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ニセ弁理士を逮捕 改正弁理士法を警視庁が初適用

 平成15年4月21日、警視庁保安課と深川警察署は、東京都内で弁理士の資格がないにもかかわらず、95年頃から約130件にものぼる特許出願書類等の作成を報酬を得て行っていた自称「発明・新製品開発互助会」代表○○(67)、無職△△(33)の2名を弁理士法違反容疑で逮捕し、自称「全日本発明 家協会」会長□□(77)を同容疑で21日までに書類送検したと発表した。被害の総額は約2,500万円にもなり、極めて悪質なものであった。
 この事件は、昨年12月に当会からの告発を受けて警視庁が捜査をしていたものである。
 この事件は、平成13年から当会が調査していた事件である。今回の事件の首謀者である□□は「全日本発明家協会」会長を自称し、ホームページやタウンページ広告などで顧客を勧誘し、相談に訪れた高齢者や主婦などの市民発明家に対して「この発明はモノになる」、「権利取得の手伝いから製品化までを一貫して行う」などと説明して特許出願等を奨め、出願1件につき15万円~30万円の報酬を得ていたものである。

 当会では、□□に対して平成13年8月と10月に2度にわたり警告を発し、非弁理士活動を中止するよう求め、□□からも「弁理士法を遵守する」旨の回答を得ていたが、その後の調査で事実上警告を無視して業務を行っていることが発覚。さらに被害が拡大傾向にあり、被害者からの相談が後を絶たなかったことから、平成14年12月に警視庁保安課に刑事告発するに至ったのである。告発を受理した警視庁では、深川署内に捜査本部を設置し、□□の捜査に当ることになった。

 他方、別件の弁理士法違反事件として当会で調査をしていた「発明・新製品開発互助会」代表○○について、平成13年末頃まで「全日本発明家協会」に勤務し、その後独立していたことが判明した。また、平成14年秋頃まで○○の下に在籍し、独立した若い男(後に△△と判明)の存在も明らかになったのである。

 深川署の捜査でも○○と△△が事件に関与していたことを突き止め、事件の全容が明らかとなった。今回の事件は、□□が顧客を集め願書の作成だけを行い、○○と△△に明細書などの書類作成を下請け依頼していたもので、こうして完成した出願書類をもとに□□が報酬を受け取り、それぞれに分配していた。

 従来の弁理士法違反事件は単独犯であることがほとんどであったが、今回の事件では1件の出願書類に複数の人物が関与し、それぞれが作成した書類を持ち寄って1件の出願書類を完成させていたことが特色として上げられる。

 今後は個々の容疑者の罪状を確定することになるが、知的財産制度の重要性が認識される今日にあっては、利用者に不利益を与え、知的財産制度の信用を害する非弁理士活動に対して厳しい処罰が下されることを期待する。

【下坂会長のコメント】

 昨年12月に当会が告発して以来、警視庁保安課及び深川警察署のご尽力により、速やかに非弁理士活動者3名を検挙頂いたことを大変感謝しています。これ もひとえに警視庁の捜査に携わって頂いた方々が、知的財産制度や弁理士制度の重要性を理解してくださった結果によるものと考えております。
 現在我が国は、小泉首相のもとで知的財産制度を活用した政策を展開するための基盤を整備し、低迷する日本経済の建て直しを図っております。まさに知的財 産制度は、今、大改革時代の只中にあります。その一方で、この機に便乗して知的財産制度や弁理士制度を悪用した犯罪や悪質商法が後を絶ちません。このよう な行為は利用者の利益を損なうばかりでなく、知的財産制度の信用を著しく害するもので、決して容認することはできません。
 今回の摘発は、氷山の一角であると認識しております。この摘発を機会に少しでも知的財産制度利用者が犯罪や悪質商法についての知識を持たれ、被害を未然に回避できることを期待しております。
 今後とも日本弁理士会及び弁理士は、より一層利用者の利益擁護と知的財産制度の円滑な運用に尽力して参ります。