「就任2年目のご挨拶」

古谷史旺会長-右_0912(名刺)

「就任2年目のご挨拶」

-1年目の活動を振り返りつつ-


会 長  古谷 史旺


日頃,日本弁理士会の活動に深いご理解とご協力を賜り,心より感謝申し上げます。


☆会長就任1 年目の平成25年度は,事業計画の基本姿勢に

−弁理士の存在価値を高める−(次世代に引き継ぐシッカリとした礎を築こう)」を掲げさせて頂きました。

そして,下記の6 項を基本方針とし,8名の副会長と11名の執行理事の方々と力を合わせて,具体的な活動を展開してきました。

1)人材育成と業務支援

2)活力ある知財制度の実現

3)誇りの持てる弁理士制度の実現

4)啓発活動,支援活動

5)役員制度の見直し

6)日本弁理士会組織の見直し


○人材育成と業務支援については

ベテラン弁理士のスキルを若手弁理士に伝授する実務能力育成プログラムを開発し,そのプログラムに基づいた演習指導型の『弁理士育成塾』を昨年の11月に東京と大阪で立ち上げ,1年間で約100時間の予定で,毎隔週土曜日にスタートさせています。

明細書作成の機会が少ない若手弁理士に,ベテラン弁理士の指導の下で実際に明細書を書かせて,それを添削し指導する実践型です。

この試みが成功したら,明細書の作成だけに限らず,意匠,商標,外国出願にまで広げることを考えています。

また一方で,企業内弁理士のスキルを上げて弁理士の存在価値を高めるため,『企業内弁理士向けの研修プログラム』を開発し,実践する予定で準備を進めています。遅くとも平成26年度半ばには具体化できそうですし,それを待つまでもなく,様々な分野での業務支援に繋がる研修を数多く実施してきました。


○活力ある知財制度の実現については

日本弁理士会の外へ向けた情報発信(政策提言)が少ないことの反省から,「知財戦略会議WG」を設置して政策提言を行って頂きました。

昨年の5 月には,「新たな知財戦略を打ち立て,我が国の産業を復興させる」と題する提言を,「世界の知財競争に勝つための活力向上」と題する資料に発展させて,自由民主党の「知的財産戦略調査会」に提出しました。

また,この資料をブラッシュアップさせて「知的財産制度による我が国産業活性化のための具体的政策」として自由民主党総務会長に提出しました。

さらに,中小・ベンチャー企業の知的財産の創造,保護,活用を総合的に支援し,産業活性化の具体策として「日本知的財産支援センター」(仮称:知財支援テラス)を設立すべきことを提言しました。

また,平成26 年1 月27 日付で特許庁長官に対し「職務発明制度の改正に関する意見書」を提出しました。

また,産業構造審議会知的財産分科会に対し,(1)世界最速・最高品質の特許審査の実現のため,審査官の大幅な増員が必要なこと,(2)IPDL(特許電子図書館)を存続させ,刷新すべきであること,(3)出願人優先の審査,出願人が魅力を感じる制度設計が必要であること,(4)中小・ベンチャー企業支援のため,「新実用新案制度」を創設すべきこと,(5)欧米,中国等と同じように特許庁のサテライト・オフィスを設置すべきこと,などを提言しました。


○誇りの持てる弁理士制度の実現については

弁理士制度の見直しに関し,平成25年8月末から産業構造審議会に弁理士制度小委員会が設置され,平成26年2月までに合計6 回の審議が行われました。その結果,「弁理士制度の見直しの方向性について」と題される報告書が取り纏められました。

本報告書においては,弁理士の使命条項の創設,発明発掘等の相談業務の明確化,利益相反規定の見直し,ハーグ協定加入に伴う意匠法の改正に係る業務の追加,経済産業大臣による当会役員の解任権の廃止等の法律事項の改正を提案しています。また,省令事項として,弁理士試験の短答式試験科目ごとに合格基準を設定する科目別採点方式の提案や,運用事項として,日本弁理士会のガバナンスの強化に向けた取り組みなどが示唆されています。

弁理士法改正法案は,去る3 月11 日に閣議決定を終え,国会審議を待つだけとなっています。特筆すべきは,何と言っても,第1 条に「使命条項」が新設され,『弁理士は,知的財産(知的財産基本法第二条第一項に規定する知的財産をいう。)に関する専門家として,知的財産権(同条第二項に規定する知的財産権をいう。)の適正な保護及び利用の促進その他の知的財産権に係る制度の適正な運用に寄与し,もって経済及び産業の発展に資することを使命とする。』と立ち位置が示されたことです。若し成立すれば,115 年の弁理士制度に新たな歴史の1 ページが切り開かれることになります。


○役員制度の見直しについては

去る3 月19 日の臨時総会でご審議ご決定頂いた方向で進めさせて頂きます。改正の主な点は,第一に,執行役員会と常議員会の役割の明確化,自主性の確保であり,第二に,会長及び副会長のリーダーシップ強化に向けた執行役員会の制度改革です。


☆会長就任2年目の平成26年度は,事業計画の基本姿勢に

−弁理士の使命を果たし,存在価値を高めよう−」を掲げさせて頂きます。

昨年度の事業計画の中で,取り残した事業があります。それらを確実に達成させることが,先ず必要です。次に,会員の多くから特に要望が強かった日本弁理士会組織の抜本的見直しと,特許庁の産業構造審議会(産業界,学会,官界等)から強い要請のあった会員規律に関する見直しをすることです。

そこで,平成26年度は,「組織改革に関する特別委員会」を立ち上げ,10月末を目途に答申を頂くこととし,年度内の実現を目指します。組織は放っておけば肥大化の一途を辿り,際限なく経費も膨らみます。

本部と支部,附属機関との在り方を,権限委譲を含めて検討し,結論を得ておかなければ,収拾がつかなくなります。

また,「会員規律に関する特別委員会」を立ち上げ,処分の見える化を図り,透明性,客観性,妥当性を徹底的に追求し,弁理士の使命に相応しい新しい規律づくりに着手します。この委員会も10 月末を目途に答申を頂くこととし,年度内の実現を目指します。

さらに,今年度から始まる全国47都道府県で展開される「知財総合支援窓口」への弁理士の常駐化は,特許庁が2億5千万円の追加予算を投じて行う重点事業の一つです。中小企業に対する積極的な支援活動の一環として行う画期的な試みであり,期待どおりの成果を上げなければ翌年度に繋がりません。相談員になられる弁理士の自覚と責任が問われることになりますが,日本弁理士会としても,弁理士の常駐化が機能しているか否かの徹底的な検証と,必要な改善を講じていくことになります。

また,昨年度は,4/5‐7 のAIPLA‐JPAA東京ミーティング(クローズド・ミーティング,オープンセミナー)を皮切りに,国際機関,外国特許庁及び外国弁理士会との交流が27 回を数えました。海外の知的財産制度に関する研修会も69 回を数えております。グローバル化への対応は,今後も引き続き取り組みます。


今年度は,中川裕幸氏,丸山幸雄氏,橋本清氏,高橋英樹氏,北村修一郎氏,上山浩氏,吉村俊一氏,赤川誠一氏の8 名の副会長と,

菅原修氏,渡邊喜平氏,鳥居和久氏,小川眞一氏,濱田百合子氏,辻田幸史氏,加藤ちあき氏,岩本康隆氏,小川嘉英氏,柴田富士子氏,角田朗氏の11名の執行理事の方々と会務を執行して参ります。

何分とも宜しくお願い申し上げます。