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ヒット商品を支えた知的財産権 Vol.19
「熱さまシート」

商標登録第3201859号、商標登録第3268968号

 風邪などの発熱の対処法といえば、冷たい枕をするか、濡れタオル等で額を冷やすのが一般的であった。小林製薬が1994年に発売した「熱さまシート」が画期的だったのは、額に「貼りつける」点である。氷嚢や濡れタオルがずれてしまうことに不満があるという消費者のアンケート結果から生まれた製品だ。

 「熱さまシート」は水分を含んだジェル状の高分子ポリマーを塗布した不織布で、寝返りを打っても、起きあがっても額から落ちない。そのため発熱する頻度の高い子どもをターゲットに発売された直後から、予想を上回る反響を呼び、生産が間に合わないほどのヒット商品になった。当然ながら、競合製品が次々に発売され、現在では中小メーカーまで入れれば約40社が参入しているという。

 「熱さまシート」については、製品名の「熱さまシート」は当然の事ながら商標登録されており、その他にもパッケージに描かれているキャラクターである通称「熱さま坊や」と、「ピタッ!」という部分や、その他の部分についても商標登録されている。ネーミングも「熱さま坊や」のキャラクターも、商品の持つ特性をストレートに消費者にアピールする。また、「ピタッ!」は、消費者のニーズに応えた開発努力を印象づける。

 「当社では、パッケージは物言わぬ営業社員、と考えています。店頭でお客様に語りかけるのがパッケージの商標なのです。」というのは、同社経営企画部企画広報グループ主任の岩田和子さんだ。また研究開発本部研究企画部部長の矢田英樹さんは、「世に出した製品を長く育て、ブランドを大事にするという考えから、知的所有権全般について権利化できるものは全て権利化する方針で取り組んでいます。」と語る。

 消費者のニーズを丹念に拾い出し、既存の製品にはない新製品の開発に向けた試行錯誤を重ね、そうして生まれた製品を守るだけでなく、知的所有権によってブランドとしての信頼を高められるという認識が、小林製薬では浸透しているという。

 また、同社では、今までにない製品の開発・提供をしているため、既存のジャンルに収まらない新製品が多く、商標の調査時も、多岐のジャンルにわたる調査を行い、また出願においても複合商品的な対応を行っているとのことだ。この点で、代理人である弁理士の専門知識が生かされている。「熱さまシート」もその例に漏れない。

 「熱さまシート」のヒットから、赤ちゃん用等のアイテムや、アンメルツ足爽快シートという関連製品なども販売されている。「熱さまシート」そのものも、冷却効果時間を長くするリニューアルを重ねている。開発努力、絶妙のネーミング、消費者へのストレートなアピールという小林製薬の姿勢により、知的所有権に守られた「熱さま」ブランドも大きく成長している。

(取材協力 小林製薬株式会社研究開発本部研究企画部部長の矢田英樹氏 及び 代理人 大島泰甫弁理士)

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