支援活動だより177_webbook
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知的財産支援活動だより2016年12月号(No.177) 5 大学への知的財産教育支援について知的財産支援センター第2事業部 黒瀬泰之 知的財産支援センター第2事業部は、大学支援、中小企業支援、関係省庁・関係団体への協力等をミッションとする事業部です。本稿では、このうち大学支援に関して、第2事業部の活動内容をご紹介します。 第2事業部が行う大学支援の目的は、弁理士資格の認知度を高め、より優秀な学生が弁理士を志向するように促すこと、また、大学・大学院・専門学校(以下、「大学等」といいます)の知財活動の啓発及び発展に貢献することにあります。この目的を達成するため、第2事業部では、大学等が開講する知的財産関連講座への講師の派遣(個別的大学支援)、デザインパテントコンテストの新規応募大学の開拓、大学技術移転協議会(UNITT)のアニュアルカンファレンスでのセッション提供等の活動を行っています。また、講師の派遣先となる大学を新たに開拓するための活動も行っています。これらの活動のうちUNITTのアニュアルカンファレンスでのセッション提供については、カンファレンスの開催日程の都合で今年度はお休みしましたので、他の3つについて順にご紹介します。1.大学が開講する知的財産関連講座への講師の派遣(個別的大学支援) 第2事業部では、様々なチャネルを通じて講師の派遣先となる大学等を公募し、応募してきた大学等に対して、2~3年程度を目安として、日本弁理士会の費用負担で講師の派遣を行っています。2~3年程度というのは、大学等が独力で知的財産関連講座を開講できるようになるために必要な期間として、第2事業部が考えている期間です。 近年は、大学等でも、知的財産関連の教育を行うことの必要性は認識されているようです。しかし、大学等で必要となる知的財産関連の講座は、多くの場合、一般的な知的財産の知識を超え、専門分野に深く入り込んだものとなります。そのような講座をどのようにして開催すればよいのか、大学等でもよく分からないという事例が多くなっています。第2事業部では、このような大学側の課題に応え、最終的に大学側が自力で講座を開催できるようになるまでを支援します。 具体的には、大学からの応募を受け付けた後、まず、その希望を詳細にヒアリングします。そして、知的財産の専門家の立場から、その大学等に最も適した講座の内容を提案します。内容によっては第2事業部のメンバーだけでは対応しきれない場合もありますので、必要に応じて他の専門委員会等の助けも借りながら話を進めます。そうして講座の内容が決定した後、支部又は専門委員会等に講師として最適な弁理士の選定を依頼し、講師として派遣します。 第2事業部としては、2~3年これを継続した後、大学等の費用で講座が開催されるようになることを目標としています。その際の講師は、日本弁理士会から別途派遣することも考えられますし、大学側から直接各弁理士に依頼があるかもしれません。いずれにしても、大学等における弁理士の登壇機会を増加させ、それによって、弁理士資格の認知度を高め、より優秀な学生が弁理士を志向するように促すこと、また、大学等の知財活動の啓発及び発展に貢献することを目指します。 本年度は、東京農工大学農学府の「知的財産概論」と、東北大学工学研究科の「特別講義A(システムLSI設計)」とに対して、講師の派遣を行いました。以下、それぞれについて詳しくご紹介します。(1)東京農工大学農学府「知的財産概論」 東京農工大学農学府に対しては、昨年度に引き続き2回目の講師派遣となります。今年度は、1年目の経験を生かし、2つの大きな変更を行っております。1つ目は、大学側より各講師に、非常勤講師の発令をして頂いたことです。非常勤講師の発令を得ていない講師が講義を行う場合、ゲスト講師という位置付けになり、別途非常勤講師の臨席が必要になります。これでは臨席する非常勤講師の負担が大きいので、本年度は各講師を非常勤講師とし、非常勤講師の臨席を不要といたしました。2つ目は、土曜日を利用し、4回分の講義を1日にまとめて行うようにしたこと

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