支援活動だより150号
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8 知的財産支援活動だより2014年5月号(No.150)置を開発、権利化され、かなりの収益を上げておられます。今回も装置の実物をお見せしながら、特許の要点と活用とについて解りやすくご説明しました。(第8回)「『あずきバー』 & 『ほっとレモン』商標事件」 知的財産高等裁判所は、カルピスの「ほっとレモン」については商標登録を取消すべきと判決し、井村屋の「あずきバー」については登録すべきと判決しました。2つの審決取消事件を比較しながら識別力の低い商標がどのような条件を備えれば登録されるかについて初心者向けに解説しました。(第9回)「特許請求の範囲の解釈について」 (1)被告の「本件出願人には、ベローズの内面の凹部が金属粉収集機構に当たるとの認識がなかったことは明らかであり、これを技術的範囲に含まれると解することは、出願人の出願時の認識を超えるもので、許されない」との主張。 (2)出願人は出願当初は付されていなかった符号を付す特許請求の範囲の補正を行った出願経過に照らせば、本件発明の技術的範囲を符号により特定される実施形態の範囲に意識的に限定したことが明らかである」との被告の主張。 (3)「被告製品は使用の際に向ける角度により本件特許権を侵害しない態様で使用される可能性があるから差止めを認めるのは不当である」との主張。 などの3つの主張を退けて、被告製品の製造販売等の差止めを認めた東京地裁判決を題材に特許請求の範囲の解釈手法について解説しました。(第10回)中小企業の活用事例5「足立工業株式会社」 2度目の登場の足立工業株式会社に関するものですが、内容は新しい、内視鏡外科手術用鉗子に関するお話です。 医療関係は、今後とも不況の影響を受けにくい業種で、他業種からの参入が非常に多いのですが、成功している例は少ないです。その数少ない成功例が今回の「鉗子」です。 内視鏡外科手術に使われる鉗子は、単一の手術孔からできるだけ多くの手術器具を挿入する必要から、小径化が要請されるのですが、その要請に応え、動作に影響を与えないで世界一の小径化(外径2ミリ)を達成されました。 そこには、おどろく技術が・・・。今回も装置の実物をお見せしながら、特許の要点と活用とについて解りやすくご説明しました。(第11回)「著作者人格権について」 新梅田シティ内の庭園を設計した元大学教授である造園家が、著作権に基づき、建築家 安藤忠雄が発案した巨大緑化モニュメント「希望の壁」に対して大阪地裁に設置禁止仮処分を申し立てた事件を題材に取り上げました。 この事件は著作者の意に反する改変が許されるかどうかについて著作者人格権を巡って争われました。 この事件を題材に著作権、著作者人格権について初心者向け解説しました。(第12回)中小企業の活用事例6「株式会社ボンフォーム」 安八郡安八町にある株式会社ボンフォームの自動車用ハンドルカバーのお話です。この会社は、自動車用アクセサリーであるシートカバー、カーマット、クッション、ハンドルカバーなどを製造・販売されており、ハンドルカバーでは全国でトップシェアを維持されています。 今回、このハンドルカバーについて、顧客ニーズに基づき新たな解決課題を見いだし、その過程において、その解決手段が追加の作用効果を生じることを発見されて、その点を核心に特許出願され、特許を取得されました。 進歩性の程度について興味深い発明であり、実際の製品を見てもらいながら、皆さんにも考えてもらいます。特許法上の進歩性についてのご説明を少し詳しくさせてもらいました。以上東海支部 教育機関支援キャラバン隊 隊員 廣江 武典

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