日本弁理士会の活動

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平成28年度パテントコンテスト
INPIT理事長賞校へのインタビューについて

兵庫県立西脇工業高等学校

 パテントコンテスト応募が5年連続となった兵庫県立西脇工業高等学校は、以前にも優秀賞を獲得しているが、平成28年度は3作品が優秀賞に選ばれ、そのうち「ミシン目制作機」はINPIT理事長賞に輝いた。同校では知的財産学習に取り組んでおり、特に情報・繊維科2年生の授業では、春からパテントコンテストへの応募作の制作にとりかかるそうだ。

 科長の上延幸司先生は「自分たちで課題を見つけて考え抜くことのできる人材が求められていると思います。目標に向けて繰り返し考える経験ができるパテントコンテストは、卒業後も生徒たちにとって有益な経験となるでしょう」と応募の意義を語る。

「ミシン目制作機」の発明者は黒崎麻衣さん、久保純菜さん、植山莉帆さん。「学校から配布されるプリントの切り取り線にミシン目が入っていれば、すぐに切り離せると思って考えました」と久保さんは言う。「ミシン目をつける道具をJ-PlatPatで検索したら、機械はいろいろあるけど、手動のものは、いくら探してもありませんでした」と言う黒崎さんに続いて、「手動のものなら自分たちでも作ることができると思いました」と植山さんも振り返る。

 学校で使える簡便な手動の道具として、一度に数十枚にミシン目をつけられるものを目指し、身の回りにあるものを利用して、提出期限ぎりぎりまで試作が続いたそうだ。優秀賞だけでなくINPIT理事長賞に選ばれたことは「すごく頑張って考え、つくったことが評価されたように思います」と3人は喜びを語った。

「マイクロファイバーブラシ」を考案した廣畑里奈さん、藤田里亜奈さん、吉田れなさんは、プールなどでドライヤーがなくても濡れた髪を乾かせないかと考えたことがヒントになったという。速乾性の風呂用足ふきマットを参考に、マイクロファイバーを利用することはすぐに決まった。マイクロファイバーとブラシを一体化させた製品がすでにあることから、その製品とは違った形状にした。櫛にマイクロファイバーを一体化させるのには苦労したようだ。

 優秀賞に選ばれ、「自分たちのつくったものが認められてうれしかったです」と廣畑さん。吉田さんは出願書類の作成を通して「特許について学ぶことができて、前より興味もわいたし、理解できるようになりました」と言う。藤田さんは「まさか受賞できるとは思っていませんでした。出願書類を書き始めてから、大変なことになったと思いました」と受賞の重みを語った。

 藤井綾女さん、村井梨央さん、村上咲羽さんが発明した「ネットハンガー」は、洗濯した靴下が片方しか見つからないという3人共通の経験から生まれた。仕切りのある洗濯ネットは市販品にもあるが、どれも干す際に洗濯物をネットから取り出さなければならない。そこで、ネットのまま干せる形状を模索して数種類を試作、改良したそうだ。「自分たちの中で、最後にはこれしかないと思えるものができました。優秀賞に選ばれたことで、特許申請もやりとげなければという気持ちになりました」と藤井さん。村上さんは「グループで課題に取り組むことで、自分が思いつかないような考え方に触れたのが面白かったです」と語り、「優秀賞に選ばれ、改めて3人で最後までやりとげられたことがうれしかったです」と村上さんは振り返る。

 受賞について3組のメンバーは一様に「まず驚きで、それから喜びがわいてきました。受賞は進路にプラスになると思います」と語った。また受賞によって取り組んだ特許出願で書類の作成という新たな挑戦をした経験も、次のステージに向けた大きな収穫だったようだ。