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ヒット商品を支えた知的財産権 Vol.47
シンプルな構造ゆえに特許がいきる「ハイブリッドファン」

特許第3717509号

 空調から出る風を分散させ、空気の流れをつくる株式会社潮のハイブリッドファンは、天井付近と床面の温度差を解消して、快適な空間を創造する。天井カセット型など既設の空調機に簡単に取り付けられるほか、空調の風で回るので、それ自体はエネルギーをまったく消費しないのが大きな特徴である。

 開発のきっかけは、冷房の風が直接当たらないようにボール紙を貼付けた空調機を見たことだったと、同社代表取締役の田中俊孝さんはいう。自宅の天井扇を見上げて、これをつけたらどうなるのかと考えた。試作品をつくる上で苦労したのは、羽根の形状くらいだという。

 特許出願を済ませた田中さんは、重量1kgを目安に、軸と座金以外はすべてアルミ製の試作品を100個ほどつくり、顧客などのオフィスで試用してもらった。その結果、予想を超えた効果が得られることがわかった。冷房の場合、10度C以上あった天井付近と床の温度差が、ハイブリッドファンを取り付けることで1度Cになるというデータが出たのである。

 「空調の設定温度を夏は上げ、冬は下げることができ、大きな省エネにもつながる。CO2削減もアピールできるとわかりました」

  室内環境改善効果に加え、1台2万8800円(税抜き)のローコスト省エネ機器として、2005年1月に発売。大量注文を受けたのは、着想から1年半後だった。店舗開発、事務機器関連の展示会に出展したほかは、営業活動をしていないが、月1000台ほどの注文がある。

 「オフィスでも店舗でも、そこに訪ねてきた人が目にする場所にとりつけられる製品であることが強み。お客様のところがショールームの役割を果たしてくれるのです」

  開発を始めた当初、田中さんは「単純な構造なので特許がとれるとは考えていなかった」そうだ。「同じようなことを考えたという人もいたが、つくった人はいなかった。発想を形にすることが大事」だともいう。シンプルな構造であるだけに、アイデアとそれを形にした努力を守る特許の力が発揮される。

  現在はプラスチック製の羽根を採用したタイプのほか、家庭用空調機向けのエココプターも発売。「中小企業が製造できるものを開発し、販売店と連携する。

  開発から製造、販売まで、どこでも業績が上がるような製品のメーカーとして展開していきたい」と田中さんは今後の抱負を語る。

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