2011年 会長新年挨拶

 日本弁理士会会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。平成23年の新春を迎えるに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。

会長任期2年目に当たる本年度の事業計画は、「全員参加により知的財産制度の発展に貢献しよう!」をスローガンとしてスタートしましたが、相変わらず厳しい業務環境下であるからこそ弁理士全員が一丸となって積極的に知的財産業界の発展のために努力することにより知的財産制度を通じて社会の発展に貢献でき、その貢献が社会から認められる結果として弁理士業の発展があるものと考えます。

一方、知的財産業界の現状を鑑みると、2008年から2009年にかけて、世界的不況の影響も受け、我が国の特許の出願件数は11%以上の減少となり、35万件を割り込む結果となりました。出願件数の減少傾向は以前から始まっていたものであり、現在の出願件数は最高時から見れば、将に「激減」という他ありません。


日 本 弁 理 士 会 会長 筒井 大和

 日本弁理士会としては、この事態は、単に一時的な景気の問題のみならず、我が国の技術開発力や知財パワー、国際競争力の低下の結果の現れとして重大に受け止め、昨年12月3日の第1回臨時総会において、「特許等出願件数の激減に対する緊急対応策に関する決議」を採択させて頂きました。この決議は、我々弁理士のための決議ではなく、日本の将来の発展のためには技術開発力や知財パワー、国際競争力の向上が不可欠であるという認識に立脚し、それらの向上のためには、技術開発力を高め、その成果物である特許等の出願件数を増加させることを通じて、世界における我が国の発展を目指すためのものです。

現在の我が国の実状は、色々な分野で内向き思考が蔓延していると言われていますが、特に知的財産の分野においては、そのような内向き思考では、国際競争に打ち勝つことはできません。まず、日本出願の件数を回復させ、それをベースとして外国出願を更に増加させることを通じて、我が国が世界の中で発展できることを目指すべきです。また、日本が世界の知財の中心であり続けられるにはどのようにすべきであるかという観点からの様々な模索も必要と考えます。そのためには、日本の知的財産制度を世界に開かれた知的財産制度とし、世界各国からの特許・意匠・商標等の出願が日本に集まるような魅力ある知的財産制度を我が国に構築することが重要です。

弁理士業務の国際性に鑑みれば、我々弁理士は国際業務に強い弁理士であることが求められており、そのような弁理士の育成のためには、今後も国際業務の研修や国際交流等に力を注ぎ、弁理士全体の国際業務対応力を更に向上させることが肝要と考えます。

一方、多様化する知財ニーズに対応できる弁理士であるには、弁理士の本来業務における専門能力の更なる向上が基本ですが、それに加えて、周辺業務や新規業務等についても対応力を広げる必要があります。最終的には、知財経営戦略やコンサルティング等を融合した総合アドバイザー型の弁理士を目指して、人材を多数育成しなければなりません。

さらに、弁理士への社会的要求・信頼性を満たすには、弁理士全体として弁理士たるに相応しい実務処理力の質を維持・向上させることも重要です。特に、既登録弁理士の継続研修と新合格者の実務修習は非常に重要で、弁理士会研修所の関係者にはそのために大変な労力を費やして準備・実行をして頂いております。そのような努力を通じて弁理士全体のレベルアップが実現され、弁理士全体の実務処理力の質を維持することができると考えます。

日本弁理士会としては、国家の知財戦略本部による知財推進計画や、特許法改正への適切な対応の他、経済産業省、特許庁及びそれ以外の省庁(農林水産省、文部科学省等)の施策や、国家的知財支援プロジェクトへの対応を積極的に行います。

また、知的財産支援センターや、地域知財活動本部の他、全国各支部との連携をとり、各県や市等との支援協定等に基づき、地域知財活動の支援や、中小ベンチャー企業の知財支援も適切かつ十分に行います。

我々役員も会員の皆様が引き続き厳しい業務環境にあることを念頭に置いて会務を進めて参ります。日本弁理士会全体が心を一つにして将来の弁理士業及び知的財産業界の更なる発展を目指して一緒に頑張りましょう!