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X.各種交流プロジェクト

JPAA/AIPLA Joint Meeting in Tokyo 報告

《会合》
JPAA/AIPLA Joint Meeting in Tokyo
1.CLOSED MEETING(クローズド・ミーティング)
       日時:平成20年4月17日(木) 午前9時30分〜正午
       場所:霞山会館(霞ヶ関コモンゲート西館 37階)
2.OPEN SEMINAR(オープン・セミナー)
       日時:平成20年4月17日(木) 午後2時〜午後5時
       場所:日本弁理士会3階会議室
3.RECEPTION(レセプション)
       日時:平成20年4月17日(木) 午後6時〜午後7時30分
       場所:霞山会館(霞ヶ関コモンゲート西館 37階)

《報告》
1.クローズド・ミーティング
 クローズド・ミーティングには、AIPLAからJames Pooley会長をはじめ23名、JPAAから中島淳会長をはじめ20名が参加した。クローズド・ミーティングでは、立花顕治国際活動センター員の司会の下、AIPLA・JPAAそれぞれから日本・米国における知的財産保護に関する種々のトピックについてプレゼンテーションが行われた。また、各プレゼンテーションに対する活発な質疑応答も展開された。各プレゼンテーションの発表内容と発表者は以下の通りである。
   

  
(1)日本における特許の保護対象(Patentable Subject Matter)について
 発表者 :来栖和則委員(日本弁理士会)
 発表内容:
 ・ 特許の保護対象に関する判例(電柱を使った広告方法)の紹介
 ・ 日本におけるビジネス関連発明の保護可能性の考え方(審査基準)の紹介
 ・ ビジネス関連発明「クーポン・ポイント・マネジメント装置および方法」に関する東京高裁判決(2006)の紹介
 ・ 米国で話題となっているビジネス関連発明であるBliskiケースを、日本の審査官が判断したと仮定した場合の分析

(2)米国Bliskiケースについて
 発表者 :Mr. Glenn J. Perry (AIPLA)
 発表内容:
 ・ 米国特許法101条(Patentable Subject Matter)について
 ・ コンピュータアルゴリズム関連発明の特許性に関する判例の変遷
 ・ ビジネス・メソッド・パテントに関する判例の変遷
 ・ Patentable Subject Matter についてのUSPTOのガイドラインについて
 特許性を備えるためには:
 →実際的な適用(Practical application)、
 →かつ、物理的な変換(Physical transformation)または、実用的・具体的・現実的(useful, concrete & tangible)
 ・ビジネス関連発明であるBliskiケースの概要

 (質疑応答)
 AIPLA:日本における「自然法則の利用」には「数学法則の利用」は含まれるか?
 日本弁理士会:含まれない。

(3)日本における権利回復について
 発表者 :藤村元彦委員(日本弁理士会)
 発表内容:
 ・ 日本が特許法条約(PLT)に加盟する場合、権利者の意思に反する権利失効、または権利者が相当な注意を払っていた場合の権利失効についての権利回復の条項(PLT12条)と国内法との整合を図らなくてはならない。
 ・ 日本における失効権利の回復に関する判例の紹介
 −在外代理人の連絡ミスによる失効の場合 → 回復不可
 −年金納付会社のミスによる失効 → 回復不可
 

(4)米国における放棄された出願・特許の回復について
 発表者 :Mr. John B. Hardaway, III(AIPLA)
 発表内容:
 ・ 米国における、放棄された出願・特許の回復についての総論
 ・ 避けられなかった遅れ(Unavoidable delay)による放棄出願・特許の回復について
 ・ 意図的でない遅れ(Unintentional delay)による放棄出願・特許の回復について

(5)米国におけるパテント・トロールについて
 発表者 :Mr. Hung H. Bui (AIPLA)
 発表内容:
 ・ パテント・トロールの歴史
 −eBay, Inc v. MercExchange, LLC
 −NTP, Inc v. RIM, ltd (Blackberry case)
 ・ パテント・トロールの種類
 ・ eBay事件以降のパテント・トロールに関する判例の変遷

以上
(報告者:黒川朋也)

2.オープン・セミナー
 オープン・セミナーでは、弁理士会会員向けのプレゼンテーションが行われ、300名の会員が参加した(内修了者299名)。橘谷英俊国際活動センター副センター長の司会の下、主としてAIPLAから米国における知的財産保護に関するトピックについてプレゼンテーションが行われた。プレゼンテーションは英語で行われたが、日本語への同時通訳も提供された。各プレゼンテーションの発表内容(概要)と発表者は以下の通りである。
 
          (3階会場の様子)

(1)KSR事件の影響 −審査対応と訴訟戦略−
発表者 :Mr. Joegr-Uwe Szipl, Mr. John Johnson(AIPLA)
発表内容:
・KSR事件後の自明性の判断を行った以下のCAFC判決を取り上げて解説がなされた。
- In re Translogic Technology, Inc.,
 - Pfizer v. Apotex, Inc.
 - Takeda Chem. Indus., Ltd. v. Alphapharm Pty., Ldt. 
 - Aventis Pharma Deutschland GmbH v. Lupin, Ltd.,
・上記判例を元に、出願人がすべき反論の例の解説があった。

(2)特許の消尽
発表者 :Mr. Jack Penny, Mr. Steven Meyer(AIPLA)
発表内容:
・消尽を取り上げたQuanta Computer v. LG Electronics判決の解説があった。

(3)特許法及び規則改正動向
発表者 :Mr. Alan Kasper(AIPLA)
発表内容:
・現在の法改正の動向(上院下院での状況)が説明された。
・ルール改正に対する差し止め裁判の動向が説明された。
・ルール改正案の1つであるIDSルールの改正状況について説明があった。

(4)技術移転
発表者 :Mr. Neil Henderson(AIPLA)
発表内容:
・米国、カナダにおける技術移転の状況の解説があった。
・バイ・ドール法についての解説があった。
・ 技術移転におけるライセンス、ロイヤリティに関する説明があった。
 
        (地下会場の様子)

(5)模擬審判
 発表者(配役) :Judge: Mr. David Schnapf(AIPLA)
           Judge: Donald Studebaker(AIPLA)
           Judge: Mr. Darryl Webster(AIPLA)
           Applicant: Mr. Jack O’brian(AIPLA)
           Examiner: Mr. Hung Bui (AIPLA)
 発表内容:
 ・KSR事件後の初の審判事件であったSmith事件を取り上げて、模擬審判を行っていただいた。

以上
(報告者:立花 顕治)


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