、登録商標と登録品種の名称との法的効果について調整規定が設けられています。すなわち、商標法では、品種登録を受けた品種の名称と類似の商標であって、その品種の種苗又は類似する商品等に係るものは登録できないとされ(商標法4条1項14号)、一方、種苗法では、出願品種の種苗又は類似の商品等に係る登録商標と類似の名称は、品種登録を受けることができないとされます(種苗法4条1項2号)。
このため、「サンドパル」という名称でトマトの新品種の品種登録出願をし、その後、第三者が種子類に「サンドパル」という商標登録出願をしたとしますと、品種登録の審査期間(平均審査期間約3年)よりも、商標の審査期間(平均審査期間約10か月)の方が短いため、品種登録より先に、第三者の「サンドパル」が商標登録され、出願品種が名称の適切性の要件を欠くことになり、品種登録の出願人は名称変更をせざるを得ないことになります。
このような事態を避けようと、品種登録の出願人が、品種登録出願と同時に同じ名称で商標登録出願をし、商標登録を受けた上で、品種登録を受ける直前で商標権を放棄することがありました。
しかし、平成31年1月に特許庁が審査基準を改定し、悪意の商標登録出願については、商標法4条1項7号に該当するとしたため、このような措置をとる必要はなくなりました。

サンドイッチ用のトマトの新品種の名称「サンドパル」は、市場でも定着し、好評を博しています。既に、指定商品が種子類で商標登録を取っているが、近々、品種登録が得られそうな感触でありますし、このままでは品種の名称の適切性の要件を満たさないことになりますので、登録商標「サンドパル」の商標権を放棄しようと思っています。この場合、何か不利益があるのでしょうか。

品種名称と登録商標では、以下のように効果が異なります。「夕張メロン」や「関あじ」のようにブランド価値を目指す場合は、独占的な使用が可能な登録商標を利用した方がブランド構築しやすいと考えられます。
この場合、品種名称は記号で登録し、商標は親しまれる名称とする方法が考えられます。例えば、いちごの品種である「あまおう」は、登録商標ですが、品種名称は「福岡S6号」です。

種苗法の名称と商標との関係
品種名称(種苗法) 登録商標(商標法)
独占的使用 不可(22条1項) 可(25条)
期限 品種登録の日から25又は30年(19条2項) 更新により無期限(19条)
商品・役務 品種に係るもの(2条2項) 指定商品等
品種 1品種のみ(4条1項1号) 改良品種も可
育成者権失効後の名称使用 名称を使用する義務は失効後も適用(22条の趣旨) 育成者権失効後も登録品種の名称と認識される名称は商標登録不可(3条1項1号、3号6号該当)

ブランド化するうえで特許や意匠は重要なのでしょうか。

製法やデザインにオリジナリティがある場合は重要となります。
① 特許
新たに製法、農法、加工法、あるいは漁法を開発し、自社製品についてそのような方法のオリジナリティをアピールしてブランディングすることは多数の例があります。また、製造、加工、収穫、管理などにおいて新たな機械や装置、道具、製品容器などを開発された場合、これらについて特許を取得することが可能な場合があります。特に、近年、味覚狩りや見学会などで実際に工場や畑などに来ていただいて集客や販売を行うスタイルが多く、この際に来客者が農法や加工装置などを目にすることが増えています。外部の人の目に触れる機会があるものについては特許または実用新案登録による多面的な保護を受けることを推奨します。

例:特許、GI、商標を組み合わせた例
・特許 特願2001-191179(特許3583386号)
【発明の名称】 ウリ科類の成型栽培容器 香川県農業協同組合
・GI 登録第82号 【名称】 善通寺産四角スイカ  香川県農業協同組合
・商標 登録第5856218号 香川県農業協同組合

善通寺産四角スイカロゴ

② 意匠
農作物、容器、加工品や道具について、デザインや形状を新たに開発し、これらデザインや形状についてオリジナリティを発揮し自社製品を示すブランドとして機能する可能性がある場合、意匠登録により保護を受けることを推奨します。デザインや形状は必ず業者や消費者の目に触れる機会があるため、模倣が容易であるためです。また、意匠権は、侵害立証が比較的容易であるというメリットがあります。