支援活動だより178_webbook
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34 知的財産支援活動だより2017年2月号(No.178)1.日  時:平成28年12月17日(土) 13:30~16:002.場  所:名古屋商工会議所 3階第5会議室3.実施者:主催・運営:日本弁理士会東海支部4.内  容:不正競争防止法入門~営業秘密を中心に~5.対象者:一般市民、中小企業者、知財担当者など(65名)6.講  師:東海支部 知的財産権制度推進委員会        副委員長 一色昭則、委員 相羽洋一7.コメント: 第1部:不正競争防止法入門~営業秘密の保護~(担当:相羽洋一) 初心者向けの不正競争防止法入門として営業秘密の保護を取り上げました。興味が湧くように最初に刑事事件3つを取り上げ,事案を少し詳しく説明した上,同じように従業員が退職に当たって図利加害目的で営業秘密を持ち出して開示した事案でありながら,量刑に差が出た理由などを説明しました。営業秘密の要件は後回しにして,営業秘密の保護について不正競争防止法では民事的救済と刑事処罰を予定しており,さらに本年度の関税法改正により,営業秘密侵害品の税関による輸出入差止めが認められたことにより,国が営業秘密保護に強い姿勢を見せていることを伝えました。また,営業秘密の重要な要件である秘密管理性について,経産省が昨年,従来の「営業秘密管理指針」を裁判所の判断基準に合わせて全面改正したことに触れ,比較的緩やかに管理性を認めた裁判例を2つ挙げて丁寧に説明しました。最後に民事的救済の重要な手段である損害賠償に関して,損害額の推定の話をする予定であったが,時間が足りずに説明を割愛しました。特許法などと共通の内容なので,テキストだけでも理解されたと思います。 営業秘密の保護の問題は,従業員など関係者による秘密情報の取得・開示等が問題になっているから,管理のルールの徹底ももちろんではありますが,企業は労働環境について常に意識をもって,情報を取り扱う者の企業に対する不満の有無に留意して,あるならばその速やかな解消に努めるという姿勢が重要であると思います。その意味では,ある程度講師の意図が伝わったのではないかと思います。 第2部:不正競争防止法の事例紹介(営業秘密以外) (担当:一色昭則) 不正競争防止法の導入としてスナックシャネル事件を紹介しました。他人のブランド(信用)にフリーライドすることが不正競争行為に該当することを説明するとともに、商標権の権利範囲と不正競争防止法がカバーする領域との比較について説明しました。また、商標法、不正競争防止法のメリット、デメリットについても比較しました。次に、面白い恋人事件を紹介しました。宣伝効果により原告、被告とも売上が向上し、訴訟をビジネスにうまく利用した例として説明しました。また、たまごっち事件を例に挙げて意匠権の権利範囲と不正競争防止法がカバーする領域との比較について説明しました。その他、原産地表示や品質の誤認についてミートホープ事件を紹介しました。また、虚偽告知事件として吸水パイプ事件を紹介しました。取引先に警告状を送付する危険性と、虚偽告知事件における原告の勝訴率の高さについて説明しました。このような事例の紹介に加えて、周知性、著名性を獲得することは困難であるため、中小企業はなるべく意匠権、商標権の取得を検討したほうがよい旨を話しました。裁判例では、被告の用いた標章や商品の形状を示したため、聴講者にとって分かりやすかったと思われます。東海支部知的財産権制度推進委員会 副委員長 一色昭則委員 相羽洋一「第7回休日パテントセミナー2016in名古屋」セミナーの様子

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