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実用品としての椅子であっても、著作権で保護されると勘違いしてしまった!
意匠権を取得しておけばと後悔することに

美術の著作物であれば著作権で保護されるので、応用美術品に該当するように創作された椅子であれば、必ず著作権が発生すると考えてしまいがちです。
しかし、椅子のような実用品が、著作権法で保護されるにはハードルが高く、必ず著作権が発生すると思うのは危険です。

新製品のデザインを法的に必ず保護するためには、積極的に意匠権を取得するべきです。
今回の事例は、新製品のデザインが、必ず著作権で保護されると思ってしまった場合に起こった悲劇です。

株式会社スリーサークルプレスのY社長は、著作権のセミナーを受講しました。そのセミナーで「最近の裁判で、実用品の椅子のようなデザインであっても、著作物性が認められ、著作権法での保護が認められた例があります」との説明が、特に印象に残りました。

株式会社スリーサークルプレスは、金属加工の技術を得意とする中小企業ですが、新規事業として、金属加工の技術を木工技術と融合してデザインした画期的な椅子を開発し、インターネットで販売することになりました。

Y社長は、意匠権による保護も考えましたが、それには意匠出願をしなければならないため、セミナーで得た知識から、特に手続きをしなくても権利が発生する著作権による保護で、十分であると考えました。

販売開始から1年過ぎた頃に、「地方の頑張る会社の新製品」を紹介する全国ネットのテレビで紹介され、その後、爆発的に新製品の椅子の売れるようになりました。
それから半年程度過ぎた頃、急に椅子の売上が悪化し、その原因は、マネスルプレス株式会社が、同じデザインの椅子を販売しているためだと判明しました。

早速Y社長は、マネスルプレス株式会社への警告を依頼しようと、法律事務所を訪れました。しかし、そこには衝撃の結末が…。「残念ながら今回の椅子について著作権に基づいて販売の中止を求める裁判を起こしても必ず勝てるとは限りません」と告げられたのです。

Y社長は、意匠権を取得しておけば良かったと後悔したのですが、時はすでに遅かったのです。

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