世界中の釣り人を魅了するフライフィッシング・リール | 社長の知財

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世界中の釣り人を魅了するフライフィッシング・リール

※マニアからはアートの世界といわれるほど美しいフォルムのフライフィッシング・リール

 

もともとは貴族の遊びだったフライフィッシング

鮮やかな弧を描いて、宙を舞う釣り糸。それはもはやアートの世界。人気のフライングフィッシングで、世界の釣り人を魅了する渓流の精密機械が、フライフィッシング・リールなのです。

フライフィッシングとは、西洋式毛ばりを使用した魚釣りのことで約500年の歴史があります。その源流はイギリスで、もともとは貴族の遊びでした。フライ専用の太い糸を使用し、20メートル以上先の魚を釣ることができます。

(株)マシンエンジニアリング(略称=MEG、長野県)のフライフィッシング・リール「マリエット」(登録商標)は、釣りの愛好者にとって、釣果よりもその所有者であることを自慢したくなるような世界の一級品です。

獲物がかかったときの糸切れ、いわゆるバレを少なくしたディスクブレーキ方式のドラッグ(ブレーキホイールを押さえ付ける機構)の採用やリールの回転音、右利き左利きに関係ない構造など、技術的な完成度が高く、擬った作りがユーザを満足させています。

釣り人たちの注目を集めるようになったきっかけは、18年ほど前の米国の釣り具ショー出展。フライ競技のチャンピオンの目に留まり、テレビで紹介される幸運に恵まれました。その一方で、地元の釣り師に勝手に米国特許を取得されるという“災難”にも見舞われました。

しかし、発明者の伊藤武士さんによると、「笑い話のようなオチ」で、事なきを得たのです。相手の釣り師がリールを分解したあと、元通りに組み立てられなくなり、MEGの日本代理店に問い合わせてきたのです。本当の発明者なら、元通り復元できないはずがありません。

結局伊藤さんが真の発明者として認められ、米国特許の権利はMEGに帰趨することとなりました。
 

特許は、銀行取引では経営力を示す判断材料に

このちょっぴり苦い体験が、同社を特許に強い企業に変えました。同社はもともと、自動車や家電、文房具の生産ライン用自動組立機械のメーカーです。規模は小さいが独立独歩で、部品製造を外注することも多いのです。技術支援を伴う外注契約には、特許の裏付けが欠かせません。

「特許は銀行との取引でも、経営力を判断する重要な材料とみなされます」と伊藤さんは語ってくれました。

取材協力/株式会社マシンエンジニアリング(MEG) 1998年取材

弁理士山田のワンポイントアドバイス

社長の皆さん!

今回の事例は「特許出願は、展示会・ショーに出展する前に終わらせておく」ことが技術を守るポイントです。今回のように、他人が展示会・ショーを見て技術を知って、先に特許出願を行い権利取得するケースが起こりえます。

【ここがポイント!】

(1)特許出願は、展示会・ショー等で他人に知られる前に出願すること
(2)万が一、展示会・ショー等までに出願出来なかったら、国内では新規性喪失の例外規定(6ヶ月)の適用を受けて、他人より先に早急に出願すること
(3)技術的に完成度が高く凝った技術は、特許だけでなく意匠での保護も検討する

今回の例は展示会・ショーの出展でしたが、他人に知られる事例としては他社との共同開発の検討打ち合わせやサンプル出荷等もあります。不特定多数の他人に重要な技術が知られる前に、特許出願や意匠登録出願を行っておくことが重要です。