支援活動165_Webbook
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8 知的財産支援活動だより2015年10月号(No.165) 先ず、モデレータの上條由紀子会員から、産学連携と知的財産の総括的な説明が行われました。大学の本来の目的は教育、研究及び社会貢献ではありますが、今や、その大学の研究成果は、社会の発展に資することも期待されています。そこで、大学知財の創造、保護及び産業界と連携した活用において大学知財担当者が担う役割から始まり、知的財産権の基礎知識から、大学の知財マネジメントまで、概要から各論までを駆け足でしたが詳細にご講演されました。大学の研究は本来論文発表を意図したものですが、これに対して企業の研究は事業化を意図したものであり、この両者を結び付けられる様に大学知財を守ることが大学知財担当者として大事であることを強調されました。 そして、スピーカーの小林寛和会員から、特許事務所の弁理士の仕事紹介も交え、発明完成の時点から出願そして特許権成立まで、その特許業務における各項目の詳細な講義が行われました。発明の権利化業務を弁理士と連携して担当する大学知財部門の初心者がすぐに活用できる知識、覚えておきたい制度等を概説されました。大学知財部門の方々には、これらを知っていただいた上で、出願権利化の業務を各担当者間で円滑に進めていただくことが大切であるため、大学知財部の現場に即した知的財産基礎講座としての内容を丁寧に網羅したご講演でした。 次に、スピーカーの矢口太郎会員から、「米国版 IPギャップを埋める知財活用戦略」と題し、大学と企業間にあるIPギャップを埋めた技術移転がされた米国での事例紹介がありました。この事例の中で、最初にする特許出願の数は多くありませんが、重要な出願は、継続出願等を利用し適切で有効な範囲の権利化を図っており、米国における効率的な戦略を見聞できたご講演でした。 最後に、各演者からのまとめとして、大学と企業のコミュニケーションの重要性、特許の数よりも質を見極める戦略の重要性を強調されました。 参加者にとっては、知的財産基礎講座として要点をおさえた分かり易い講義であったとともに、大学知財部門の役割の重要性、有効な特許権を取得してゆく戦略の大切さを実感できる内容であったと思います。(小山 京子)

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