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大ヒット商品が、意匠登録されていない!
これはチャンスと、模倣した製品を出したところ…。

本来、他社の製品を真似るのはビジネスの禁じ手です。
しかし、一度ヒットした製品を真似た製品はある程度売れてしまうのも事実。
ましてや、製品が権利保護されていなかったらやってしまう人も多いのです。

意匠登録がされていないことを確認
これで法的には問題ないと考えたが…

スマートフォンのケースを製造・販売するS社。斎藤社長がデザイン系の専門学校時代の同期と立ち上げた創業時は、まだ競合企業も少なく売上げは右肩上がりでしたが、競争相手が増え市場も飽和状態になりつつある近年は売上げも伸び悩んでいました。

会社を立ち上げた時はメンバーも若く、斬新なデザインのスマートフォンケースを世に送り出すことができましたが、社員の高齢化が進むにつれ、デザインの斬新性も失われていったのです。そこに製品の素材のコストの高騰が追い打ちをかけたのです。斎藤社長は、このままでは自分の会社は倒産してしまうかも知れないという不安に悩まされるようになりました。

そんなある日、部下の一人が斎藤社長の部屋に入ってきて、こう語ったのです。

「社長、昨年大ヒットしたG社のスマートフォンケースですが、ひょっとしたらと思い意匠権を調べたところ、実は意匠登録されていませんでした。これは、チャンスです。G社のスマートフォンケースは若者に大人気ですから、似たデザインで安く出せば、絶対売れますよ!」

「えっ、意匠登録していないのか。じゃあ、法律的には問題ないな。よし、急いで試作品を作ってくれ」

数ヶ月後、S社はG社のスマートフォンケースそっくりの製品を市場に出し、それまでにはない売上を記録しました。社内の雰囲気も明るくなり、斎藤社長もホッとしました。

しかしある日、S社にG社から不正競争防止法に基づく警告が来てしまったのです。S社の顧問弁理士に確認すると、「意匠登録がされていないからといって、安易に他社のデザインを真似することは危険な行為です。

他人の商品の形態を模倣した商品を、最初に発売された日から数えて3年以内に販売等する行為は不正競争に該当し、差止請求や損害賠償請求の対象になります。」と言われ、意気消沈した斎藤社長でした。

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