支援活動だより174_webbook
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34 知的財産支援活動だより2016年9月号(No.174)のグランドデザイン~未来を創るための組織構造・技術開発そしてライセンシングの実例~」と題してご講演をいただきました。 古田氏が率いる未来ロボット技術研究センター・fuRoは、企業とパートナーシップを組み、研究開発成果であるロボット技術を製品化、事業化するのがミッションの1つです。本講演では、いままで事業化してきたロボットプロジェクトと、それらの知財・特許戦略について事例を紹介していただきました。また、fuRoの最大のミッションである、未来社会のグランドデザインとそこへの技術の実装において、現在、講演者が取り組んでいる政府のオリンピック・パラリンピックプロジェクト「改革2020:先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現」についても触れ、これからのロボット技術の社会実装動向について解説していただきました。 第2部の一般講演Ⅰでは、池井戸潤氏の小説「下町ロケット」に登場する神谷弁護士のモデルである弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 代表パートナー弁護士・弁理士の鮫島正洋氏より、「下町ロケットにみる中小企業の知財戦略と事業戦略」と題してご講演をいただきました。本講演では、小説「下町ロケット」を題材に、中小企業の事業競争力と知財戦略との関係についてお話いただきました。具体的には、知財が経営に及ぼす影響、知財のコストとリターンなどを実例を交えて解説していただきました。また、鮫島氏が委員等を拝命する最近の知財施策についてもご紹介いただきました。 また、一般講演Ⅱとして、ロボットベンチャー企業の創業者としてご活躍されているアクティブリンク株式会社 代表取締役社長の藤本弘道氏より、「パワーバリアレス社会への挑戦」と題してご講演をいただきました。藤本氏が代表を務めるアクティブリンクは、力の面での障壁をなくし誰もが元気に働くことのできるパワーバリアレス社会の実現を目標として、2003年にパナソニックの社内ベンチャー制度を用いて創業したベンチャー企業です。物流、農業、建設、災害救助などの分野でパワーアシストスーツをはじめ、様々なパワーアシスト機器の実用化を目指しています。本講演では、今後広がってゆく用途を当社の開発事例をもとに紹介し、パワーアシストスーツに必要とされる技術などについて解説していただきました。 パネルディスカッションでは、大阪工業大学大学院 知的財産研究科 教授・弁理士の内藤浩樹氏をモデレーターとし、上記4名の講演者との間で「ロボットと共に歩む近未来社会~ロボットイノベーションと知財マネジメント~」という切り口より、活発な討論が行われました。 講演会の部の最後に、日本弁理士会・副会長の吉田博由氏より閉会の挨拶があり、盛況のうちに本講演会を終了することができました。 本年度の講演会の部では、先端技術やビジネスモデルを事業化する例として、今最も注目されている「ロボット」をとりあげました。特に、従来より導入が進んでいる物づくりの現場において活用される産業用ロボットのみならず、介護・福祉、医療、災害現場、農業、物流などの分野への導入が期待されるサービスロボットにスポットライトを当て、イノベーション論や知財マネジメントの視点を加えて考察する機会を一般の方々に提供することができたのではないかと思います。また、長時間の講演会にもかかわらず、聴講者が最後まで熱心に講演に聞き入っていただいた様子からも、本講演会の内容が、皆様に対して有意義なものとなり得たのではないかと考えます。小森支部長の挨拶五郎丸委員による司会進行会場の様子古田氏の講演鮫島氏の講演大場氏の講演

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