平成28年度 会長就任2年目のご挨拶

 

就任2年目のご挨拶

知財立国の未来を切り拓くべく行動しよう!

 

会長 伊丹 勝 伊丹勝会長-左

 

1.はじめに

 本年4 月より会長就任2 年目になりました。会員の皆様には、日頃より日本弁理士会の会務に深いご理解とご協力を頂き、有り難うございます。 昨年4 月に施行された新弁理士法に使命条項が規定され、これまで以上に、知的財産に関する専門家として、弁理士の活躍が社会から求められています。経済のグローバル化、IoTによる社会変革、オープン・クローズ戦略等、知的財産を巡る環境は今大きく変化しております。我が国が、今後も知財立国としての地位を確保し続けていくためには、我々弁理士も、時代に即した新しいフィールドで大いに活動することが必要です。 このような観点から昨年度は、「世界最高の知財立国を目指して行動しよう!」とのスローガンの下で、日本弁理士会の総力を上げた地域知財活性化活動の展開、世界をリードする知財システム実現、ユーザーのニーズに合った多様な人材の育成、事務所の経営基盤強化、日本弁理士会の組織強化、知財制度および弁理士制度の普及・広報活動の強化を重点政策として掲げて活動してきました。本年度も、これらの政策の下で、各種事業、活動の成果、進捗等を検証したうえで、さらなる強化を図っていきます。 また、本年度は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)により日本企業の海外展開が活発化することが予想されます。また、PLT 関連法の施行により、海外から我が国への出願状況にも変化があることが予想されます。このような内外、外内の動きが活発化する今こそ、我々知財専門家がしっかりとその役割を果たすべきです。 そこで、このような時代の流れに即した観点に立脚した戦略を付加して、各事業の継続を強力に押し進めていきます。 以上の点を踏まえた本年度の重点施策について述べさせて頂きます。

  

2.重点政策

(1) 地域知財活性化活動のさらなる拡充
これまで行われてきた、知財総合支援窓口、無料発明相談、各種セミナー等への弁理士の関与に加えて、昨年度は、積極的に地域の中小企業を訪問し、知財戦略を提案するという新しい取り組みを中核とした「弁理士知財キャラバン事業」を立ち上げました。現時点で150 社を超える訪問コンサルを行っております。 この弁理士知財キャラバン事業は、これまでの実績を踏まえてユーザニーズを分析し、継続して実行していきます。したがって本年度においても、支援員を継続して養成すると共に、さらに新たな派遣先を開拓すべく、様々なネットワークを利用してその活用を図っていきます。また事業の内容をより多くの人に知ってもらうためには、広報戦略を強化します。併せて、この事業を継続性及び発展性のある事業とするための仕組みを検討し実行に移します。このような事業を通じて中小企業支援の輪を拡げていきます。

(2) 各種のネットワークを駆使した知財環境の充実
国内においては、従来の各種関係団体との関係を充実させると共に、金融機関との連携を強化し、知財制度の幅広い普及を図ります。 海外においては、ジェトロ派遣員制度の継続、海外窓口の充実、各国の弁理士会、知財団体との交流、提携を図ります。 昨年度2 回開催し一定の成果があったプレジデントミーティングを本年度も継続し、各国代理人の連携を深め、今後展開されるグローバルな知財システムに代理人の立場から提言できる環境を作っていきます。 また、本年2 月18 日には、WIPO のガリ事務局長が来会され、日本弁理士会がWIPO GREENのパートナーとなる署名を行いました。今後は、グローバル市場での環境技術の活用を支援して行きます。 また、TPP 関連で新たに立ち上げられた官民組織である「新輸出大国コンソーシアム」への支援機関として日本弁理士会も参加し、日本企業の海外進出に伴う知財問題に対応する体制を整えます。 これらネットワークを通じて内外での日本弁理士会のプレゼンスを高めるともに、ユーザーにとって有益な知財制度の実現を目指します。

(3) タイムリーで効果的な広報活動の強化
昨年は、五輪エンブレム問題や人気ドラマ「下町ロケット」等を通じて、知財に関する世間の認識が高まったと思われます。しかし、知財制度、弁理士制度についての社会的な認知度はまだまだ低いと言わざるを得ません。広報活動の重要性に鑑み、斬新な視点からの戦略の構築を図り、将来を見据えた長期的展望も視野に入れた広報の充実・展開・発信を行っていきます。また広報は、ユーザーサイドに立つことが重要です。ユーザーのニーズを刺激する広報の検討を行い、様々な場面でこれを実行していきます。 さらにホームページを利用した効率の良い効果的な情報発信や、会員に対する情報発信方法の拡充を行って、ユーザーのみならず、会員にとっても有益な情報の周知を図ります。 また、海外においても、海外の企業、知財関係者に対し、日本の優れた知財システムの利用促進を図るべく、現地での広報、普及活動を展開します。

(4) 事務所経営基盤の強化に資する具体的支援の継続実行
我々を取り巻く環境は依然と厳しく、そのため外部に向けての各会員個々の活動もさることながら、環境の変化、時代の流れに対応した経営形態を固めていくことも必要です。昨年度も、事務所の経営基盤強化を図るべく、経営分析ツールの開発など種々の支援策を行ってきましたが、今年度はその結果を踏まえ、より具体的、かつ利用しやすい支援策を実現して、広く会員に提供していきます。

(5) 多方面での人材の育成
昨年度は知財経営コンサルティングのスキルを持った弁理士の育成、グローバル人材の育成、そして専権業務のスキルアップを図るための方策を実施してきました。今年度はこれらの人材育成事業を継続すると共に、海外でのプレゼンテーション能力を高めるための新しい研修プログラムにも取り組みます。また、会員のみならず、将来において知財の創造を担う若い人たちや、知財を生み出し活用していく人たちに対して、これまで以上に育成の目を向け、多方面において多種多彩な人材の輩出に努めます。

(6) 魅力ある知財制度実現のための調査、研究、提言
世界をリードする知財システムの実現のために、コア業務の拡大、知財紛争処理システムの活性化等を昨年度も鋭意、調査、研究し、提言を行ってきました。今年度はこれらの提言活動を、ユーザーのニーズも踏まえて継続して行い、より具体的な提言を行うべく活動します。 前回の弁理士法の改正により、我々は知的財産に関する専門家であることが法律に明記されました。しかしながら単なるスローガンに終わらせては、知財制度を通じて広く社会に貢献することはできません。現在の専権業務以外に周辺業務や付帯業務に対して我々が積極的に関与してこそ、ユーザーの期待に応えて知的財産の保護、活用を図ることができます。 そのため、コア業務の拡大の他に、著作権や営業秘密の保護、さらにはユーザーのニーズに叶った保護制度の拡充について鋭意調査、研究を行い、将来の法改正に反映させるべく、その結果を積極的に提言していきます。

(7) 日本弁理士会の組織改革の実現に向けた取組 日本弁理士会の組織強化は昨年度において重点政策として掲げ、知的財産権制度及び弁理士制度の発展を推進する組織、地域経済及び地域産業の発展に貢献できる組織、企業のグローバル展開を支援できる組織を目指すべく、改革、検討等を行ってきました。本年度は、できることから実現するため、実現に向けた取り組みを行います。また、会員の会務への積極的な参加を促す方策を検討、実行します。会員数が1 万人を超えた今、有為で才能豊かな会員も増加しているはずです。これらの人材の会務への積極的な参加を促し、かかる点からの日本弁理士会の組織も強化します。

  

3.おわりに

 これらの施策を通じて、知財立国の未来を切り拓くべく、積極的に活動していきます。本年度も会員の皆様のご理解とご協力を何とぞ宜しくお願い申し上げます。