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新年のご挨拶

 新年あけましておめでとうございます。
 私の日本弁理士会会長としての任期は残り3か月となりました。いま2 年間の任期の総仕上げに取り組んでいます。
 旧年中に弁理士の数は9650 名を超えました。そのような大きな組織になった日本弁理士会を運営するための柱として,五つのテーマに取り組んできました。
 1.魅力的な知的財産制度を構築する
 2.国民のための弁理士制度にする
 3.委員会と附属機関は,街に出る
 4.特許事務所の基盤整備を支援する
 5.会務運営を革新し,会員サービスの向上を図る
です。


日 本 弁 理 士 会
会長 奥山 尚一
(おくやま しょういち)

法改正とワーキンググループ
 第1の柱については,日本弁理士会の外へ向けた発言力を高める努力を行ってきました。まず,本年予定されている特許法と意匠法の改正への対応ですが,それぞれの法改正に対応するワーキンググループを作りました。
 これらのワーキンググループには主要な実務系委員会の委員長を始めとし,これまでの法改正に係わった方々に入って頂きました。日本弁理士会全体の意見を集約して,要望書を提出し,また産業構造審議会の中に設けられた小委員会の日本弁理士会代表の委員にも,総意に沿った意見表明をして頂くために大変重要な役割を果たしてもらいました。単独の政策的な委員会では,日本弁理士会の総意を形成することは難しく,多くの課題やパブコメに対応することが困難なので,実務を行っている年代の意見を反映させるためにはこのやり方しかないと考えています。これまでは,ややもすると,外部の諸委員会に代表として出た弁理士が,会内からのバックアップがなく,個人の意見を表明していた事例がありました。将来的に禍根を残すおそれがありますので,これは絶対に避けねばなりません。
 具体的に見ますと,本年予定されている法改正は,付与後レビューの制度の創設と,意匠の国際登録のためのハーグ協定への加盟など,大きな制度変更となります。また,同様に予定されている商標法の改正については,これまで数年にわたって検討されてきた色や音などの新しい商標が主要なテーマですので,特にワーキンググループは作りませんでしたが,第1と第2の商標委員会の意見をまとめて,検討のプロセスに積極的に関与して頂きました。そのほか,近々,単一性とシフト補正に関する審査基準の改正案が発表されます。その検討過程においても,日本弁理士会としての意見表明を強力に行っており,現行の厳格な取り扱いは,相当程度緩和されるだろうと思っております。
 特許庁は,ファーストアクションを審査請求後平均11か月以内に出せるFA11の達成が,平成25年度末には可能であるとしています。審査の遅れが解消した状況の下で,より丁寧な審査,より出願人の立場に立った審査と権利付与がなされるように働きかけていく必要があると考えております。例えば,第1と第2委員会に分けた特許委員会のここ2年間の報告書類をご覧になることをお薦めします。極めて広範な問題を取り扱って,積極的な意見が述べられています。
 さらに,国内外の関係諸機関にあてて今年度に限っても16 件の意見書や要望書を提出しております。米国の特許法改正もその規則と運用の動向を知り,必要に応じて意見表明をしていかなければなりませんし,ヨーロッパの統一特許裁判所と単一効特許の成立も見守る必要があります。
 また,知財戦略本部専門調査会ワーキンググループというのも活動しています。  そして,これまでの2年間の実務系委員会の報告書に基づいて知財全般に関する日本弁理士会の政策提言を取りまとめつつあります。

弁理士法の改正
 第2の柱については,前回の平成19年の弁理士法の改正に対する見直しと,積み残した問題点の整理に目途が付きました。(一財)知的財産研究所(知財研)内の弁理士法改正委員会では,法改正後の制度の詳細についての議論が行われております。本会の外の意見を会内の議論に反映させるために,本会にある中央知的財産研究所の研究部会でも検討してきました。本年度末までには,知財研の報告書が出ます。その報告書を基礎に,来年度には,産業構造審議会の弁理士制度小委員会で議論が行われ,平成26年の通常国会に弁理士法の改正案が上程されます。そのなかで,2名の弁理士が委員として入っている知財研における議論は大変重要であると考えております。これまでも,特許庁をはじめとして,日弁連,産業界,大学教授の方々の意見をお聞きし,精緻な議論ができていると感じています。いうまでもないことですが,今回予定されている弁理士法の改正は,少なくとも今後20年にわたって弁理士に影響を与えるものであり,日本弁理士会にとっての最重要課題であると考えています。
 なお,弁理士試験の合格者の数は喫緊の課題であり,弁理士制度設計の議論とは明確に切り分けて考えてきました。ただ,昨年の弁理士試験の合格者数をご覧頂ければ分かるように,合格者の削減に向けた日本弁理士会の度重なる働きかけは,多様な免除措置が入ってしまった弁理士試験制度の流れの中で,合格者数増大の押さえになっているとは思いますが,功を奏しているとは言い難い状態が続いているのが残念です。

外部への働きかけ
 さらに,日本弁理士会独自の施策である中小ベンチャー企業支援のための出願援助制度の拡充も実を結びつつあり,東日本大震災の復興支援もますます活発になっています。
 第3の「委員会と附属機関は,街に出る」ということで,日本知財学会や大学技術移転協議会(UNITT),日本工業所有権法学会などの外部の団体との連携を強化してきました。昨年12 月に大阪工業大学で開催された日本知財学会の年次学術研究発表会では,例年通り2時間の日本弁理士会協賛セッションを開催したほか,20ものプレゼンテーションを行いました。日本知財学会とは協力を続ける覚書を交わす予定です。また,新たに熊本県や土佐市と支援協定を結びましたが,続いて全国に51校ある公立の高専を束ねる(独法)国立高等専門学校機構とも支援のための覚書を締結し,授業への協力などを行う予定です。

会務運営
 第4の柱については,弁理士全体のレベルアップのための研修活動の強化を進めています。また,会員サポートセンターワーキンググループにおいて,どのような支援を行うべきかの具体的な検討を始めました。
 そして,最後の会務運営の革新については,まず,弁理士が毎月支払う会費を恒久的に25%引き下げ,特許業務法人については50%引き下げました。そして,予算と決算の乖離はゆるんだ事業計画につながると考え,膨張した予算を引き締め,会務のレベルは一切下げずに,予算執行率を上げる努力をしてきました。総会委任状のインターネット提出や,月々の送付物の削減,電子的なアンケートシステムの活用などを試みてきました。

「日本の知的財産制度の中核に弁理士がいる」
 上述の活動は全て,「日本の知的財産制度の中核に弁理士がいる」という我々の中での自覚と社会一般の認識を高めるために行っています。一定の成果は出つつあると考えています。残りは3か月と短いですが,本年はさらに成果が出るよう専心努力していき,次年度の執行役員会に引き継ぎたいと思っています。
 我々の究極的な目標は,日本の知的財産制度と政策をしっかりサポートすることです。最近,特許審査ハイウェイにしても,ACTAにしても,日本発の提案が国際的な場で大きく実を結んでおります。日本の企業もどんどん国際化が進みます。日本弁理士会は,そういった社会の動きにしっかりと対応していけるような専門職集団にならなければなりません。もちろん,知財総合支援窓口事業が策定する知的財産戦略,地方と中小企業の知財支援のための知的財産総合窓口事業,技術標準の国際的戦略などといった個別の政策にも確実に対応しなければなりません。
 知財制度の発展に向けて努力を続けていくことにより,日本弁理士会は日本の社会に貢献していきます。

最後になりましたが,本年が皆様にとってよりよい年となりますことを祈念し,新年のご挨拶とさせて頂きます。

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