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平成27年度 会長就任のご挨拶

 

就任のご挨拶伊丹勝会長-左

 

世界最高の知財立国を目指して行動しよう!

 

会長 伊丹 勝 

 

1.はじめに

 平成27年度の会長就任に際し,会員の皆様にご挨拶申し上げます。

 2002年12月に公布された知的財産基本法を皮切りに,我が国は「知的財産立国」を目指してきました。
 これまで日本企業は世界有数の特許取得件数を誇り,日本の技術は世界をリードしていることは疑いの無い事実です。しかしながら,技術力の高さが,グローバルな市場での競争に必ずしも結びついていないのではないかという指摘があります。多くの企業が,より実効的な知財戦略を模索しているのです。

 そのような時代だからこそ,知財の一翼を担う我々弁理士が,日本の知財の進むべき方向性を見据え,積極的に活躍しなければなりません。

 本年度は,弁理士の使命条項が加わった新弁理士法が施行される歴史的な年です。この年に,弁理士の社会的使命を全うすべく,その先導役として,世界最高の「知的財産立国」を目指して活動していきます。

  

2.重点事業について

 本年度は,活動の柱として下記の重点施策を実行していきます。

(1) 日本弁理士会の総力を結集した地域知財活性化活動を展開します

(2) 世界をリードする知財システム実現のために行動します

(3) ユーザのニーズに合った多様な人材の育成を強化します

(4) 事務所の経営基盤強化を支援します

(5) 政策を実効あらしめるため日本弁理士会の組織強化を図ります

(6) 知財制度,弁理士制度の普及・広報活動を強化します

 

3.具体的施策

(1) 日本弁理士会の総力を結集した地域知財活性化活動を展開します

 ・「弁理士知財キャラバン」の立ち上げ

  知財制度の裾野を拡げるためには,地域の中小企業の活性化が急務です。地域の中小企業支援の施策として全国に「知財総合支援窓口」が設置され,日本弁理士会も窓口知財専門家(弁理士)の派遣を継続しています。本年度は,これに加えて基本政策の重要な柱として,新たな地域知財活性化施策である「弁理士知財キャラバン」を立ち上げます。これは訪問型支援により,中小企業に,知財戦略・知財経営の重要性に気づきを与え,知的財産の積極的活用を促すものです。

  この施策の下,「弁理士知財キャラバン」を全国各地に展開し,知財経営コンサルティングのスキルを持った先導的弁理士を,要望のある中小企業に派遣します。また,新たに「支援員養成研修制度」を設け,知財経営コンサルティングのスキルを持った弁理士を多数養成し,支援能力を強化します。

  そしてこの施策の実践を通して,中小企業が抱える問題点を抽出すると共に,弁理士が,経営に参画するためのスキルをさらに磨き,クライアントの信頼と絆を確固たるものとし,もって知的財産の専門家である弁理士としての社会的使命を果たしていきます。
 

(2) 世界をリードする知財システム実現のために行動します

 ・ユーザにとって魅力ある知財システム実現に向けての実行部隊の立ち上げ

  「世界最高の「知的財産立国」を目指す」国の政策を実現するためには,弁理士が積極的な貢献を果たす必要があります。付加価値が高く強い権利を日本でいち早く取得することを可能にする必要があります。また,世界をリードする知財システムを実現するためには,我が国における適正な損害賠償額,適切な侵害立証手段の構築など,実体面でも知財の権利強化を図る必要があります。営業秘密の保護強化も重要です。更には,PLT,グローバルドシエ等,世界の流れを見据えて,各国関係団体とも情報交換および連携しながら,ユーザの立場(特に中小企業)からグローバルな知財システムのあるべき姿を提言していく必要があります。

 そのために,特許,意匠,商標等の専門委員会及び国際活動センターと連携し,政策提言,交渉,外部連携を進めるための実行部隊を立ち上げます。

 ・特許庁の地方拠点設置への働きかけ

  関西などに,特許庁の地方拠点を設置して,面接審査や審判を利用しやすくするなど,地方の出願人の利便性を向上させるように働きかけます。

 

(3) ユーザのニーズに合った多様な人材の育成を強化します

 ・知財経営コンサルティングのスキルを持った弁理士の育成

  弁理士知財キャラバンとリンクさせた支援員養成研修として知財経営コンサルティング研修を強化します。知財経営コンサルティングのスキルを持った弁理士を多数輩出することにより,弁理士の活躍する知財の裾野を拡大します。また,コンサル業務を行うことにより,他士業との連携を強め,知財経営コンサルティングのニーズ発掘の機会を増やします。これらにより,中小企業を中心とした知財の底上げを図ります。

 ・グローバル人材の育成

  中小企業等が海外進出する際の様々な知財に関連する問題に対して各国の状況に応じた適切な支援ができる人材の育成に力を入れます。
 また,外国で勉強をしたいという意欲のある若い弁理士のために海外留学の支援を行います。

 ・「育成塾」の継続

  弁理士の専権業務に関し,ベテラン弁理士のスキルを新人弁理士に伝承するための特許明細書作成をテーマにした寺子屋型の「育成塾」を継続していきます。

 ・企業内弁理士に対する支援

  企業内弁理士が,そのスキルを一層高め,企業内において活躍することが,日本全体の知財の活性化に大きく貢献します。このような観点に立ち,企業内弁理士の企業における活躍をサポートするため,知財戦略等の研修プログラムを充実させ,企業弁理士知財委員会を継続します。

 

(4) 事務所の経営基盤強化を支援します

 弁理士の経営環境が厳しくなっている昨今,日本弁理士会は,ユーザの利益を守るため会員規律の向上を図ると共に,事務所の経営基盤強化の支援策として下記の施策を実行します。

 ・経営改善相談員の派遣

  法人化や個人資産の評価等,特許事務所に特化した専門のアドバイスや,事業承継に関わる様々な問題についての専門的なアドバイスができる専門家を経営改善相談員として提携し,事務所に紹介することにより,事務所の経営改善を支援します。

 ・事業承継システムの充実

  事業継承に係る弁理士間又は事務所間のマッチングの効率を挙げるため,システム改修やマッチングに向けたイベントを開催します。また,経営改善相談員等を利用することにより,会員の事業承継を支援します。

 ・特許事務所の収益構造の改善

  現在の特許事務所の収益構造を分析し,これを改善するための方向性について研究および提示します。中長期的には,小規模特許事務所の経営統合を容易にし,事業の継続性を担保すると共に,弁理士の事務所経営に係るリスクを軽減するため,有限責任事業組合(LLP)の導入のための調査・研究を進めると共に,他士業との連携も図っていきます。

 

(5) 政策を実効あらしめるため日本弁理士会の組織強化を図ります

 ・組織強化のための組織改革の継続検討

  日本弁理士会全体としての組織の強化を図っていきます。具体的には,総会決議された組織改革の方向性に基づき,本年度及び次年度で実現可能な組織改革について実現を図っていきます。

 ・日本弁理士会自体のグローバル化

  主要国に弁理士会の海外窓口担当者を設置します。海外窓口担当者には,現地の関係団体とのパイプ役,情報収集などの活動をします。海外窓口担当者からは,定期的に現地情報を入手し,会員にフィードバックします。

 ・公益性の高い評価機関設立の検討

  知財評価等の調査,研究成果を実際の社会に還元すべく,知的財産価値評価推進センターの外部機関化も視野に入れた信頼性の高い評価機関の設立のための検討を行います。

 

(6) 知財制度,弁理士制度の普及・広報活動を強化します

 ・知財制度の普及活動の強化

  知的財産権制度の普及啓発を図るため,中小企業経営者への研修,小中学校,高等学校,大学の教育用コンテンツを充実させ,広く開放していきます。

 ・弁理士制度の広報活動の強化

  弁理士の仕事の魅力や将来性を多くの若者に知って貰い,弁理士受験者数の増大を目指します。また,弁理士及び日本弁理士会の活動を,多くの国民に理解,知悉して貰うため,外部専門家なども活用し,日本弁理士会が行う様々な支援活動や弁理士の業務について,社会の認識を向上させる効果的な広報活動を強化します。

 

4.まとめ

 これらの施策を通じて,世界最高の知財立国を目指して積極的に活動していきます。会員の皆様のご理解とご協力を何とぞ宜しくお願い申し上げます。