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ヒット商品を支えた知的財産権 Vol.45
遊び心いっぱいのアンプ内蔵型ギター「ZO-3」

商標登録 第3201434号

 ギターは1モデルで年間2000本出ればヒット商品といわれる。バンドブームが最高潮だった1993年から94年にかけて、ZO-3(ゾーサン)シリーズは1年間でざっと7万本売れた。

 製造・販売するフェルナンデスは1969年にギターの卸売会社として創設、ほどなくオリジナルギターの製造を始めた。ギターのほかアンプなどの周辺機器やアクセサリーも企画・販売している。

 常に変化する音楽市場の動向に対応する製品づくりを進める中からZO-3は生まれた。もっとも、開発のきっかけがお花見だったというのは、かなり特異なケースである。どこでも楽しめるアンプ内蔵型のエレキギターをつくった結果、象をデフォルメしたような形になったそうだ。足に見える部分のカーブはギターを太ももにのせやすくする工夫で、スピーカーの位置も必然性があって決められた。ギターの品番はアルファベットと数字の組み合わせが多いこともあり、ZO-3と名付けられた。

 90年3月に発売した当初は、ギターとして受け入れられる形ではないという空気が社内にもあった。しかし、遊び心いっぱいでありながらギターとしてのクオリティが高いことにプロのミュージシャンがまず飛びついた。発売から半年ほど経って忌野清志郎さんがトーク番組にZO-3持参で出演したことに大きな反響があり、年末には一挙に増産した。「初動の売上にはネーミングも貢献しています」と同社商品統括部部長の白熊裕一郎さんはいう。翌年、ベース・ギターPIE-ZOも発売された。

 ZO-3のユニークなボディを「キャンバス」にキティちゃん、ウルトラマンなどのキャラクターをペイントしたモデルも人気が高い。92年に初めて出した阪神タイガース承認モデルは毎年デザインを更新しているという。

 少子化と趣味の多様化でギター全体の売上は90年代半ばの半分ほどに減っている。そうした中でZO-3シリーズは年間1万数千本を売るロングセラーだ。2台目のギターとして持つユーザーも少なくない。また欧米、アジア諸国にも輸出している。

 「権利の防衛だけでなく侵害しないためにも知的財産には早くから取り組んできました。定期的に開く知財会議で最新動向をチェックしています」という白熊さん。アジアでの偽物対策もさることながら、最近ではネットオークションなどweb上に出る類似品対策に取り組んでいる。

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