鳥取県と知財支援協定を再締結(2009年7月16日)

はじめに

 平成21年7月16日(木)、鳥取県と日本弁理士会との間で「知的財産の活用による地域の活性化と産業の振興のための事業の連携に関する協定」が再締結されました。 日本弁理士会は、これまでに16の道県及び2つの市との間で知財支援協定を締結し、各地方自治体や地方企業に対して知的財産に関する様々な支援活動を行ってきました。今回は、2006年の5月11日に全国で7番目に締結された鳥取県との間の知財支援協定を再締結するものです。この再協定の有効期限は2011年3月31日までです。


鳥取県の知財への取り組みについて

鳥取県は、日本海に面した自然の豊かな県ですが、製造業を主要産業のひとつとしており、サンヨーなどの液晶表示装置関連の企業拠点を有しています。しかし、県内企業の大半は大手企業の下請けとなる小規模な中小企業であり、これらの企業の技術力・競争力を高めて、高付加価値化及び収益性重視の産業構造へ転換することが県の重要な政策課題となっています。
このような状況に対し、鳥取県は、2006年3月に「とっとり知的財産活用プラン」を策定し、全国に先駆けて「鳥取県知的財産の創造等に関する基本条例」を制定するなど、産学金官の各関係機関が一体となって知財施策に取り組む体制を整えています。また、県が保有する知的財産権の適切なマネジメントを推進するため、「鳥取県知的財産マネジメント委員会」を設置し、さらに、知財活動を活性化するための積極的な普及啓発や潜在技術発掘の原動力とするため、「鳥取県弁理士定着促進事業」を実施しています。このように、鳥取県は、経済活動の活性化に知的財産を利用することに関しては全国一と言えるほど熱心な活動を行っています。そして、これらの知財政策を側面から支援するため、知財協定が活用されています。
2006年に締結された最初の協定では、企業や県民、県職員を対象としたセミナーや相談会を開催するなど、知財啓発が主な事業でした。このような既存の啓発事業に加え、今回の再協定では、知財に関するコンサルティング的な能力を備えた県職員の育成支援や知的財産マネジメント委員会への委員の派遣などの新たな事業が追加されています。このように、再協定では、弁理士会に対する要求がより高度なものとなっていますが、総合アドバイザー型の弁理士育成を目標の一つとして挙げる弁理士会にとっては、やりがいのある事業と言えるのではないでしょうか。


協定調印式

調印式は、県庁隣の敷地内にある、鳥取県知事公邸において行われました。調印式に先立ち公邸別室で行われた名刺交換会では、筒井会長が鳥取県内の高校出身であることもあり、話が弾み、とても和やかな雰囲気となりました。平井知事の印象はとても穏やかで、また、その丁寧な対応には一同好感を持たれたのではないでしょうか。
調印式は、鳥取県からは、平井伸治知事、門前浩司商工労働部長、中山孝一商工労働部産業振興総室長、広瀬龍一商工労働部産業振興総室産学金官連携チーム長が出席され、日本弁理士会からは、筒井大和会長、小森久夫副会長、井上春季副会長、井上浩中国支部長、森山陽中国支部副支部長兼地域窓口責任者、舩曳崇章中国支部副支部長、小林保知的財産支援センター長、小泉雅裕知的財産支援センター副センター長、片岡憲一郎知的財産支援センター運営委員が出席して行われました。
開式の後、各出席者が紹介され、次いで平井知事と筒井会長とにより協定書への署名が行われました。

 署名に続いて行われた記念撮影では、知事と会長との間で固い握手が交わされ、再協定に対する両者の期待の高さが伺われました。


 次に行われた記者会見では、筒井会長から「鳥取県内の産業が知的財産をキーワードとして、高付加価値化の産業構造へと転換されるべく、その専門家として尽力したい」と挨拶があり、これに対して平井知事は、「これまでの支援に感謝する」と述べられるとともに、「小さな県だからこそ知財に目を向ける必要がある。これまでの成果を踏まえ、新たな協定により一層の連携強化がなされるよう期待している」と答えられました。


記念フォーラム
調印式の後には、県庁隣の「とりぎん文化会館」において、本協定の再締結を記念した「知的財産フォーラム in 鳥取」が開催されました。
このフォーラムでは、まず、小林知的財産支援センター長(会員)により「地域産業をサポートする弁理士!」と題した講演が行われ、次いで、広瀬産学金官連携チーム長により、鳥取県の知財への取り組みについてデータを交えて説明が行われました。


 そして、フォーラムの最後のプログラムである、嶋宣之会員による本協定の記念講演「地域資源の付加価値を高める特許の活用について」では、特許の活用や活用上の注意点等が、事例や例え話などを交えて、分かり易く説明されました。このフォーラムには、県庁職員や企業経営者など73名の県民の方々が参加され、皆熱心に知財に対する理解を深めていました。


終わりに
鳥取県は、特許出願件数や登録件数が全国でも下位という状況ですが、協定締結により、少しずつながら、出願件数や知的財産に関する相談数が増加しているとのことです。また、日本弁理士会による支援を受けた方々からは、「県民の知財に対する意識は確実に向上している。」、「知財の普及啓発については一定の成果が出てきつつある。」など、支援を評価する声が多数寄せられているとのことです。今回の再協定により、鳥取県の知財施策がより一層効果を上げられるよう期待してやみません。