(7)事例集(中国における異議申立および水際取締り等)

事例1 著作権侵害・不正競争防止法事件

 甲は日本国の家具メーカーであり、丙は甲の中国における甲社製品の販売代理店である。
 中国において甲社製の家具の販売は丙が行うことになっていたが、丙は中国内において、甲社製品であるとの誤認を生じさせるほど外観が酷似した家具を製造・販売している中国の業者乙の存在を発見した。甲社製品と乙社製品との間に外観上の差はさほどないが、乙社製品は中国で生産されたものであり、品質には大きな差があった。また、乙は自社カタログに甲社製品カタログを無断転載していた。事態を重くみた丙は甲にこれらの事実を報告した。
 甲は、このような家具の製造・販売行為は他人の周知商品との混同を生じさせ、もって購入者をしてそれは周知商品であると誤認させるものであり、中国不正競争防止法第5条に該当する違法な行為であり、また、カタログの無断転載は同法第9条に該当し、また甲の著作権をも侵害する違法な行為であると考えた。
 一方、中国では侵害者たる乙の社長が丙を訪問し、ともに甲社製品を販売していき、できれば協力関係を築きたいなどの申し出をしていた。また、カタログの無断転載については、転載の事実を認めた上で、それはあくまでも急場の対応であって現在は自社でカタログを作成しているとの釈明をした。
 乙は、一度はこのように誠意を感じさせる行動にでたものと思われたが、乙が甲と直接コンタクトをとることはなく、甲が乙社ショールームヘ視察に来ることを意図的に避けるなど、甲乙間の関係は良好とはいえない状況であった。
 これらの経緯を踏まえて、甲は損害の拡大を防ぐため、乙の行為が不正競争防止法及び著作権法に触れる違法な行為であり甲の権利を侵害しているものであると判断し、乙に対して警告状を出すことにした。
 警告状を発送したところ、乙から次のような回答が得られた。

1.甲社とは良好な関係を築いて互いに有益な提携をしていきたい。
2.以前使用していたカタログの使用を現在は中止している。また現在使用しているカタログは全て自社で作成したものである
3.取り扱っている家具は全て自社の技術者や専門家によって共同でデザイン化、製造されたものであり他社のものとは異なる。
しかし、似ている可能性が皆無というわけではないと思う。

 その後甲は、乙が甲社製品カタログの無断転載を中止していることに鑑み、また費用との兼ね合いでこれ以上の追求は得策ではないと判断して、この事件はこれにて終了とした。