『「知的財産推進計画2015」の策定に向けた意見募集』に関する意見書(知財紛争処理)

平成27年5月20日に、日本弁理士会は、『「知的財産推進計画2015」の策定に向けた意見募集』に関し、「知財紛争処理」について意見書を提出しました。


(要旨)

1.証拠収集手続について

  現在の文書提出命令の特則は期待された機能を果たしていないと考えられることから、証拠収集手続きが容易になるように制度を見直すべきである。具体的には、次のようなことが考えられる。
 ・欧州型のような専門家たる第三者による査察制度の導入の検討。  ・専門委員制度を証拠収集においても活用する方策の検討。
 

2.権利の安定性について

 権利の安定性について、次のことを提案する。
 (1)タイムリーな権利取得のために、審査請求期間の長期化又は特定の条件の下で審査請求時期を遅延させるシステムの導入や、審査着手のタイミングを指定できるシステムの導入の検討。
 (2)権利内容の充実のために、最後の拒絶理由等に係る補正の制限やシフト補正の禁止など補正制限の要件の緩和。また、無効審判における訂正等の制限の緩和についての検討。
 (3)無効の抗弁の維持
 

3.損害賠償額について

 いわゆる「寄与率」の問題に対し、ガイドラインのような形で、寄与率を考慮する要素を規定する指針を提 供し、損害賠償額の算定方法を透明化・統一化することが有効である。また、実施料相当額の算定をより適正化するために、算定に関するデータベースの構築も有効である。
 

4.差止請求権について

 差止は特許権侵害の抑止力として重要であり、現時点でこれを抑制する必要はない。
 

5.中小企業支援について

 中小企業が原告の場合に、印紙代が高額となるのを避けるため、損害額の一部請求しかできない状況があることから、印紙代の支援システムの構築について検討すべきである。  また、日本において、全世界的な侵害紛争について解決が図れるような機関を検討すべきである。
 

6.情報公開・海外発信について

 現在の公開情報に加えて、「和解による終結の傾向」、「仮処分の件数」、「訴訟の種類別件数等の公開」についても、公開による弊害のバランスを考慮した上で、公開すべきである。  また、日本の知財訴訟システムが、特に新興国における訴訟システムとして採用されるように、官民挙げて我が国の訴訟システムを積極的に海外発信できるような仕組みを検討していくべきである。
 

7.地方における知財司法アクセスについて

 日本の裁判の長所である統一的で適正かつ安定的な裁判が損なわれないようにすべきである。また、現在も活用されている電話会議、テレビ会議システムなどのIT技術をより積極的に活用することで、地方における知財司法アクセスの利便性は更に改善できると考える。