支援活動だより150号
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知的財産支援活動だより2014年5月号(No.150) 7 このインプラント治療法は、従来は種々の問題を根本的に解決できず、その普及が滞っていた。この問題を解決したのが、岐阜駅前にある大口弘歯科クリニックの理事長、大口弘博士であり、実質的に顎骨の海綿骨を傷つけることなく、無痛で植え込み用の孔を形成できる治療法で、実践開始から7年に満たない現時点で、インプラント治療医の約3割に採用されるまでに至っています。 しかしながら、治療法は日本の特許法では保護されません。そこで、弊所は治療法の保護が可能な米国での権利化をお勧めし、それが成功しました。 つまり、この治療法が世界の従来技術に比べて、有効なものと米国で認められたわけです。その活用法を中心に治療法についてもご説明しました。(第3回)「エーザイ医薬品カプセル不正競争防止法事件」 原告エーザイ(株)が製造・販売する胃潰瘍治療剤「セルベックスカプセル」と被告らの販売する医薬品のカプセル及びPTPシートの色彩構成(配色)が類似し、需要者において出所の混同が生じているとして原告が不正競争防止法に基づき、被告らの医薬品の販売差止、廃棄、損害賠償を求めた裁判の控訴審判決、知財高裁平成18年(ネ)第10022号事件について解説しました。(第4回)中小企業の活用事例2「株式会社山辰組」 土木関連製品と自然環境製品とで特許を活用されている株式会社山辰組の話です。 この会社は土木・建築関連を生業としながら、その得意分野で自然環境保護、省エネについて、創意・工夫・たゆまぬ努力を続けられて、25年間で実に37件の特許を取得され、その特許で実際に収益を上げ、自然環境保護にも大きく寄与されています。 具体的には、コンクリートを用いながら、その環境への影響を極力抑えたブロック、昔の里山を取り戻そうとする魚道、ダム湖などの水面浄化を図る集塵カゴ、土木排水時の省電力ポンプ、排水可撓性チューブの脱落の問題を解決した継手などがあります。 これらの実例からいくつかを、その特許の要点と共にご紹しました。(第5回)「スマートフォンを巡る米国アップル VS 韓国サムスンの特許紛争」 スマートフォンの「iPhone」や「GALAXY」をめぐって米国Appleと韓国SAMSUNGが米国、ヨーロッパ、日本、韓国など世界各国で知的財産権侵害訴訟を繰り広げています。米国では1000億円の損害賠償をSAMSUNGに命ずる判決が出されAppleが勝訴。一方韓国ではSAMSUNGが勝訴するなど訴訟合戦は続いています。 日本では東京地裁が平成25年2月28日に「FRAND宣言したSAMSUNGがAppleに対してライセンス契約の締結交渉を誠実に行うべき信義則上の義務に違反しているとして、SAMSUNGの特許権に基づく権利行使は権利の濫用に当たる」としてApple勝訴の判決を言い渡しました。今回はこの東京地裁判決について初心者向けにして解説すると共に、SAMSUNGとAppleとの日・米・韓における訴訟合戦の概況についても報告しました。(第6回)中小企業の活用事例3「東神電気株式会社」 送電関連製品において特許を活用されている東神電気株式会社の話です。 この会社は送電関連製品のうち巻き付けバインドという製品の特許により成長を遂げられ、以来、特許を会社存続の重要な要素として特許出願等を継続され、20年間で43件の特許を取得されています。 今回は、その特許のうちでも、製品としての完成度が高く、進歩性の内容が非常に興味深い、ある発明(鳥害防止テグス用支持バインド)について、現品を見てもらいながら、その発明の用途、従来技術との相違点、進歩性の内容について、聴講者の方にまず考えてもらい、徐々にヒントを出しながら、その発明の全体像を把握してもらうような方法でご説明しました。進歩性の内容に、驚かれ、質問が多数ありました。(第7回)中小企業の活用事例4「中洲電機株式会社」 下請けから脱却するのに、自社の技術・生産設備を生かした新しい自社製品を開発され、それを特許化することで成功されている中洲電機株式会社の錠剤取出装置に関するお話です。従来、PTP包装(凹部に錠剤を入れたプラスチック板をアルミ箔でシールしたもの)された錠剤から、中の錠剤だけを取出す装置として満足なものがありませんでした。そこに目を付けられて、薬局や病院向けに簡単な構成でPTP包装から錠剤だけを取り出す装

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