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例えばどのようなものが特許なのですか?

 私たちの身の回りにはさまざまな特許があります。例えば、今では豊富な種類があるインスタント食品。中でもインスタントラーメンの歴史は特許と深い関わりがあります。インスタントラーメンは今では世界中で916億食(※)も作られている、とてもポピュラーな食品。これは、 1958年に、約8年の歳月をかけて日本人が発明したものです。お湯を注いで、すぐに食べられる、しかも保存がきいて値段も安い…。こんな便利なものはそれまで世界中のどこにもありませんでした。
 当然特許を取るべき発明ですが、なんと発明者はインスタントラーメン作りに忙しくて、特許を取得していなかったのです。

(※)社団法人日本即席食品工業協会の統計による2006年度のデータより。

特許を取らなかったらどうなりますか?

 インスタントラーメンは、当時、作れば作るだけ売れる人気商品でした。当然他人がまねをし、商品の名前から、袋のデザインまでよく似たものがたくさん登場しました。しかし、味は本物と違います。
 このせいで「インスタントラーメンはまずい」という噂が立ってしまったら、せっかく苦労して良い商品をつくっても誰も買わなくなってしまうでしょう。発明者にとっては、まねをされることで信用を失うことがいちばんの損失かもしれません。

その後、インスタントラーメンはどうなったのでしょうか?

 後にようやく、インスタントラーメンの作り方についての特許と、他人が勝手に同じ商品名を使えないようにするための商標権が申請されました。
 しかし、インスタントラーメンを発明した人は、特許を公開して他のメーカーでも製造できるようにしたのです。もちろん、まねばかりせず、自分で努力して研究する優良な企業に対してです。

特許を取ったのに人に教えることもあるのですか?

 確かに特許は、他人がまねをすることを許さない法律です。しかしインスタントラーメンの発明家は、1社だけで作っていても、商品そのものに発展はないと考えたのでしょう。まったく新しい革命的な食品を大切に育て、世界中の多くの人たちに食べてもらおうと考えたのです。事実、国内外のあらゆる食品メーカーが競争し、麺の製造方法ばかりでなく、容器や包装方法までより良いものを競ってきたからこそ、現在のように豊富な種類のインスタントラーメンが世界中に広まったのです。

独り占めばかりしてもいけないということですね。

 永遠に独り占めをしていたら、競争がなく、その商品の分野も進歩しません。そこで特許には、出願してから20年という期限があります。特許で発明家の権利を守ることも、競争することも、どちらも世の中の進歩には大切なことなのです。
 普段何気なく口にしているインスタントラーメンも、多くの人の知恵と工夫があって現在に至っているのです。

ヒット商品を支えた知的財産権

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