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自社の発明を大手企業と共同特許に
ところが、特許ベースの独自製品を製造されてしまった!

中小企業B社が独自に開発した技術は将来性が高く、それに注目した大手企業から共同特許出願の申し出が。
資金繰りが厳しかったB社は、販売協力もするというその申し出を受諾。
ところが、想定外の事態が発生したのです。

コストの費用折半の魅力に負けて共同特許に
懇意の大手企業がその技術を活用して…

中小企業が生き残るためには、サービスの差別化が重要です。大手企業と同じことをしていては、規模と価格面で劣勢に立たされかねません。

中堅食品メーカーのB社は、インスタントラーメン用の麺を開発しました。この麺の大きな特徴は、生麺の食感に限りなく近い乾麺であることです。

この話を聞きつけた納品先でもある大手食品メーカーのX社から、「当社は販路も持っているので、大々的にプロモーションをかけて一緒に販売していきませんか。その条件として、この麺の製法方法の特許出願を共同で行って欲しい」というアプローチを受けたのです。

実はその時、B社の社長は会社の資金繰りに悩んでおり、X社の宣伝力と販路はとても魅力的でした。そのため、社長はOKの返事を出してしまったのです。

そして、新商品は画期的な麺の食感が大当たりし、大きく売上を伸ばしました。また、麺の製造方法も早期審査を経て無事特許となり、B社とX社の共有の特許権となりました。ところが1年後、X社はB社の開発した麺を更に進化させた麺を用いたインスタントラーメンを、B社に事前の相談なしに発売したのです。

どうやらX社は、傘下にある研究所でB社の開発した麺の製造方法を分析し、改良を加えた麺の製造方法を発明したとのこと。改良発明により生成された麺を用いたインスタントラーメンは飛ぶように売れ、B社が開発した製造方法により製造した麺を用いたインスタントラーメンは市場から姿を消してしまいました。

この出来事にB社の社長は憤慨しました。そして、X社の改良発明は共有特許権を利用しているのだから、改良発明によるインスタントラーメンの製造販売を差し止められないか弁理士に相談しました。ところが、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができるとのこと。B社はX社と契約で別段の定をしていなかったため泣き寝入りするしかなかったのです。

 特許権の共有者はライバル関係になることがあることを踏まえて、特許権を共有することとなる場合は事前に実施内容等について契約を結んでおくことが肝要です。

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