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ヒット商品を支えた知的財産権 Vol.43
使っても元のかたちに戻る動物型の輪ゴム「アニマルラバーバンド」

意匠登録番号1244650、1244651 ほか

 アッシュコンセプトのアニマルラバーバンドは、輪ゴムの概念を一変させるデザインと機能を併せ持ち、グッドデザイン賞中小企業庁長官賞を受賞している。動物の形をしたシリコン製の輪ゴムは、普通の輪ゴムと同じように使った後も、元の形に戻る。哺乳瓶の乳首と同じ素材で、マイナス40度からプラス190度まで対応でき、冷凍や湯煎に耐えられるのも優れた点だ。

 アッシュコンセプトの代表取締役・名児耶秀美さんは、家庭用品メーカーで商品開発に手腕を発揮していたが、日本の優れたデザインを世界に発信したいと、会社を設立した。アニマルラバーバンドは、その最初の商品となったのだ。「動物をデフォルメしたデザインは、一筆書き、浮世絵の文化を受け継ぐもの」で、名児耶さんの事業方針にぴったりだった。

 デザイナーとともに、楽しく、安全で、長く使える商品にするために、素材、動物の種類や色を決めた。製造を依頼した工場は最初、シリコンで輪ゴムをつくるという注文に戸惑ったが、デザインを見て、製造方法の研究に熱心に取り組んでくれたという。シート状にして打ち抜くと膨大なロスが出るため、動物の姿を筒状に成型して、スライスする技術が確立された。

 「デザイナーに、どこで売りたいか聞いたら、MoMA(ニューヨーク近代美術館)というんです。それで、知人を介してニューヨークのギフトショーに出展しました」

 2002年4月の会社設立からわずか4ヵ月後のことである。アニマルラバーバンドはMoMAのバイヤーの目に留まり、同年10月に発売。MoMAでデビューを飾ったことから注目され、瞬く間にヒット商品となった。すでに欧米、アジアなど世界の約20ヵ国で販売され、900万匹を超すアニマルラバーバンドが世界各地に「生息」している。

 最初に出したキリンなど6種の〈ZOO〉に続き、2年後には犬や猫など6種の〈PET〉を出した。「まるで同じ形のコピー商品が出ることのないように、という考え」から、この12種の動物それぞれについて意匠登録している。「感動する、ドキドキ、ハラハラするようなモノづくりをしたい」という名児耶さんは、商品ごとにどういう形でデザイナーの権利、会社の権利を守るかを検討、知的財産戦略を重視している。

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