−知的所有権(著作権)登録を巡る民事訴訟−
控訴審でも日本弁理士会勝訴
  
 平成14年5月15日、東京高等裁判所第17民事部で審理されていた控訴審の判決言い渡しがあった。この裁判は、当会が「知的所有権(著作権)登録」と称する商法を行っている者2名を刑事告発し、マスコミ報道したことに対して名誉を毀損されたとする原告側が、民事訴訟を起こし損害賠償請求をしていたものである。
 一審は当会が勝訴したが、この判決を不服として原告側が控訴していた。
 今回の判決は一審判決を支持し、当会のマスコミ報道は事実が真実であると信ずるだけの理由があり、公益目的に行われたもので行為自体に何ら問題が無かったことを認めただけでなく、更に踏み込んで「本件登録商法の違反度はより強くなっているのではないかと窺われる」、「控訴人ら(原告等)に詐欺の故意があったと認定することは十分可能」などと判断した。
 民事の判決であるにもかかわらず、原告等の行為を刑事的にも判断した画期的判決となった。
 
《笹島富二雄会長コメント》
 
 本日東京高等裁判所で言渡された判決につきまして所感を申し述べます。
原審の東京地裁判決を受けて、今回も当会の主張が支持され、無事勝訴できたことを大変うれしく思います。
 当会は弁理士の協会ではありますが、事業の一つに「知的財産制度の普及及び改善に関すること」があげられています。当会は、公益目的のもとに事業活動を行う義務を負っております。
 今回原告側が訴訟原因とした当会のマスコミ発表は、十分な検討に基づき原告らの行為が詐欺の可能性が高いと判断し、なおかつ、社会的に被害が蔓延している状況であったため、被害者及び潜在的被害者に対して注意を喚起するため、敢えて刑事告発することをマスコミ発表したものであり、公益性に照らして何ら不法行為性はないと考えていました。今回の判決であらためて当会の行動及び考えが適正であったことが証明されたことになります。
 しかし、当会ではそれ以上の成果があったと考えております。原告らが起こした今回の一連の民事訴訟は、単に当会のマスコミ発表が不法行為であったか否かを問うものではないと考えていました。すなわち民事訴訟の本質的部分は、原告らの行為が詐欺罪に該当するか否かを問うものであるということです。訴訟では、やはりこの点が最大の争点となりました。
 そして今回の判決で、あらためて原告らの行為は詐欺の可能性が高いことが裏付けられることになりました。この判決は、今後の刑事事件の捜査の進展に大変大きな影響を与えることになると確信しています。
 当会の刑事告発については、本件民事訴訟の影響もあって表面的な動きを見せておりませんでしたが、今後は捜査も進展するものと期待しております。そして、一日も早く当会告発の刑事事件が解決して、知的財産制度が円滑かつ適正に運用されることを願っています。

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