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「知的財産権侵害品の貿易管理の在り方について」に関して パブリックコメントを提出

平成18年6月26日
産業競争力推進委員会
委員長  鷺 健志
副委員長 飯田 圭

 日本弁理士会産業競争力推進委員会は、平成18年6月5日に「経済産業省輸出入取引審議会企画調整部会(知的財産権侵害品の貿易管理の在り方について)の中間とりまとめに関する意見募集」に関し、下記意見書を提出致しました。

【意見】
第1 「知的財産権侵害品の水際手続の改善」について

 1 「論点1」及び「論点2」について

(1) 特に特許権及び実用新案権に基づく輸出入差止については、類型的に模倣品・海賊版事案ではなく、侵害性等を容易に判断し難い純然たる侵害事案が多いと考えられることから、審理判断をより迅速かつ適正にし、また、権利者による濫用を防止するために、税関による侵害認定手続より前の段階で、技術的・法律的な専門機関による制度的かつ実質的な審理判断を経ることを要するものとすること、また、そのような機関による審理判断においては、憲法上の適正手続の保障、国際調和等に配慮して、利害関係人も含めて、手続保障を図りつつ、先使用権の有無・権利の無効性等も審理判断するものとすることには、基本的に賛成である。(なお、その他の知的財産権の侵害事案は、模倣品・海賊版事案が大多数であるので、税関による輸出入差止制度を改善すれば足りるものと考える。)

(2) このような機関による審理判断の仕組みを整備するにあたり、一次的に裁判所の仮処分等を活用すること自体にも、基本的に賛成である。

(3) もっとも、一次的に裁判所の仮処分等を活用する場合に、二次的に裁判所の仮処分等による当事者間での審理判断の結果を対物的な輸出入差止に結び付けるために、経済産業大臣による外為法に基づく指定によるものとするときは、その指定手続において、利害関係人について、具体的に如何に、手続保障を図り、また、技術的・法律的な専門機関による制度的かつ実質的な審理判断を確保するのか、が別途問題になることに留意する必要がある。

(4) また、一次的に裁判所の仮処分等を活用する場合に、二次的に裁判所の仮処分等による当事者間での審理判断の結果を対物的な輸出入差止に結び付けるために、必ずしも経済産業大臣による外為法に基づく指定によるものとすることのみには限られないことにも留意する必要がある。すなわち、例えば、税関による輸出入差止制度の申立て及び審査段階において、特許権及び実用新案権に基づく場合には、裁判所の仮処分等に基づくことを要するものとした上で、申立て内容を原則公表し、申立てにおいて既知の利害関係人に通知し、その上で、利害関係に基づき申立てに異議を申し立てた者があれば、改めて、税関内又は外の技術的・法律的な専門機関が、裁判所の仮処分等並びに権利者及び異議申立人により提出された資料に基づき、異議申立人の主張の限度で、出願経過・公知技術等を参酌して権利範囲を解釈するとともに、先使用権の有無・権利の無効性等も審理判断し、税関長がこのような機関の判断に従い申立ての全部又は一部を受理又は不受理するものとすれば、基本的に同様の目的が達成できるものと考えられる。(なお、この場合、税関長による申立ての不受理に対し権利者が行政処分取消訴訟により不服を申し立てることができるのみならず、税関長による申立ての受理に対し異議申立人が行政処分取消訴訟により不服を申し立てることができるようにするものとする。)

 2 「論点3」について

特になし。

 3 「論点4」について

 特に特許権及び実用新案権に基づく輸出入差止について、一次的に裁判所の仮処分等を活用する場合に、二次的に裁判所の仮処分等による当事者間での審理判断の結果を対物的な輸出入差止に結び付けるために、経済産業大臣による外為法に基づく指定によるものとするときでも、特許権及び実用新案権の侵害事案中に必ずしも裁判所の仮処分等によることを要するとまでは言い難い明白に有効な特許権及び実用新案権の模倣品・海賊版事案が存在し得ること、中小企業等にとって必ず裁判所の仮処分等によることを要するとするのは酷であること等からは、同制度と税関の輸出入差止制度とは、以下の通り税関の輸出入差止制度を改正することを前提として、一応並存させることが相当である。すなわち、税関による輸出入差止制度の申立て及び審査段階において、特許権及び実用新案権に基づく場合には、申立て内容を原則公表し、申立てにおいて既知の利害関係人に通知し、その上で、利害関係に基づき申立てに異議を申し立てた者があれば、改めて、税関内又は外の技術的・法律的な専門機関が、権利者及び異議申立人により提出された資料に基づき、異議申立人の主張の限度で、出願経過・公知技術等を参酌して権利範囲を解釈するとともに、先使用権の有無・権利の無効性等も審理判断し、その結果、このような機関が裁判所の仮処分等によることが相当と判断した場合には、税関長はこのような機関の判断に従い申立ての全部又は一部を不受理するものとする。

第2 「模倣品・海賊版の非営業者による輸入」について

 1 「論点5」について

 「偽装防止型」に賛同する。但し、「業としての輸入」を侵害行為として、その偽装を防止しようとする場合、「営業者」による輸入か「非営業者」による輸入かは、名寄せや輸入実績の審査により偽装を確認し得るが、業としての「輸入代行」か「輸入」かは、名寄せや輸入実績の審査によっては偽装を確認し得ないことに留意する必要がある。如何に偽装の「輸入代行」により実質的に「輸入」される場合を実効的に確認し、規制できるかを検討する必要がある。

 2 「論点6」について

(1) 「知的財産法の拡張(輸入禁制品)による対応」は、産業財産権法上、「業として」の要件は本質的なものと考えられ、その削除は考え難いことから、相当ではない。
(2) 「新法による刑事的又は行政的な没収」は、産業財産権法との整合性等の観点から、相当ではない。

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