弁理士の処分制度

弁理士は、公共性の高い職種であるため、弁理士が業務を適正に遂行せず弁理士法に違反した場合や弁理士としてふさわしくない重大な非行があった場合には、行政処分として経済産業大臣による懲戒制度が用意されています。
一方、日本弁理士会においても、会員である弁理士を指導・監督する自治規範として、日本弁理士会会長(以下「会長」といいます。)による処分制度を整えています。



処分制度の概要

弁理士は、弁理士法や日本弁理士会の会則などに違反したり、弁理士としてふさわしくない重大な非行があった場合で、日本弁理士会の秩序又は信用を害したときは、処分を受けます(会則第49条)。処分の方法は次の4つです。 

1.戒告
2.2年を限度とする会員に与えられた権利の停止(※総会の議決権及び役員の選挙権・被選挙権の停止、日本弁理士会の設備の使用制限、会務活動への参加制限等の処分です。)
3.経済産業大臣に対する懲戒の請求
4.退会(※弁理士の登録が抹消されます。)


また、弁理士は、社会の様々な変化に対応し、依頼者の信頼を得られるように、資質を向上するための研修(継続研修)の受講が法律で義務付けられており、相当の理由なく継続研修を受講しない場合は、処分を受けることになります(会則第54条の2)。
処分、苦情申立等の件数(PDF)
なお、特許業務法人についても弁理士に準じた処分制度があります。



処分請求の手続について

弁理士について、処分事由に該当する事実があると思料するときは、会長に対して処分を求めることができます(会則第50条)。処分請求があったときは、綱紀委員会に対して処分事由に該当する事実の有無を調査するよう請求します。
会長は、綱紀委員会から調査の報告を受けて、「処分事由に該当する」と判断した場合は、審査委員会に送致して処分の方法を決定します。なお、審査委員会は、執行部から独立した組織として事案の審査を行います。
会長が「処分事由に該当しない」と判断した場合、処分を請求した者は、不服審議委員会に対して再調査を求めることができます。
審査委員会で弁理士の処分の方法が決定されたときは、会長が処分を執行します。処分することが相当でないとする議決がされた場合、処分は行われません。審査委員会の決定に不服がある場合は、異議申立てを行うことができます。
処分請求は書面(処分請求書)によって行います。この手続は、経済産業大臣への懲戒請求手続と同じく、関係者に限らず誰でも行えます。また、経済産業大臣への懲戒請求手続とこの手続を並行して行うこともできます。この場合、それぞれが独立して手続及び判断を行うことになります。
なお、綱紀委員会、審査委員会の委員については弁理士から選任した委員と外部委員(弁護士、公証人、学識経験者、産業界)によって構成され、不服審議委員会については委員の過半数が外部委員(弁護士)によって構成されています。
「処分請求書」の様式など詳細については「弁理士とのトラブル相談窓口」にご相談ください。
手続フローチャート及び標準的な手続に要する期間については、こちら「日本弁理士会会則等に基づく会員の処分等手続フローチャート(PDF)」をご覧ください。
弁理士及び特許業務法人に対する処分の基準については、こちら「弁理士及び特許業務法人の処分に関する運用基準(PDF)」をご覧ください。



情報提供・違反行為の申告制度

日本弁理士会は、広く一般から弁理士及び特許業務法人の違反行為に関する情報を受付けていますが、さらに次のような制度を有しています。
・会長は、弁理士の違反行為に関する情報等に接し、その弁理士について処分に該当する事実があると思料するときは、綱紀委員会に対して自ら調査を請求する義務を負っています(会則第51条第1項)。
・日本弁理士会の各支部の支部長は、支部地域の弁理士に弁理士法又は日本弁理士会の例規に違反する行為があると思料するときは、速やかに会長に報告しなければならないこととされています。
・日本弁理士会の会員は、他の弁理士が弁理士法若しくは弁理士法に基づく命令に違反し、又は会則若しくは会令に違反したと思料するときは、会長に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることとされています(違反行為の申告(会則第38条))。