支援活動167_Web book
21/36

知的財産支援活動だより2015年12月号(No.167) 21 1.日  時:平成27年11月7日(土) 14:00~16:302.場  所:姫路商工会議所3.テーマ:中小企業(個人事業主を含む)の方向け       「中小企業にとって有益な出願とは?~最適な出願方法を求めて~」4.講  師:森定 勇二5.対  象:一般受講者 11名6.コメント: 「パテントセミナー2015年」・姫路編では、森定勇二会員により「中小企業にとって有益な出願とは?~最適な出願方法を求めて~」というテーマで講義しました。兵庫県明石市に事務所を構えられ、地元密着企業を長く支援してこられた経験に基づく実践的な知財戦略の説明は、受講者に大いに役立つ内容であったと思います。 講義ではまず知財権取得に向けた支援制度を説明しました。弁理士会や特許庁、地方自治体などが種々支援制度を用意していますが、実際の制度利用の経験談を踏まえた解説により、受講者の制度への親近感は増したのではないかと思います。 次いで産業財産権出願の解説に移りましたが、一般的な講義やテキストで理解できる万人向け知識は極力控え、特に実務的な注意点や制度の活用方法に重きを置いた解説でした。例えば特許の付加的解説に留まることの多い実用新案制度ですが、森定会員は特許制度に先だって実用新案制度を解説しました。登録・公開が早い性質ゆえに同種技術の第三者による事業化を断念させる効果があることや、後に実用新案出願を基礎とした特許出願を検討できることなど、実用新案制度の戦略的活用を念頭に置いた解説は非常に興味深いものでした。続く特許、意匠、商標出願の解説においても、事業進捗に合わせた公開等タイミングの調整や関連意匠の実践的利用方法など、事業目線から逸れない知財制度活用の解説は、受講者にとり非常に有益なものだったと確信します。 後半では、実際の経験事例を多く紹介しました。いずれにも特許と実用新案、或いは意匠・商標出願の組合せにより事業化保護を狙った成功例であり、また、交換容易な部品の特許やアイデア商品の特許など、非常に身近な実例に基づく体験談であったこともあり、受講者の事業にとり示唆に富む内容であったと思います。 中小企業向けと念押しされ、実体験を取り入れて丁寧に制度解説されるテンポの良い講義は大変分かり易く、とても短く感じた2時間半でした。とはいえ、そこで語られた内容は実はとても高度なものでした。難しいことを簡単に説明することは誰にでもできることではありません。受講者は知らず知らず高度な知財戦略を身に付けられたはずです。地方都市においてもこのような良い講義を提供できたことを運営委員として嬉しく思いつつ、姫路の会場を後にしました。近畿支部知財普及・支援委員会 大野 義也「パテントセミナー2015」姫路講師:森定 勇二 会員会場の様子

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です