<米国>米国特許法2002年改正の概要

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米国特許法2002年改正の概要

1. 1999年米国発明者保護法(AIPA)により改正された米国特許法は、2002年にも改正された。この改正は、21世紀司法省充当費委任法(The 21st Century Department Of Justice Appropriations Authorization Act(H.R. 2215; Public Law 107-273)の第VI章である知的財産及びハイテクに関する技術的改正(Intellectual Property and High Technology Technical Amendments Act of 2002)によりなされ、ブッシュ大統領の署名により2002年11月2日に施行された。改正内容は多岐にわたる。単なる技術的な変更も多いが、中には第102条(e)に関する重要な改正も含まれる。

2. 主な改正内容

(1)特許法第102条(特許要件;新規性及び特許を受ける権利の喪失)(e)が改正された。

(2)特許法第303条(特許商標長官による再審査の決定)(a)に第3文が追加された。

審査において既に引用された先行技術でも特許性に関する実体的な新たな疑問(substantial new question)がある場合には再審査の根拠となる。

(3)特許法第141条(連邦巡回控訴裁判所への提訴)

当事者系再審査による特許性ありとの判断に不服の第三者請求人は、審判部に提訴する(第134条(c))以外に、CAFCに控訴することもできるようになった。

3. 第102条(e)の改正について

改正された第102条(e)項は直ちに施行され、審査及び再審査に係属しているすべての案件に適用されている。

改正後の条文は以下の通りである。

“Section 102(e) of title 35, United States Code, is amended to read as follows:
“‘(e)the invention was described in(1)an application for patent, published under section 122(b), by another filed in the United States before the invention by the applicant for patent or(2)a patent granted on an application for patent by another filed in the United States before the invention by the applicant for patent, except that an international application filed under the treaty defined in section 351(a)shall have the effects for the purposes of this subsection of an application filed in the United States only if the international application designated the United States and was published under Article 21(2)of such treaty in the English language; or’.”.

仮訳は以下の通り:

(e)(1)特許出願人による発明前に、その発明が合衆国に提出され第122条(b)に基づいて公開された他人の特許出願に記載されているか、又は

(2)特許出願人による発明前に,その発明が合衆国に提出された他人の特許出願に対して与えられた特許に記載されていた場合。

ただし、第351条(a)において定義される条約に基づいてなされた国際出願は,合衆国を指定国とし、その国際出願が当該条約第21条(2)(a)に基づいて英語で公開された場合に限り、本項の効果を享受するものとする。

米国特許法第102条(e)の改正に関する最も重要な点は、PCT国際出願が先行技術になる場合の条件に関する。以下の3条件が満足された場合にのみ、国際出願日が引用日となる:

(1)その国際出願の国際出願日が、2000年11月29日又はそれ以降であり、

(2)その国際出願が米国を指定しており、かつ、

(3)その国際出願が英語で国際公開されること。

又、2000年11月29日よりも前に出願されたPCT国際出願に基づき発行された米国特許には、特許法第371条(c)(1)、(2)及び(4)(国内移行要件)を満たす日を以て、第102条(e)(2)が適用される。2000年11月29日よりも前に出願された国際出願の国際公開については、国際出願日または米国への国内移行日を以て102条(e)を適用しない。

米国特許法第102条(e)項改正を運用するための4つの資料が作成され、米国特許商標庁のホームページに掲載されている。

 ・資料I:審査のガイドライン(19ページ、9つの事例について解説あり)

 ・資料II:トレーニングスライド(パワーポイント40ページ)

 ・資料III:先行技術として適用できるかを決めるフローチャート

 ・資料IV:102条(e)改正に関するメモ(Kunin副長官から技術センター長宛)

上記の資料にアクセスするためには、米国特許商標庁のホームページのPatentsの中からAIPA(American Inventor’s Protection Act of 1999)にアクセスし、続いてWhat’s New on the AIPA Web Site から入ると良い。

以上