支援活動だより156_WebBook
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知的財産支援活動だより2014年11月号(No.156) 7 体的には、特許出願から権利取得までの流れを、出願書類および出願の種類、方式審査から審査請求、実体審査、意見書・補正書の留意点、特許査定・拒絶査定の項目に分けて説明されました。また、学会発表などのためによく利用される新規性喪失の例外について、必ずしも新規性喪失の例外は万能ではないということについて説明されました。さらに、外国出願については、パリルート・PCTルートについて、共同研究については権利の共有について、それぞれ説明されました。 最後に、藤掛宗則会員が、大学の知財業務における発明の完成から出願までを、異なった切り口で話されました。まず、発明の特定について、発明とは何かということを特許法の定義に基づいて説明されました。次に、発明者の特定について、大学の研究現場で誰が発明者になれるのかということを、詳しく説明されました。これに関連して、共同研究で留意すべき点についても言及されました。そして、特許を受ける権利は移転できるということと、当該権利に基づく出願が特許されるためには、様々な特許要件をクリアしなければならないことについても説明されました。 その後のパネルディスカッション及び質疑応答では、講師会員が日ごろの実務で経験し感じている生の事例を交えて意見交換がなされ、参加者にとっては非常に興味深い話も聞くことができるよい機会だったと思います。膨大なテーマを2時間に圧縮した駆け足のセッションではありましたが、必要な全体像をうまく浮かび上がらせたよいセッッションでした。<協賛セッション2> 協賛セッション2では、松井宏記会員(意匠委員会)、平田晴洋会員(特許委員会)、及び松本康伸会員(商標委員会)の3名によって、概ね30分ずつ、意匠法、特許法、及び商標法の改正について解説された後、パネルディスカッションの形を取りながら、補足説明や質疑応答がなされました。 意匠法の改正については、まず、主要な改正の背景となるハーグ協定について解説された後、日本での取扱いに関する意匠法の改正内容が条文に沿って解説されました。ハーグ協定については、国際事務局段階、国際公表、国際登録保護期間、国際意匠公報、指定国による実体審査、及び拒絶通報の取扱いなどについて詳しく説明されました。また、国際意匠公報の実例や、欧州での意匠登録の対象の例なども紹介されました。併せて、欧州では意匠登録の対象が広いので、幅広い意匠権の取得が容易になるというアドバイスもなされました。さらに、日本での取扱いについては、審査主義国であることに関連して想定されるデメリットや注意点なども説明されました。 特許法の改正については、救済措置の拡充と特許異議申立て制度について解説されました。救済措置については、国際的な法制度に倣って、制度ユーザにやむを得ない事由(災害等)が生じた場合に、各種手続期間の延長を可能とする規定を網羅的に整備するという趣旨が説明されるとともに、具体的な救済措置の拡充内容について説明されました。併せて、不責自由や、正当な理由などといった用語の意味も丁寧に説明されました。特許異議申し立てについては、制度創設の背景や手続の流れが具体的に説明されるとともに、異議申し立てと無効審判との違いが対比されて説明され、以前の異議申立て制度に馴染みのない関係者などにも解りやすい解説だったと思います。 商標法の改正については、まず、保護対象の拡充について、その趣旨が説明されるとともに、新しいタイプの商標の例として、音の商標、輪郭のない色彩の商標、動きの商標、ホロ

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