平成28年度デザインパテントコンテスト INPIT理事長賞校へのインタビューについて

大同大学

 

 デザインパテントコンテストへの応募が2回目の大同大学からは、INPIT理事長賞を含む3件の優秀賞が選出された。いずれも情報デザイン学科プロダクトデザイン専攻の学生による作品だ。同大学学長補佐の横井健二教授によれば、デザインパテントコンテスト開催を学内の掲示板で周知し、応募を促しているという。またプロダクトデザイン科では、2年生の実習授業でデザインパテントコンテストに応募する前提で授業の運営をしている。実習での課題は、「ドアノブ」だった。学生はまず10案を創作し、担当教授に優れていると選ばれた2点をブラッシュアップしていく。応募するかどうかは、学生の意思に任されているそうだ。

 

 INPIT理事長賞を獲得した「Twineknob」は「紙が風に吹かれて巻きついた」イメージを形にしたものだ。デザインした合田彩乃さんは「イメージに合う把手の形がなかなか決められなくて、何度も試作しながら、手にフィットする曲線を求めた」そうだ。「形の美しさを重視したので、機能性では評価されないかもしれないと思いましたが、自分で思ったよりいいものができたので応募しました」。予想もしていなかった優秀賞だけでなくINPIT理事長賞受賞は、「すごくうれしくて、応募してよかったと思いました。受賞によって、意匠権などの権利が登録されるまでには1年ほど時間がかかり、さまざまな手続きが必要なことも学ぶことができました」と語った。

 福田充さんの「Branch Knob」は枝をイメージしたノブに、葉っぱに模したメモを差し込むスリットが入っている。「ドアノブは持ちたくなる、温かみのあるものがいいのではないかと考えました。折れた枝を見ると持ちたいと感じることから、ドアを木の幹と見立てて、そこから生えた枝をモチーフにしました。枝だから葉がほしくなって、メモを挟むようにしました」と制作の経緯を話す。大きめの試作モデルをつくり、イメージしていた形を手の感触で確かめながら削りこんで、最終的な形にした。その過程で類似デザインを検索した時は、「探しても探しても自分のアイデアに近いものがなくて、かえって不安だった」という。「特徴記載書を出すことを勧められて、苦手な文章で自分のアイデアをアピールするのに苦心しました。社会に出てから役に立つ経験ができたと思います」。不安な気持ちを乗り越えて受賞したことはうれしく、応募によって得たものも大きかったと感じているようだ。

「スプーン」で優秀賞を得た3年生の仙敷絵理さんは2度目の応募だ。2年生での応募時は三面図が描けていないと自覚していたとおり、審査では図面に問題ありと評価された。「リベンジしたくて、三面図もちゃんとできた自信作で応募しました」。このスプーンは、柄の根元に入れた切れ目に、焼き鳥のように串刺しで供される料理の串をひっかけて、簡単に串が抜けるようになっている。焼き鳥店のグループ客が注文した焼き鳥を分け合うために串をはずすのに苦労している様子を、たまたまテレビ番組で見たことから思いついたそうだ。「3年間の勉強の成果の中で一番いい作品でリベンジを果たせて、ほんとうにうれしいです」と受賞の喜びを語る。

 横井教授にデザインパテントコンテスト応募の意義をうかがった。「私自身は学生時代に意匠登録を体験する機会はありませんでした。企業に籍を置いていた経験から考えると、自分のアイデアを製品化するための手続きを、他者の権利を調べることも含めて知ることができる応募は、ものづくりに関わるための大事な経験になると思います。また学生たちが就職のために作成するポートフォリオに受賞、さらに意匠登録番号までを入れられれば、大きなプラスになるでしょう」。