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特許出願等援助制度

日本弁理士会の特許出願等援助制度とは

せっかく有用な発明や考案、意匠の創作(以下、「発明等」という。)をしても、発明者、考案者、創作者(以下、「発明者等」という。)の経済的な事情によって弁理士に特許出願等の依頼ができず、結局世の中に活用されずに埋もれてしまうのを防ぐため援助するもので、必要とされる費用の全部または一部を当会が負担する制度です。

援助制度の内容

援助対象発明等

新規事業の創出等、何らかの形で社会に貢献する可能性が高く、大きな効果が期待される発明等であって、まだ出願されていないものを対象とします。

援助対象者

(1) 個人:対象となる発明等をした個人のうち、特許出願等の手続費用を支払うと生活が脅かされる場合。

(2) 中小企業:対象となる発明等をした企業のうち、特許出願等の手続費用を支払うと会社の経営が困難になる場合。又は設立から7年以内であって、直近の年間純利益が500万円を超えない場合。

(3) 大学、TLO:対象となる発明等をした大学、TLOのうち、特許出願等の手続費用を支払うことが困難な場合。

援助対象費用

発明等について特許出願等の手続をするときに必要となる弁理士の報酬及び経費と特許庁の手数料の合計を超えない範囲で援助額を決めます。
ただし、特許法や実用新案法の減免措置を受けられる場合には、その申請手続を行っていただきます。なお、審査過程におけるいわゆる中間手続や査定に伴う特許料・登録料納付、あるいは審判に関する費用等、出願以降に発生する費用は援助対象になりません。

援助の内容

援助金は対象とする発明等の出願手続が終了した時点で、上記「援助対象費用」の代理をした弁理士に支払います。なお、外国出願は対象としません。

援助の条件

当会で申請書について審査して援助の可否を決定します。なお、必要に応じて面接を行う場合があります。出願等の手続は当会が合意する弁理士が代理することになります。出願の結果は当会に報告していただきます。

特許出願等援助制度利用の手続

申請

決められた様式に基づいた申請書を当会会長宛に提出していただきます。申請書には指定の書類を添付します。申請は当会の窓口で受け付けます。郵送の場合は到着日を受付日とします。宛名は「日本弁理士会知的財産支援センター出願等援助部」とし、住所は後述の問い合わせ先として下さい。また、封筒には必ず「特許出願等援助申請書類在中」と朱書して下さい。申請された書類等は返却しておりません。なお、より多くの方に当制度をご利用いただくため、同じ人の申請は同一会計年度内で2件まで、援助は1件までとしております。(詳しくは以下の「秘密保持」をご参照ください。)

審査

当会の審査は原則として毎月1回行います。申請書は随時受け付けますが、受領日、発明等の内容によっては翌月以降の審査となることがございますのでご了承ください。審査は知的財産支援センターの担当委員が合議にて書類審査を行います。書類審査は、申請書に記載された事項に基づいて援助が適当か否かを審査するもので、結果は翌月の中旬頃までに確定し、申請人に通知します。また、必要に応じて申請者に日本弁理士会まで来ていただいて面接審査を行う場合もございます。なお、審査では発明等が有用か否かの判断を行いますが、先行技術の調査は行わないため、権利化の可否に関する判断はいたしません。
不採用の場合の理由等は、一切お答えできませんので、ご了承ください。
(平成23年度特許出願等援助申請数:申請件数60件、うち援助件数は21件(特許19件、意匠2件))

弁理士の選定

審査の結果、援助が決定したら、出願の代理をする弁理士を決めます。弁理士の選定は、援助を受ける方(以下、「被援助者」という。)に行っていただきます。お心当たりの弁理士がいらっしゃらない場合には、当会ホームページにおいて提供しております「弁理士ナビ」をご利用下さい。本制度で援助する出願手続では、弁理士が自ら明細書等を調整することを原則とします。
なお、弁理士の選定は、結果をお知らせしてから2か月以内に行ってください。

契約

受任する弁理士が決まりましたら、被援助者と受任弁理士と当会の三者で契約を締結します。被援助者は自己の発明等を開示(※)し、受任弁理士は開示された発明等に基づいてできるだけ良質の権利にすべく努力し、当会はその費用の援助を行います。
なお、被援助者は初めに必要な開示を行うこととし、受任弁理士は初めに開示された以上の発明等について明細書等の記載を追加する義務はないものといたします。
※開示する発明等は、原則として当会に提出した内容としてください。

援助の実施

援助費用は対象とする発明等の出願手続が終了して手数料等の報告があった時点で受任弁理士に支払います。受任弁理士の報酬額等は、当会が全額負担する場合以外は、受任弁理士と被援助者の合議により決定して下さい。出願の結果は当会に報告していただきます。

秘密保持

申請の内容が洩れることがないよう厳重な管理のもとに手続を進めます。また、被援助者の経済的事情なども秘密にいたします。発明等の名称、援助金額、受任弁理士名、権利化の可否、被援助者の性別、年齢層、職業、法人の場合の業種、規模(資本金、従業者概数)については公開できるものとし、被援助者の氏名又は団体名、発明等の詳細などその他の事項についてはご本人の了解を得ない限り公開いたしません。本制度による出願等の援助は弁理士が拠出する当会会費により運営されるもので、予算の範囲内で実行されます。このため、当会で必要度が高いと判断したものから援助させていただきます。なお、公平の観点から同じ人は同一会計年度内で受付けられる申請は最大2件まで、援助は1件までなので、ご了承下さい。また、当会の審査結果に対しては、不服申立を行うことができませんので、この点についてもご了承下さい。
上記は、当会の都合により予告なしに改訂される場合があります。

※注意事項

(1)この特許出願等援助制度の適用を受けたことは特許庁の審査に何ら影響を与えるものではありません。

(2)本制度は日本弁理士会が運用するものであり、他の同様な制度とは何ら関係するものではありません。

(3)他の助成制度により特許出願等についての援助を受けている場合は、本制度の対象とはなりません。

特許出願等援助申請書 様式(Word形式)

別紙「11.発明の内容の説明」の雛形(Word形式)
  ※特許出願等援助申請書の「11.発明の内容の説明」を記入する際に参照ください。

特許出願等援助制度 Q&A

T.申請者について
U.援助対象となる発明等について
V.申請手続きについて
W.審査手続きについて
X.援助決定後の事項について

T.申請者について

Q:外国人の申請は認められますか?
A:外国人も条件によってはこの援助制度の対象者となります。

(説明)審査および援助実行の都合から、申請者自身と国内で日本語により連絡が取れることが条件となりますが、国籍に制限はありません。但し、企業の駐在員など一時的滞在者と認められる者は対象となりません。

Q:定まった連絡先や連絡手段を持たないのですが、構いませんか?
A:郵便物の届く住所が国内にあり、かつ、電話(携帯電話も可)をお持ちでないと、特許の手続を円滑に進めることができませんので、対象者となりません。

Q:会社経営者は援助制度を利用することができますか?
A:発明者等であれば援助制度を利用することができます。

Q:個人として申請したときに出願人を会社とすることができますか?
A:援助対象者に出願人になっていただきます。会社から出願したい場合は会社が申請者になってください。

(説明)申請人と出願人とは同一である必要があります。従って、申請人が夫、出願人が妻をという形態も認められません。

Q:専業主婦も援助対象となりますか?
A:配偶者と合わせた資金状況が所定条件を満たせば援助対象となります。

(説明)申請者が自然人である場合は、配偶者との合計収入を勘案して生活の困窮度を推定します。なお、所定条件は、特許出願等援助規則施行細則(内規第57号)の別表1に規定されています。詳しくは日本弁理士会にお問い合わせ下さい。

Q:ベンチャー企業、中小企業は援助対象となりますか?
A:援助対象となります。

(説明)@非課税の場合、又はA設立から7年以内であって、直近の年間純利益が500万円を超えない場合、援助対象となります。

Q:TLOは援助対象となりますか?
A:援助対象となります。

(説明)TLO及び大学の発明も援助対象です。

U.援助対象となる発明等について

Q:実用新案や意匠なども援助の対象となりますか?
A:実用新案及び意匠も援助対象となります。

(説明)以前は特許のみが援助対象となっておりましたが、実用新案及び意匠も援助対象となりました。

Q:関連意匠や部分意匠も援助の対象となりますか?
A:援助対象となります。

(説明)本意匠と関連意匠、全体意匠と部分意匠といった申請も可能です。但し、同一人による申請件数は同一会計年度内で2件まで、援助は1件までですのでご注意ください。

Q:商標出願は対象となりますか?
A:商標は対象としていません。

Q:外国への出願は援助の対象となりますか?
A:日本国内特許のみが対象となり、外国出願は援助対象となりません。

Q:PCT出願は援助の対象となりますか?
A:PCT出願は対象となりません。

Q:出願後に援助申請してもよいですか?
A:出願済みの発明等については、援助申請できません。

Q:審査で採用されなかった発明等を再度申請してもよいですか?
A:改良等を加え、前回とは異なる、又は進歩している発明等であれば再度申請して下さっても結構です。

(説明)前回は採用されなかった発明等でも、その後の改良により優れた発明等になることもあります。

Q:国内優先権を主張する特許出願は、援助の対象となりますか?
A:所定条件を満たせば、援助対象となります。

(説明)国内優先権出願も我が国への特許出願の一種であるため、援助対象となります。但し、国内優先権の期間が過ぎる前に関係者間で援助契約を締結し、出願書類を作成する必要があるため、最初の出願日から8ヶ月を経過する前に申請された場合のみ援助対象となります。

Q:実施例の数は幾つまで認められますか?
A:実施例の数に制限はありませんが、膨大な記載や多数の図面が必要な場合、当会からの援助金額だけでは受任弁理士の費用が足りない可能性もあります。

Q:きわめて特殊な分野の高度な発明でも審査できますか?
A:各分野の審査員を揃えていますが、特殊な技術分野の場合は、審査に長時間要する可能性があります。

V.申請手続きについて

Q:個人が資力を証明するにはどんな方法を用いたらよいですか?
A:例えば、給与証明書や源泉徴収票などで証明してください。 なお、個人の場合は世帯収入にて審査を 行いますので、申請人の他、配偶者等の資力を証明する書面もあわせてご提出ください。

Q:TLOや大学が資力を証明するにはどうすればよいですか?
A:特許出願に関連する部分の予算書と共に、その予算内で特許出願が困難であるということを説明文として添えて下さい。

Q:中小企業者が申請する場合にはどのような証明書が必要ですか?
A:@非課税である場合にはその証明書。A設立から7年以内かつ直近の年間純利益が500万円以下である場合には登記簿謄本と損益計算書等、を提出していただきます。

Q:発明等の新規性の有無およびその根拠を記載することになっていますが新規性などは日本弁理士会の方で判定するのではありませんか?
A:申請者が分かる範囲で記載してください。

Q:代理人弁理士は指定するべきでしょうか?
A:希望する弁理士がいない場合には申請時に指定する必要はありません。
(説明)心当たりの弁理士がいない場合は、弁理士会サイトで提供している弁理士ナビをお使い下さい。また、全国各支部での特許相談等を利用して弁理士を探すのも良いでしょう。

Q:申請書にどの程度の内容を記載すべきかが分かる具体的な雛形はありませんか?
A:雛形を用意していますのでご利用下さい。

Q:申請件数に上限はありますか?
A:同一会計年度内に特許、実用新案、意匠を合わせて2件まで申請を受け付けます。援助の可否を問わず、同一会計年度内に2件を超える申請は受け付けられません。 また、援助は同一会計年度内で1件までです。

W.審査手続きについて

Q:審査にはどの位の時間がかかりますか?
A:1ヶ月ほどで結果をお知らせできます。

(説明)日本弁理士会が受理した申請書は月末で締め切って主任審査員が予備調査し、翌月に開かれる審査会に提出され複数の審査員合議の下で審査を行います。審査結果は日本弁理士会執行役員会の決裁を受けてから、書面でご連絡します。

Q:出願を急いでいるのですが審査を早くして貰うことはできませんか?
A:申し訳ございませんが1ヶ月ほどお待ち下さい。

Q:審査基準は公表されていますか?
A:援助の可否を決定する基準は非公開になっています。

Q:申請した発明等について、特許性や登録性の判断をして貰えますか?
A:日本弁理士会が援助する対象として適格かを判定するだけです。結論に達した理由についてはお知らせできません。

Q:援助金額はいくらですか?
A:比較的簡易な発明等の出願書類を1件作成するのに必要と思われる金額を援助します。援助金額は上限であり、それ以上の費用が発生した場合でも、追加で援助することはできません。

X.援助決定後の事項について

Q:採用になった場合、氏名は公表されますか?
A:申請者の承諾を得ないかぎり氏名の公表はありません。

(説明)氏名あるいは名称、発明の詳細などは本人の了解を得ないかぎり公開いたしません。

Q:不採用になった発明等を特許庁に出願してもよいですか?
A:もちろん結構です。

(説明)援助対象の可否の審査をしただけですから、特許庁の審査とは全く無関係です。

Q:選定した弁理士を変更してもよいですか?
A:契約書を交わした後の変更は、できる限り避けてください。

(説明)出願手続を依頼する弁理士は、被援助者の責任において選定するものですから、契約書を交わしてから出願までの間に選定した弁理士を解任することも可能です。しかし、解任した場合には、被援助者において新たな弁理士を選定していただいたうえで、再度契約書を交わす必要が生じ、出願手続が遅延することにもなりますので、できる限り避けてください。また、出願前に弁理士を解任した場合、それまでに弁理士に生じた費用に関しては、被援助者の責任において対処する必要があります。なお、弁理士を解任した場合または弁理士が辞任した場合には、被援助者は速やかに日本弁理士会に報告する義務がありますのでご注意ください。

Q:援助対象となって選定した弁理士に、出願以降の手続を依頼するときには別途契約が必要ですか?
A:通常は、改めて契約を結ぶ必要はありません。

(説明)委任を受けた弁理士は解任あるいは辞任しないかぎりその後の手続も行うのが普通ですので、別途契約する必要はありません。ご心配なら念のため口頭または書面で「今後も頼みます」と伝えておかれてはいかがでしょう。もちろん、出願後に弁理士に不都合がある場合は解任することもできます。なお、出願以降に発生する料金については、被援助者の負担となります。

Q:出願後、侵害等で警告を受けた場合にどうすればよいのですか?
A:出願後の事件は全て申請者の責任で対処してください。

(説明)侵害等の警告を受けた場合は、本人の責任において対処してください。

お問い合せ先:日本弁理士会知的財産支援センター
事務局
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3−4−2
電話:03-3519-2709
FAX:03-3519-2706

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