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ヒット商品を支えた知的財産権 Vol.21
「ファイナルファンタジー」

特許第2794230号、商標登録第2218951号

 取材に協力頂いたのは株式会社スクウェアである。家庭用ゲームをはじめ色々なジャンルのゲームソフトを開発してきた。現在、ネットワークエンターテイメントを視野に入れた戦略を展開中である。

 スクウェアのファイナルファンタジー(以下「FF」)という名前を聞くだけで、映像、キャラクター、BGMが脳裏に蘇る人は少なくないであろう。FFとは、シリーズ化されたロールプレイングゲーム(以下「RPG」)の名称である。現在、10作目を開発中である。

 FFという名前の由来は有名である。現エグゼクティブ・プロデューサーの坂口氏はこう語る。「大学生の頃、色々なゲームを開発しました。しかし、何をやっても売れなかったんです。これが最後の夢だ。そう決め込んで世に送り出したのが、ファイナルファンタジーです。」と。

 さて、FFに採用されているアクティブタイムバトルというシステムをご存じであろうか。第4作から採用された戦闘シーンでの新システムの名称である。坂口氏に解説頂く。「従来のRPGでは、時間が止まっていました。これはボードゲームでのRPGからの伝統です。FFでは、これをコンピュータならではのものに進化させるにあたって、時間の概念を導入したわけです。ただ、単純に時間を流すだけでは、リアルタイムゲーム(アクションゲーム)になってしまい、RPGの面白さを損ないます。そこで、時間の流れが戦闘の流れに沿って流れたり止まったりするシステムを発明したわけです。従来止まっていた時間をアクティベート(活性化)したということから“アクティブタイムバトル”としました。」と。実際にプレイすると、今までと臨場感が全然違うという感覚を持つだろう。

 このシステムを開発した当時、特許業界にも変化があった。ソフトウェア関連発明の保護が重要視されつつあったのである。株式会社スクウェアは、これにアクティブに対応した。その昔、特許の対象外とされており、無断で利用されることが多かったシステムについて特許出願を行った。アクティブタイムバトルという名称こそ使っていないが、このシステムが特許になったのである。

 当時の日経エレクトロニクスには、センセーショナルな事件として取り上げられた。株式会社スクウェアは、この特許によって、独占的にアクティブタイムバトルというシステムをゲームに搭載できるようになった。他のメーカーは、特許があるために真似ができないのである。「どうして、他のゲームにアクティブタイムバトルがないの?」と不思議に思う人も納得できるだろう。

 取材に協力頂いた特許室の永島室長と広報室の村川室長に将来の方向性を伺った。「株式会社スクウェアは、FF等のパッケージソフトだけでなく、今後、ネットワークを利用したプレイオンラインによって、総合的なエンターテイメントを提供しようと考えています。アクティブに対応しますよ。」と。

(取材協力 株式会社スクウェア)

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